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とんちんかんな母から生まれた優しい子


児童会や学級委員
ガールスカウトにボランティア活動
そんな事に積極的に参加する姉と違って
息子は少し控えめな性格をしています。

幼稚園の頃から言われていたのは
「もっと積極的に前に出ると、もっと良いのに」と言う事。
私の中にも
「息子、もっと前に出る勇気を持って!」と言う気持ちがありました。

彼が3歳の時、幼稚園のブロックを使って
それはそれはカッコいい剣を作ったそうです。
周りの子達が「いいなぁ」「かっこいいなぁ」と言い出して
「先生、〇くんみたいな剣を作って!!」となったと。
先生が試行錯誤したけれど、息子が作った様な剣にならなくて
「先生には難しいから、〇くん、みんなに教えてあげて」と
息子に言われたそうです。
息子は自分の周りに集まってくる友達に
「こうだよ、それだよ」と教えてあげたのです。
けれど
家に帰って来るなり泣きました。
ブロックの話を聞いて
私は息子がどうして泣いたのかパッと思い付かず
涙の理由を聞きました。


「みんなが僕に注目するのが苦手」

へぇ~、そんな事ってあるんだと思ったと同時に
自分が吃音で、みんなに茶化される時、一斉に自分に向けられる目を思い出しました。
でも息子は褒められて注目されているのに・・。
私はわかった様で、わからない、そんな気持ちでした。

それから何年も経って、息子も11歳。
相変わらず注目される事が苦手です。
美術や工作で表彰されても、
家では「いぇいいぇい🌟」と喜んでも
学校でキャーキャー言われるのが苦手なのは変わりません。
スポーツも得意でリレーのアンカーなど選ばれるのですが
家で1人、かなり悩みに悩んで当日を迎えています。

娘が前に出るタイプで
私も吃音持ちとはいえ、肝が据われば何百人を前にしてもプレゼンが出来るタイプなので、裏方さんの様な息子の所作が時に私を悶々とさせました。

そんな彼に転機が来ました。
学年で放送委員や飼育委員、給食委員など決める時に、
彼のクラスで何故か、息子だけが図書委員になったのです。
本が好きだからと言う理由でなった図書委員。
最初はとても楽しそうでした。
でも、彼はピンチを迎えます。
各クラス別で、委員毎に1年間の活動報告をしなければならないと言うのです。
彼のクラスで図書委員は彼だけ。
という事は資料作りから発表まで全て彼がする事になりました。

「どうするよ、俺・・・」としばらくチーーンとなっていましたが
どうにか彼なりに発表し乗り越える事が出来たようです。

私は、いつあるの?とか、どこまで進んだの?とか一切聞きませんでしたから、息子が「声が小さかったなと思うけど、やれるだけやってきたよ」と
晩御飯の時に話してくれて、
「あぁ、無事に終わって良かったね」と
言う事が出来ました。

そう、間違えていたのは私の方でした。

「もっと前に出て欲しい。自分の声を出して
行動を起こして欲しい」
ずっとそう思って来ました。
「前に出る勇気を」と勘違いしていたのは私。


息子が本領発揮出来る場所は、
必ずしも前じゃないという事
それを知る事が大切でした。

不登校の友達の引き出しに、配られたプリントを入れる時、
息子は先生が「ここは大切だから赤線引きなさい」と言う一文に
自分のプリントと、友達のプリントにも赤線を引くそうです。
それから引き出しにプリントを入れる。
「そんな事をしてくれるのは○くんだけですよ」と、先生が連絡帳に書いてくださいました。

注目されるのが嫌で泣いていた息子は、
とても優しい子になりました。
我儘で甘えん坊だけれど
自分が目立つ事は苦手だけれど、
こそっと優しい事が出来る子になりました。

私が凹んでいた月曜日
そっと風呂場のドアを開けて
「母、寝ちゃダメよ」と元気が無い私の様子を見に来てくれました。

「少数派の意見や話を聞く耳や姿勢を大切に」
そう2人に言ってきました。
多数の意見は知らんぷりしていても耳に入ってくるし目に入るけれど
少数派の人達の声は拾いに行かないと見落としてしまったり
何なら、一生気が付かない事にもなり得るから。

「自分と考えが違っても否定ではなく、なぜだろうと疑問から入ろう」
そう2人にも言ってきました。
自分とは違う考えや価値観の人と会うと、
溝や拒否が生まれやすくなります。

特に言語や文化など違う人と交わる機会の少ない日本だと、偏りがちになってしまうでしょう。
違うって事は、自分にとっても新しい視点が生まれるチャンスだよと
言っていた私自身が、
息子の事を大きく間違えていたのです。


前に出る事が常に丸ではないと言う事。
裏方で見えない所に全力で向かう人が居て
初めて、人は、前に出る事が出来る。
2人に言ってきたくせに私が一番分かっていなかった。

とんちんかんな母のもと、
優しく育ってくれた息子に
本当に感謝だなぁと思います。

それに、誰隔てなく
声を掛ける事が出来る娘も優しいです。
場面緘黙の子とは
小学校時代から交流を続けています。
あれこれそれ、を言わず
はっきりと名詞を言う、動作を示す娘は
発達障害と言われるお友達にとても好かれます。
今、自分が福祉の世界にいて気が付いた事ですが
一緒にいて分かりやすいのです。
なぜ抱き付いたらいけないのか、を
ただ、嫌だからと言うのではなく、
『急に抱き付かれるとビックリして少し怖いし
今は感染予防で距離を取るのも大切。
だから抱きつくのはやめて、
その代わりに名前を呼んで話しかけてね』と
とても具体的。

これは彼女が自然に身に付けた事で
幼稚園の時からそうでした。

毎日色々な事がありますが
2人といる今を想うと
今までの全てに感謝だなと思うことが出来ます。
それにはDV元日本人夫も含まれる。
それくらいとても大切な2人なのです。

職場でも周りでも
受験や、卒業、就職などの話を聞く季節になりました。
私は子離れ出来るかしらと想いを馳せる今日なのでした。


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