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デザイナーのワークライフバランス術【子育てしながら働く】

執筆・編集 山村光春(BOOKLUCK
撮影 松村 隆史

ブランディングデザインとは、単にもののかたちを生み出すのみならず、問題の解決に思考を巡らせ、計画からタスク管理まですべて含まれるとするならば。子育てしながら仕事も頑張るワーキングペアレンツは、まさに「一流のブランディングデザイナー」。

……なんてきれいごと言いながら、実際ぶっちゃけ、デザイナーって相当多忙じゃないですか(一同頷く)。ほんとに家事や育児と両立できるの?できるとすれば、どうやって?

ここに登場するのは、もっかリアル子育てまっ最中!の「エイトブランディングデザイン」のスタッフ3人。仕事と育児、心と体をどっちも両立させるために切り開いてきたこと、新しい気づき、涙ぐましい創意工夫。3人3様のありようを、ノンフィクションでお届けします!

入社6年目、服部さんの場合。

「内心ではいつか子どもが欲しいとは思ってたんですけど、まわりには言わないままずっと勤務してました」

エイトブランディングデザイン(以後エイト)6年目の服部さんは、周到かつ綿密なプランを立てて実行するタイプ。それは仕事だけでなく、人生においてもしかり。

「そもそもエイトに入社した時、女性の既婚者は私だけだったんですね。なので育児支援制度もなく、そもそも人事部もないので、私が切り開いていかなきゃ!と自覚してました」

まず動き出したのは、入社2〜3年目の頃。「代表の西澤に『数年後は子どもが欲しいです』とさりげなく伝えてましたね」

さらに自分で国の支援制度を調べ上げ「どこまでできますか?」と、提案したこともあったという。

「ただ経験上、西澤も3人お子さんがいて子ども好きなので、育児出産におても肯定的な考えを持っていそうだし、しっかりアイディアがあって伝えれば受け入れてくれるだろうとは思っていました」


あとは、タイミング。本人としては今より一つ昇格し、区切りの良いタイミングで産休・育休をとりたい、と願っていたという。

「そのためには『テスト案件を2件やらなきゃいけない』という社内ルールがあるんです。ただ担当する予定だった案件がなくなってしまったり、いろいろあって」

そろそろ子どもがほしい年齢になる頃、ようやく1案件をやりきることができた。計画からは少し早いけれど、今しかない。服部さんは決心し、西澤さんとの面談で正直に伝えた。

「そしたら『全然気にしなくていい。子どもを産むことは人生において大事なことだし、まずそこを優先させた上で、エイトでできることをやってもらえればいい』というような話をしてくれて。私は泣きながら、肩の荷が下りたというか」

そうしてようやく、人生のキャリアパスを描くことができたのだという。


1on1面談がもたらした思わぬ恩恵

エイトでは、チームリーダーと二週に一度話をする、1on1面談の制度がある。これにが妊娠中、思わぬ恩恵を受けた。

「経験者じゃないと、周りも『この人どう扱えばいいんだろう』ってなる。なので今はどういう状態か、何ができて何ができないかをちゃんと伝えたほうが、きっと周りも安心するだろうなと」

ただ実際は、みんな忙しい仕事中に伝えづらいこともあるだろう。

「なので1on1面談で、その時に思ってることを話せたのは、自分的にもチームとしても良かったのかなっていう気がしますね。しかも当時は週一の1on1面談だったので、定点観測してもらえたのが大きかった」

そして無事出産、一年半の育休を経て復帰したばかりの服部さん。


現在時短勤務中だが、急な子どもの体調不良などで、リモート勤務がフレキシブルにできる体制で働いている。

さらに夫との家事育児の分担も、生来の性格がフル発揮。

「雑誌に載ってた家事育児のタスク表を自宅用に書きかえて、それを色分けしてちゃんとフィフティーフィフティーになるように。今、冷蔵庫に貼ってあります」

もともと家事育児には主体的な旦那さんだったが、“見える化”したことで、それぞれのがんばりどころ・手を抜いていいところがはっきりしたとか。

「分担表なんて仕事みたいですよね(笑)。まぁ、今もまだやりながらではありますけど、なんとかなってる感じです」

入社7年目、時藤さんの場合。

服部さんが切り開いた道を追うように、その7ヶ月後に産休育休をとったのが時藤さんだ。

「なので、服部さんが道を切り拓いてくれて本当にありがとうって感じです(笑)」

とはいえ、7年前の入社時には独身で「バリバリ働くぞ」という気概に満ち、キャリアを充実させる以外のことはあまり考えてはいなかった。

気にするようになったのは、30歳前後。「デザイナーとしてキャリアを伸ばしたいという気持ちの一方で、家庭や子どもへの憧れもあって。だったらいつぐらいまでに結婚していたほうがいいだろうなぁと、ぼんやり考え始めてました」

運よくご縁があり、結婚へ。「子ども欲しいね」という思いも、おたがい一致した。

「時期を見ていつか、とは思ってましたけど、仕事の状況にもよりますし、それに子どもは授かりものなので」と、最初は多忙な日々の中でやり過ごしていた。

「ただエイト特有なのかもしれないんですけど、案件のスケジュールはある程度先の予測ができるので『おそらくこのぐらいには落ち着くだろう』っていうのが見えるんですよ。だからまあ今は無理だけど、このタイミングで考えてみようかと、逆に計画が立てられた感じです」

そして、妊娠。さなかは「仕事してるとスイッチが入ってるのか、つわりがそこまで悪くもならなかった」という時藤さん。むしろバリバリ働き、同僚から『南青山で一番働いている妊婦(笑)』と言われたこともあった。

すべては順調と思われたその時、思いがけぬトラブルが!受け持っていた案件が、コロナの関係でスケジュールがずれこんだのだ。

「だからといって、産むのを先延ばしにするのは無理じゃないですか(笑)。なので最後はサポートをお願いしました」

結果、8割ぐらいで後任者に引き継ぐことに。

「まぁ正直、最後までやり切りたかったなと。少し中途半端なところで次の人に任せてしまったので申し訳ない気持ちもありました。ごめんねって」


育児中もクリエイティブに携わりたい

やがて無事元気なお子さんが産まれ、私生活のほぼすべてを家事と育児に費やさないといけない状態に。

そんな中でも「やっぱり仕事じゃなくても、何かクリエイティブなものに携わりたい」と、育児絵日記を始めることにしたという。

「3日坊主の人間だから」と、まず1週間やってみた。続いたのでこれを習慣化させるため「強制的に頑張れるかなと」SNSに上げたところ、じわじわフォロワーも増えた。


>> この続きは、エイトブランディングデザインWEBサイトにて無料公開中!『【子育てしながら働くこと】デザイナーのワークライフバランス術』へ

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執筆・編集

山村光春
1970年東京生まれ。雑誌「オリーブ」のライターを経て、2000年に雑誌や書籍、広告の編集・執筆を手がけるBOOKLUCK設立。暮らしまわりや旅まわりのジャンルをおもに活動中。編著書に「眺めのいいカフェ」(アスペクト)「おうちで作れるカフェの朝食」(世界文化社)など。現在、東京と福岡との二拠点生活中。http://bookluck.jp/


撮影

松村隆史
写真家
1975年富山生まれ。大学中退後に上京。スタジオフォボスに勤務。2000年、フリーランスとして独立。自然物、暮し、料理、ポートレイトなどの撮影を中心に活動。http://www.matsumuratakafumi.com/


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