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競馬

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#競馬観戦記

【競馬コラム】ラジオNIKKEI大関隼アナの言葉が何よりも心に残ったフェブラリーS

フェブラリーSはカフェファラオが連覇を達成。東京ダートマイル戦では滅法強い一方、他の条件だとからっきしの「訳あり王者」だが、欠点を補うより長所を伸ばそうというイマドキの考えには合致したキャラのように思う。ただ、仮にもG1を2回勝った馬がコロコロ負けまくるようだと示しがつかないので、今後はもうちょいカッコつけてもらえるとうれしいです。 このレースの上がり3Fが34.3秒と芝並みの数値をマークしていることや、地方のダートが合わないことを考えると芝のマイル戦に照準を合わすのも手かと

【競馬コラム】敗戦を糧に成長を遂げたキラーアビリティ

ホープフルSが行われた28日は年内最終出勤日。そのまま社長と二人で飲みに出かけ、帰ってからPCに向かう気力が沸くはずもなくそのままおやすみなさい。そして翌日は朝からとめどなく眠く、夜も21日を過ぎると放っておいても寝落ちしてしまいそうな勢いだったので諦めて早寝。そんな言い訳をしながら今ようやくホープフルSを振り返ろうと思う。ただ、時間が経ったからといって何か深みのある話ができるわけではないので、例によってそのへんはご容赦を。 ここまで明暗がハッキリと分かれるとはねえ。単勝1

【競馬コラム】笑顔なき有馬記念制覇、思い切り喜ぶ横山武史が見たかった

本当なら派手なガッツポーズとともに喜びを爆発させる横山武史が見られるはずだった。しかし、ゴール後から検量室に向かうまで、手を挙げる仕草すら見せない。ゴーグルの先の表情まではわからないが、とても勝者とは思えない神妙な振る舞いのまま引き揚げてゆくその姿からは、痛切な懺悔の念が伝わってきた。 最強の相棒エフフォーリアと歩んだ1年を、最高の形で締めくくる勝利。思い切り喜びたかったよなあ。そして喜びを分かち合いたかった。勝ってなお悔やまれる、「油断騎乗」の過ち。引きずることなく大舞台

【競馬コラム】へこたれない男たちーキーファーズの武豊愛、ついに結実

今の武豊を支えているのは間違いなく「情熱」だ。ノーザンF系の各クラブから有力馬を任される可能性は限りなくゼロに近い現状で、G1を意識できる大物と出会えるとしたら、主戦として扱う個人馬主さんが「当たり」を引くしかない。 その中でも群を抜いて課金を続けてきたのがキーファーズの松島正昭代表。「武豊と凱旋門賞を勝つ」を合言葉にセレクトセールで高額馬を次々に落札するばかりか、日本馬の遠征では実現が難しいとなれば欧州クールモアグループに直談判して所有馬を譲り受けるなど、あの手この手でガ

【競馬コラム】地味に強いぞ新王者テーオーケインズ

ちょうどこのチャンピオンズCに先駆けて、いつもお世話になってる「ウマフリ」さんからクロフネの記事をご依頼いただいたんですよ。 JCダートの7馬身差圧勝ってめちゃくちゃ強かったですよね、それこそ一生忘れられないレベルの衝撃でした。そこに至るまでの過程もドラマチックだったし、だからこそ今もこうして語り継がれているわけです。 しかしテーオーケインズの6馬身差はどうだろう..w 語り継がれるどころか、来年にはうっかり忘れてしまってもおかしくないほどに地味だ。きょうのレースを見てい

【競馬コラム】コントレイルという名の希望

「あの頃」を思い出さずにはいられない。2020年の春。「人と会うと感染します。ほとんど症状は出ないので感染しているかはわかりません。でも発症すると生命に危機を及ぼします。薬ありません」というチート設定のウイルスが世界的に流行し、手探りの末に我々が取った対策は「家にいること」しかなかった。学校や幼稚園は休みになり、会社はリモートワーク。通勤・通学の時間帯も、電車は本当にガラガラになった。大型商業施設も臨時休業、「日用品が無くなる」というデマに踊らされた人々はこぞって量販店にトイ

【競馬コラム】悪夢の落馬負傷からちょうど3年、幸英明さん歓喜のG1制覇はアカイイトに導かれ

ちょうど3年前のエリザベス女王杯の日だった。知人の結婚式にお招きいただいていた僕は二次会でもダラダラとワインを飲み続け、そうこうしているうちに時計は15時40分を軽くオーバーラン。そろそろ結果を確認しようかなと、しばらく放置していたiPhoneに手を伸ばした。 そこで知らされた、衝撃的な事実。 飛び込んできたのは「幸騎手が落馬負傷で乗り替わり」といったニュースの見出しや、ツイッターに綴られた「ヤバい落ち方」といった書き込み。最初は「あちゃ、来週(マイルCS)のジュールポレ

【競馬コラム】エフフォーリアの悔しさは、エフフォーリアでしか晴らせない

ゴーグル越しの目元の様子を確かめることはできなかったが、わずかな表情の変化や仕草を見ていると、そこには光るものがあることは容易に想像できた。 横山武史、エフフォーリアとのコンビで天皇賞制覇。 先週の菊花賞に続くG1連勝となったが(さらっと書いているがとんでもない活躍ぶりである)、「してやったり」の大逃げで感情を爆発させたのとは対照的に、どこか喜びをかみしめるような姿が印象的だった。 「ダービーのこともあったので..」。 圧倒的1番人気で無敗の二冠を目指した日本ダービー

【競馬コラム】重圧からの解放、横山武史よこれからも奔放であれ

最愛の相棒・エフフォーリアとのコンビで皐月賞を制し、初めてのG1制覇を成し遂げた横山武史。ところが、二冠を目指した日本ダービーでは勝利まであと一歩のところでシャフリヤールの強襲に屈し、惜しくも「ダービージョッキー」の称号を得ることはできなかった。 もちろん本人にとっては悔しい結果となったが、逆に考えれば無敗や日本競馬最大の栄誉に挑む重圧から解放される敗戦でもあった。それゆえ菊花賞ではこのコンビがのびのびと走る姿が見られるものと思っていたが、エフフォーリアは天皇賞へ向かうこと

【競馬コラム】金子真人オーナーの運動会

いやあ、クラス対抗リレーはいつの時代もアツいですね。 今日は午後から娘の運動会観戦に行ってきました。本当なら朝に始まり午前中には終了予定だったのですが、雨の影響で予定変更に..お昼からはゆっくり競馬を見ながらくつろぎタイムを過ごそうと思っていただけに、正直まあまあテンション下がりました。 それでも我が子のみならず、子ども達の躍動する姿を見ていると伝わってくるもんがあります。ダンス系のパフォーマンスとか、ああ一生懸命に練習して振り付け覚えたんやなあとか、運動場が一体感に包ま

【競馬コラム】「前が壁!」の黒歴史も乗り越えて..福永祐一がピクシーナイトを若き短距離王へと導く

先日はJRA通算2,500勝を達成し、日本ダービーも4年で3度制するなど、40代を迎え円熟期に突入した福永祐一。だが、その輝かしい実績と同じように「黒歴史」を積み重ねてきたのも彼のジョッキー人生であった。 その一つが「ビッグアーサー前が壁!」の名実況で知られる16年スプリンターズSである。春に高松宮記念を制し、前哨戦のセントウルSも危なげない逃げ切り勝ちを収めたことで単勝1.8倍の圧倒的人気に推されながら、直線で進路を失い成す術なく馬群に沈んだことは記憶に新しい。 演出よ

【競馬】完全無欠の相棒エフフォーリアに導かれ、横山武史22歳での初G1制覇/皐月賞振り返り

JRA史上に残る名手である父・横山典弘をしてデビュー前から「あいつはマジでヤバい」と期待を寄せられた若武者の実力は本物だった。横山武史、22歳での初G1はクラシック皐月賞で。それも、単勝2番人気の有力馬エフフォーリアとのコンビで重圧に打ち勝ってのものだけに価値も大きい。 若手ジョッキー受難の時代である。 外国人騎手の大挙参戦やクラブ馬主の勢力強化に伴い、近年はG1に乗ることも簡単ではない。それゆえ日の目を見ることもないままムチを置く、若き乗り役も数多く見てきた。そんな状況

【競馬】ソダシも悔しかったんじゃないだろうか/桜花賞振り返り

悔しい。レースが終わって6時間ほどが経とうとしているが、まだ悔しい。きっとサトノレイナスも同じ気持ちだろう。 大外枠に超高速馬場と、難しいシチュエーションにも対応してくれたが、わずかに及ばず。昨年の阪神ジュベナイルFでハナ差だけ敗れたソダシへの雪辱は、またもならなかった。 それと同時に、ソダシも悔しかったんじゃないだろうか。ここまで無傷の4連勝と断然の人気に推されてもおかしくない成績を残しながら、前売り段階から単勝オッズはサトノレイナスと横並び。締め切り直前にはとうとう1番

【競馬】ディープインパクトの最高傑作すら牝馬の壁に阻まれた事実は重い/大阪杯振り返り

19年有馬記念、リスグラシュー5馬身。 20年宝塚記念、クロノジェネシス6馬身。 直線でみるみるうちに後続を引き離していく、あっけにとられるほどの強さ。近年の日本競馬を象徴するように、牡馬相手のG1で牝馬が圧巻の強さを見せつけるシーンをここ数年で何度も見てきた。 そして今年も。 古馬中長距離路線の開幕戦ともいうべきG1大阪杯で、レイパパレが4馬身もの差をつける圧勝を飾った。これまで5戦5勝とはいえ、G1は初出走。一線級との力関係は未知数だった。ましてや相手は三冠馬コント