インドの高度な産婦人科事情

インドの産婦人科事情は素晴らしくシステム化されていて、ハイリスク出産の私は希望関係なく事前検診が必然的に組み込まれていました。
医療なので、日本みたいに高額にしてお金持ちだけ検査するというような特別感はないです。すごくお金がない人だけ受けないんだと思います。※貧富の差は大きいですが、避妊処置は全国民無料です。

12週目(3ヶ月)
①クアトロテスト 2500円
②NTスキャン 4000円

もちろん知識のない私はこれがなんの検査なのか知らないまま通常の検診と同様に言われるがまま受けました。

① ダウン症含めた4種の先天性異常になる可能性がわかる血液検査。(ダウン症やターナー症候群等)
インドの便利なことに、予約時間に家まで医者が来てます。
このタイミングは一般的につわりのピークなので、妊婦は家を出るのがしんどいことを前提に基本的に家にきて血液を取ってくれます。後日検査結果はメールと郵送で私と担当医に送られてきました。

②専門医が30分程度かけて赤ちゃんの首の後ろの厚みを調べる検査です。通常のエコーだと思っていました。厚みが3mm以上あれば異常がある可能性がある。
と、異常があると宣告されて初めて知りました。

結果は①、②どちらも異常がありました。

①全項目1/4〜1/238の確率で遺伝子異常
②6.4mm、そのほか全身を水が覆っていて、臓器形成にも異常が見られる。

この時から夫と一緒に検査や赤ちゃんのことを勉強し始めました。

どこまで検査をするのか相談しました。
異常が確定した時産むのか産まないのかの話し合いもしました。
夫は産んでほしいと言ってくれましたが、私は産んで育てられないと言いました。

日本では命の選別と批判されると思いますが、実際に育てるのは私たちなので、今後子供が産めないかもしれない私の唯一の妊娠になるかもしれなくても、産まないとはっきり伝えました。

ただ、どちらの検査結果も可能性でしかなくて、次の検査に進みました。

③遺伝子検査をしました。2000円

赤ちゃんの資料を遺伝子異常専門医に診断してもらいました。何をしたのか忘れてしまいました。カルテを読み返してもピンとこない。(インドではカルテは全て患者自身で管理して、どこの病院へ行くにも持参します)

この時、私たちは楽観的なので、もしかしたら元気に生まれてくるかもしれないと希望を持っていましたが、

この時点でAmi先生には99%異常があるから堕胎するように言われました。インドでは先天性異常が判明したら医者は産ませません

この時初めて夫以外の前で号泣しました。自分でも驚きましたが、我慢が利かなくなっていたんだと思おます。
それまでAmi先生ともドライな関係でしたが、少しの変化や心配事、なんでも話すようになりました。

自分を肯定するわけではありませんが、
台湾でも羊水検査は政府が援助するので98%の妊婦が流産のリスクを負っても診察します。私の同級生のお母さんも1980年代当時に受けていたくらい伝統的な医術として認識されていて、
現代では日本には入ってきていない世界最先端の出生前検査aCGH(400種の異常がわかる)も受けます。(後日体験談を詳しく書きます)

日本とインドでは考え方の違いがあります。
日本では人目をはばかってこっそり受けているし、私も日本人相手には言えませんでした。

でも自分の人生の決断なので、
負い目を感じている中絶した女性に、
自分の人生に口を出せるのは自分だけだということ、
他人は所詮、無責任な他人でしかないこと、
正義とされていることも文化によって違うことを伝えたいです。
辛いのも悲しいのも、当事者だけです。

16週目(4ヶ月)
④胎児スクリーニング 4000円
精密なエコー検査。
ここで赤ちゃんに異常があることが確定しました。心臓、脳、肺、全身の皮膚見えるところ全てに問題がありました。
運良く出産まで体内で生きていても、体外で生きれないだろうと。

私たちも中絶手術を受けることを決めました。その間も毎日のつわりは無くなりません。衰弱しました。

⑤羊水検査 13000円
異常は確定していたけど、今後のため何が異常なのか、目に見える原因がないか調べるために羊水検査をしました。羊水を抽出して染色体異常を肉眼で調べる。一般的な出生前診断で項目の信頼性は99%。
日本では普及率が低く1泊の入院が必要な病院も。(15〜20万円)

ここまでは日本でも大金を出して病院を探して、時間を費やせば希望者はできることが多いです。

この後日本では受けれない医療が始まりました。

メモ
ITと医療の両方が進んでるインド

オンライン診療が珍しくないし、警察や役所関係全てオンラインでできます。
妊娠途中でビザ切り替えのため帰国するタイミングでしたが、酷いつわり症状のため飛行機に乗ってる間に死ぬかもしれないという診断の元、ビザは出産までオンライン申請で延長されました。
(バイクで10分距離の病院に行くまでが限界だった)

日本では医師の同行等を条件にいつまででも飛行機に乗れますが、インドでは赤ちゃんの命の危険性を考え法律で32週以降は飛行機に乗れなくなります。長距離電車/バスも禁止。
手厚いです。

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