中国ベンチャーに学ぶ・拾捌「新・顧客体験時代のゆくえ」

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🔳ニューリテールがもたらす新顧客体験時代

アリババ創設者のジャック・マーが提唱したニューリテール(新小売)とは
”小売業を徹底的にデジタル化して小売業のデジタルトランスフォーメーションを実現すること”
即ち、オンラインとオフラインを融合させた新しい消費体験を提供することを指した、よりよい豊かな暮らしを目指した戦略的な考え方です。

ネットとリアルの融合、オンラインとオフラインの相互乗り入れ、OMO(Online Merges with Offline)。ちょっと耳馴染みないので具体的にサービスをイメージしにくいですが、例えば、スーパーなどのリアル店舗で現物を見て、実際手にもとってみて納得して気に入った商品をスマホ一つで決済を済ませてそのまま自宅へ自動配送する、といったリアル体験とネットの利便性を融合させたようなサービスをイメージしてみてください。

リアル店舗のメリットは実物を手にとって吟味することができることです。
やはり、いくらECコマースが発展しようとも、購入前に商品を自分の目で確かめたいというニーズはなくなりません。ネットで購入した商品が自宅に届いた時に、イメージしてたのと違う!なんて経験が誰にでもあるのではないと思います。そういった失敗を極力減らす意味もありますが、実店舗で本物を目にしたときに、それを本当に欲しいと思う気もちの昂ぶり=購入意欲の高さは、リアルな体験に敵うものはないのではないかと思います。

そういったマインドの部分で効果が見込めるリアルの良さを活かしながら、オンラインを併用することで手に入る情報、例えば生産、流通、販売といった各工程におけるデータを活用することで、顧客の体験ベース型の購買行動を分析し、新たな消費スタイルの提案に繋げていくことができるのです。ビッグデータをBtoC領域で最適化したマーケティングの一つの解、とも言えるかもしれません。

ECでもリアルでも、商品売買につきものなのが価格競争です。これは、リアル店舗で店員が接客して商品を売る場合に比べると、人件費や不動産費、商品の大量買い付けによる単価交渉や配送コストの圧縮といった部分で、どうしてもネットで買うことの方が安くなることが多分にあります。半面、商品を買う前に自分の目で実際に確かめたいという欲求が高まったことから、OMOの発想は、ネットとリアルの良いとこ取り、といったポイントで広く受け入れられるようになったのだと思います。

さて、そんなニューリテールの模範店とも言える、アリババが出資したフーマーシェンシェン(盒馬鲜生)は、2016年1月から運営を開始してから現在、中国全土に約170店舗展開する最先端のネットスーパーと表現できるでしょう。専用アプリから注文すると、店舗から3キロ離れた場所までであれば、注文後最短30分以内で配達が可能という利便性を持ち合わせているのが特徴です。

店内にはフードコートを併設しており、購入した後そのまま食事ができるのも魅力の一つです。肉類、魚介類、野菜類など毎日新鮮な食材を販売しており、例えば鮮魚コーナーで買った魚介類をその場で調理して食す、といった体験型ショッピングを堪能できる設計になっています。

スーパーのECショッピングは日本でもだいぶ増えてきた感がえりますが、一般的な浸透率となると、まだまだ意識が及ばないところ、というのが現実的ではないでしょうか。しかも30分以内にお届けするのは結構頑張らないとシビアな条件です。

いまや、フーマーの売上高の60%は「スマホで注文→店舗ピックアップ→自宅配送のネットスーパー型」ということですから、かなり普及していると考えられますし、多くの方が新しい体験を通して商品を購入しているのです。

中国ですっかりお馴染みとなったこの買い物スタイルでは、一度その便利さに慣れてしまうと、”手が届かなかったところに手が届く快適さ”に、なかなか以前のスタイルには戻り辛くなるようです。まるでIKEAを連想させるような倉庫感を漂わせる店内で、お気に入りの商品を見つけて簡単に決済を済ませば、あとは勝手に自宅に届くのを待つだけですから、利用者からするとお気軽な買い物スタイルとでもいったところでしょうか。

楽しい・安全・新鮮・便利 × 体験。

このポイントを頭と体で理解すれば、多少高額な販売価格でも顧客が受け入れてくれます。きちんと儲けを乗せることは商売の鉄則なのです。

一方で、多くの注文が入る裏方には別のドラマが動いています。
店舗スタッフたちが、注文に合わせて必死に品を集め箱詰めする”見えない努力に陰で支えられている”のです。天井に張り巡らされたベルトコンベアが賢い仕分けに役立っているのであれば、店舗スタッフが流す汗はクリックを促す潤滑油と言えるでしょう。正に、目には入らない影の立役者によって、体験型のデジタルトランスフォーメーションが成り立っているのです。

インターネット産業関連のシンクタンクであるiResearch(艾瑞諮詢)によると、中国の生鮮EC市場の2018年の市場取引額は2,045億元(約3兆675億円、1元=約15円)を突破し、2022年には7,000億元を超えると言われています。

▼中国の生鮮EC市場規模と伸び率の推移(出典:JETRO/iResearch調べ)

中国EC市場規模JETRO

▼中国の生鮮ECプラットフォームのユーザー利用数(2019年12月)
(出典:JETRO/iResearch調べ)

中国ECユーザー数

中国の生鮮EC市場は4強がほぼ全てで、多点DMALLとフーマーによる競争はまだ続いていくことが予測されます。

今後の課題は引き続き商品の安定供給に加えて、年配利用者へのケアなども必要になってくるでしょう。商品品質はもちろん、鮮度を保つ品質管理ロジスティックコストの削減など、向き合う必要がある課題が溢れています。

チームで取り組むべきこれらの課題とその改善に本気で向き合ってこそ、
ニューリテールがその先の未来に私たちを連れて行ってくれるのだと思います。

<続く>

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