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ポストにシールじゃ寂しいから、ちゃんと表札をつくった

そろそろちゃんとしたのが欲しいねと妻と言い合い早5年。いよいよそのときがやってきました。

そもそも、僕たち86400"では「空気と反応する表札」という商品をつくっています。

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写真のような会社用のものや、実験用サンプルの表札は掲出していますが、今回は自宅用の表札を自社に注文してみようという“自作自演”の試みです。


① 月みたいな表札をつくりたい

“自作自演”とはいえ、ちゃんと自分でお金を払うので注文は真剣です。
というよりも、表札って決して安いものでもないですし、何より1回つくったら長く大切にしたい。引っ越ししても、ずっと持ってまわりたいなと思っています。

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商品の細かい説明は販売ページをご覧いただくとして、
ざっくり注文の際に必要なのは以下の項目。

・材料:2種類(真鍮 / 銅)
・形状:4種類(長方形プレート / 正方形プレート / 円形プレート / ヘラ絞り)
・フォント:5種類(第一希望、第二希望)
・刻む文字(大きい方の文字 / 小さい方の文字)
※ 自由にデザインできるフリーフォーマットも可

ということで、まずは材料と形状から。

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我が家では材料は真鍮、形は円形プレートのものに即決。
「空気と反応する表札」はその名の通り空気と反応して変色したり、雨の跡が残ったりしていくところが特徴。写真の真鍮板みたいに、数日、数年、数ヶ月経ってどんどん 月 みたいになっていってくれたら綺麗だろうなと。

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念の為、商品ページから原寸の型紙をダウンロードできるので、それを切り出して玄関周りのいろんなところに貼り付けてみます。
うん、やっぱり円形プレートが良さそうだねということに。
場所によっても合う・合わないは結構あって、いくつか良さそうな設置場所が見えてきました。

そうすると、残るは刻む文字。
通常入れられる文字は大きい方の文字(名前)と小さい方の文字(ふりがな)で、データを作成すればフリーフォーマットもOK。


② オリジナリティと普通のあいだで

僕の苗字は山本なのですが、
表記としては山本、やまもと、ヤマモト、yamamoto、YAMAMOTO…
ここに名前が入ってフルネームにする案や、妻の名前と併記するパターンなどいろいろと考えられます。

せっかくオリジナルでつくるんだから、何か考えたい。
 → 独特な表現にするか、何かロゴかイラストでも入れる?
でも、長く使うものだからあまり突飛なものにしたくないな。
 → 普通に、「山本」にふりがなで「やまもと」でいいんじゃない?

オリジナリティと普通、このあいだで揺れます。
この商品を注文してくれたお客さんがどんな気持ちでデザインを決めたのか、少しわかるような気がしました。

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色々と試している中で、ひらがなだけでつくる案が浮上。
もともと名前のひらがな表記が好きなのと、円形にひらがなの柔らかい印象が合うかもということに。
(山本って、どちらの文字も左右対称でちょっとつまらないんですよね、というあまり理解されない理由で漢字表記は好きではないんですよね)

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ひらがな1行パターンはそのまま商品ページからも注文できるのですが、友人のグラフィックデザイナーに相談すると僕たちっぽいというフォントを提案してくれました。
ということで、通常注文ではなくPDFデータを作ってフリーフォーマットで注文することに。ちなみにPDFデータを自作すれば追加料金なしです。

さて、これで全て決定!
フリーフォーマットということで、オーダーフォームからデータを送り、銀行振り込みにて支払いを済ますという流れです。
納期はデザイン内容を確認後(線が細すぎないかなどのチェックが入ります)、10営業日程度で出荷ということで、長いような短いような絶妙な待ち時間を過ごします。


③ 特権で製作を見学

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作成したデータをピカピカの真鍮板に転写してマスキング。折角なのでここだけ自分でやらせてもらいました。自社商品の特権。

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次に茶色の溶液に浸します。少しずつマスキングしていない部分が溶けて、文字部分だけ浮き出て見えてきます。

文字の浮き出しが済んだら洗い流して研磨。表面をランダムヘアラインでマットな表情に仕上げていきます。最後に、イボタロウというロウを表面に塗って、ついに完成です。


③ 表札を掲げると背筋が伸びますね

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注文から9日後、手元に商品がきました。
文字が赤みがかっていて、綺麗。


さて、いよいよ取り付け。

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取り付け方法はマグネット。
裏にマグネット吸着板が取り付けてあるので、壁面側にビス1本でマグネットを固定するだけ。手で触っちゃうとすぐに変色するので手袋、大事。

実は、僕が注文した段階では接着剤か両面テープで留める方法のみでした。

が、先にもお話した通り、これから引っ越した先でも使いたいとか、設置位置を変えたくなるかもとか、あとは何よりお手入れすることもこの表札の楽しみのひとつなので、お手入れしやすいように探しに探して結果マグネットに変更しました。
もっと早く対応すべきでした、反省です。

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そして設置場所について。
経年変化するため、雨に濡れる濡れないが大きなポイントですが、他にも認識のしやすさ、全体のバランスとか諸々チェック。真鍮は雨に濡れて跡が残るのもいい感じなのですが、まずは雨に濡れない庇の下に設置してみようということに。

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向かいの建物に日が当たっている時間帯は、それが反射して表札がぼんやり輝きます。

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庇の影が落ちる時間も綺麗です。
他にも満月の夜はうっすら表札が光っていたり、季節や時間帯によっても全然違う表情になるので見てて飽きないですね。

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やっぱり表札っていいですね。背筋がスッと伸びる感じ。
僕は子供の頃マンション暮らしだったので、戸建てに対する憧れがあります。
この表札への想いはその象徴なのかもしれません。

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自分が取り付けたからか、街を歩いていると他の人の表札がより目に付くようになりました。お家とのバランスや、素材、文字の大きさやデザイン、掲げられている表札からここにはどんな人が住んでるか、勝手に妄想してしまいます。(あくまで妄想なのでご容赦を!)


④ 3ヶ月ほど経ってちょっと変色してきました

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取り付けて3ヶ月の様子。
写真じゃわかりづらいですが、雨が当たらない場所なので本当に少しずつ鈍い色に変色しています。。

空気と反応する表札は、雨に濡らしたり、あえて手でベタベタ触ったり(こちらの記事を参考)、ピカールで研磨して光沢感を出したりと、いろんな方法で表情を変えることができます。

僕たちもこれからいろんなお手入れを試してみようと考えています。
その様子もまた改めて報告したいと思っています。



<この記事に登場した商品の情報>

空気と反応する表札


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