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帰国子女だから

帰国子女だから

何度もこの言葉を聞いた
というより聞き飽きた

生まれた数か月後からイギリスとアメリカに
親の仕事の都合上で住んでいた。
住んでいた期間は二つの国を合わせて10年になる

だから英語もできるし、自分の主張をはっきり言えるという自負もある
これらは確かに帰国子女ならではの有利な点なのかもしれない

特に英語ができるのは受験や就職の際に
大きな武器となることくらいは十分わかっている

だけどそれ以上につらい思いをしているということ
小・中・高時代とで多くの壁にぶつかったことを知ってほしい


”英語できて当然だよね”


確かに小さいころから英語を学んでいたし,
英語に触れている時間は帰国子女でない方より多いだろう


だから”英語が今のレベルで使えるか”
という質問に対して私が返す答えは

”NO”

自身をもってこう答えられる
理由は3つ

①ただ住んでるだけで英語ができるわけがない

②文法は一から勉強しないといけなかった

③発音は断然ひどかった

この理由をエピソードを交えて話したいと思う


おそらく多くの人は
”住んでいれば話せるようになるでしょ”
とお考えかもしれませんが
無理です

小さい子供を想像してくれればわかりやすいと思います。
小学生は確かに日常会話レベルなら話せます。
しかし、しっかり読み書きができるかと聞かれたら
全員が、とまでは言えませんが、おそらくできません。

それが、親との会話で使わない異国の言語だと考えると
なおさら無理でしょう。

今でもはっきりと覚えています。
算数の時間で聞き取れた先生の言葉が
”zero"と"plus" の二言だけだったこと

授業で一人置いていかれているのを
はっきりと実感できた時は涙が止まりませんでした。

泣いていても始まらないと親に怒鳴られ
”どうやったら授業についていけるのか考えなさい”
と言われてからは毎日家に帰ってから
数時間ひたすら英語と向き合っていました。

そんな生活を1年間過ごしたおかげで
それ以降は友人と話をしたり
時には小学三年生のくせに彼女を作って
彼女の家にお泊りをするという経験もしました。


中学・高校時代、一番苦しめられたのが文法です。

問題自体は何の苦もなく解ける。
それは帰国子女だからではなく
似たような問題を解いたことがあったから

私をもっとも苦しめたのは

”次の文を現在完了形にしなさい。”
”以下の文から分詞と動名詞を選びなさい。”
”文型を答えろ””用法を選べ”

何?
ブンケイ?ドウメイシ?

私を一番苦しめたのはアメリカの英語の授業では
絶対出てくることがない日本独自に難解な文法用語、
本文とは全く関係のない文法事項でした。

こう言われると皆さんも
”その問題は帰国子女とは関係ないね”
と感じると思います。

しかし中高と言われた言葉は

”だってお前帰国子女だから満点で当たり前じゃん”
”どうせ俺らとは違うんだから満点で当たり前”

挙げ句の果てには教師から

”君はできて当然だよね”

いやいや、
皆さん国語のテストで満点とってからそれ言ってよ
満点ってとるの難しいよ

心の中でひたすら叫んでました


ある日、国語のテストに文法事項が出て
そのテストが返却された際
隣に座ってた女子から
”こんなの普段使わないからわからないよ”

同じことを私は英語でやってるのになぜわからんのだ
日本で初めて習う仲いすぎる日本語を理解し
それに合わせて正しい解答を出し続けることの
難しさがなぜわからない

この小さな差別的な発言がとにかく苦しかった。


”すごく発音が綺麗だね”

英語を話すとよく言われる。

しかし、アメリカに住んだから発音がよくなった。
そんな都合の良いことなどない

必死で練習した。
最近になって Japanglish という言葉を聞いたが
まさに私の英語はそれだった。
だから毎日英語の勉強をしながら英語の発音の練習もした。

友達の真似を何度も繰り返した。
抑揚やアクセント、手の使い方など
似せられるところは似せるように努力をした。

それでやっとうまく発音が出できるようになった
今も続けて練習している。

それを外国に住んでいたから
の一言でまとめるのは心外である。

”帰国後の地獄”

私が苦労したのは海の向こうだけではない

想像してほしい。
親との会話でしか使っていなかった言語を
常時使わなければいけなくなった状況

今まで勉強してきた英語とは違う言語を
また一から浴びる環境

あまりピンとこない方もいるだろうが
かなり辛いものがある

「敬語ってわかりますか?」

”けいごって何?”
”日本のボードゲームにそんなのあった気がする”
(囲碁と間違えました)

私が日本に帰国した際の日本語のレベルはこの程度でした。

なので、今度は
ひたすら日本語を正しく使えるようのい努力しました。

その中でもとくに
漢字を覚えるのに苦労したのを覚えています。

雑穀
地殻

この二つはイジメだと思いました。
初めての漢字テストでこれ?
と感じたのは忘れられません。

しばらく日本の学校れ生活しているうちに

とにかく漢字を書けるようになりたい!

そう思うようになりました

最初はクラスの子の漢字を全部覚える
その次に地元の地名の漢字を覚える

でもこれではダメだということに気づいてしまった

そこで私が始めたのは漢検でした。
学校の友達と遊んだ後
家で一人黙々と感じを書いていました。

しかし苦痛に感じることは一切感じませんでした。
漢字がかっこいい。
意味を理解するのが楽しい。
こう思えるようになったからかと思います。

そして今考えるとおかしな小学生なのですが
四字熟語に完全にはまりました。

ちなにみに私の好きな四字熟語は

  不撓不屈(ふとうふくつ)
  磨穿鉄硯(ませんてっけん)

の二つです。

このように少し、
おかしな小学生をしていたので

中学二年生の時に漢検二級
そして翌年に漢検準一級に受かることができました

日本語を周りと遜色なく
またはそれ以上に学んだおかげで
今では周りの日本人と
何の支障もなく話すことができます。

帰国子女の辛さ

皆さんが羨ましがる

 帰国子女

という存在は確かに得をする場面もあります。
特に受験や就職には大きく役に立つを考えます。

しかし、海外に住んでいたからというだけで
皆さんと同じようにただの人間です。

”帰国子女だから”英語ができて当然
と同時に
”日本人”として日本語もできて当然

この板挟みの中で幼少期を過ごしたのが
帰国子女だと思います。

一人でも多くの方が
少しだけこの環境について
考えてくれると幸いです。

#人生 #独り言 #海外生活 #アメリカ #イギリス #日本 #学校

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