絶え間ない挑戦と安定

「現状維持は退化だ！」
「どんどん進化していかねばならない」
と言っている人を見かけると皆様はどう思いますか？

「暑苦しい」
「めんどくさい」
「安定をください」
と、思う方々もみえるかもしれません。
しかし、現状維持は退化であるのは、ある程度「真」なのではないかとも思うのです。
企業でも、個人個人でもです。

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私が考えるその理由は下記の通りです。

・現状維持できていない可能性がある

人間の構造も変わっていないように思われますが、常に新陳代謝して、エネルギーを使い古いものから新しいものに置き換わって、その恒常性を維持しています。これを「ホメオスタシス」と言いますが、現状を維持するのにもエネルギーを消費するのです。
完全に休んでいるようでは、その現状は維持できていないかもしれない。川の流れの中で同じ位置をキープするのは、泳ぎ続けないといけないですよね。それと同じです。
あなたのその技術、生活も、新たなエネルギーや、燃料を補充し続けないとキープはできないかもしれません。

・世間は成長している

昨今は技術の成長スピードが指数関数的に早まってきています。
それは、技術や世間の状況が刻一刻と移り変わっているということと同じです。
そんな中で、自分や企業が同じ方法で、同じ結果を出している毎日を送っているというのは、成長している世間から相対的に見れば退化になるわけです。
もっと効率のよい方法はないか、もっと楽できる方法はないかと考える。
自分個人でも同じです。昨日の自分と比べて、何ができるようになっただろうか。何を達成しただろうか。と、考えてみる。でないと、世間に置いてきぼりにされてしまうのです。

しかし、こう書くと、私はどれだけハイパーで、意識が高いやつなんだと思われてしまうかもしれません。
基本的にはそういう人間なんですが、「現状維持は退化だ」ということが必ずしも正しいと言っている訳ではありません。
私は、デリダの「二項対立の脱構築化」という概念が好きです。
簡単にいうとYes or Noどっちが正しいということではなく、どっちも一理あるよね。というか、その問題提起自体どうなんでしょう。という考え方です。
少数派意見も擁護するのが、デリダ先生です。
（違うことを言っていたらすみません。猛省いたします）

・現状維持もいいよね

今回の現状維持は退化である。という主張を根底から覆すことになってしまうのですが、現状維持もいいですよね。人間は安定すると落ち着きますから。
心の平穏のためには、現状維持は必要なのです。
生活や仕事が不安定だと、心も不安で不安定になり。安定すると安心します。
しかし、先述したように、現状維持できていない可能性も念頭に入れてください。

おそらく、人間には両方必要なのでしょう。
仕事では果敢に挑戦していかなければならない、その不安を何かしら安定したもので補う。
それは家庭であったり、ゲームや娯楽であったりするかもしれません。
現状維持は退化である、両価性を人間は兼ね備えているのです。

ですので、冒頭に言った、
「現状維持は退化だ！」
というのは、その人にとって、ある部分では真であるし、ある部分では偽であります。
また、根性論ではなく、論理的にも筋が通っている可能性があります。
我々は現状維持は退化だということはわかってはいるけれど、こうやって根性論のように怒鳴られるのが嫌なだけかもしれませんよね。

現状維持も、進化するのも、どっちもいいところがあるよね。

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