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【競馬コラム】ラジオNIKKEI大関隼アナの言葉が何よりも心に残ったフェブラリーS

フェブラリーSはカフェファラオが連覇を達成。東京ダートマイル戦では滅法強い一方、他の条件だとからっきしの「訳あり王者」だが、欠点を補うより長所を伸ばそうというイマドキの考えには合致したキャラのように思う。ただ、仮にもG1を2回勝った馬がコロコロ負けまくるようだと示しがつかないので、今後はもうちょいカッコつけてもらえるとうれしいです。
このレースの上がり3Fが34.3秒と芝並みの数値をマークしていることや、地方のダートが合わないことを考えると芝のマイル戦に照準を合わすのも手かと。陣営からは海外を意識したコメントも出ているようで、今後の動向は興味深く見守りたい。
手綱を取った福永祐一も、香港での落馬負傷からわずか2ヶ月で戦線に復帰しいきなりのG1制覇。テン乗りながら、砂を被ると脆い性格を熟知し早めに外へ持ち出すソツのない騎乗で、しっかりと相棒の能力をフルに発揮させた。

途中からハナを奪う形になったテイエムサウスダンが2着に粘る奮闘。根岸Sで「交流重賞専」キャラを返上すると、距離の壁もクリアした。netkeibaのインタビューで「落ちぶれた」と自嘲していた岩田康誠の意地と根性を見た。ここ2戦、気力を失ったような敗戦が続いていたソダシが3着に踏ん張ったのも今後に向けて明るい材料。

レース前は今ひとつ盛り上がりに欠ける2022年のG1開幕戦だったが、それなりの満足感が得られたのであった。

それもこれも、スタート前にラジオNIKKEIの大関隼アナウンサーからすばらしい言葉を聞けたからだ。一言一句までは覚えていないが、日本のダート競馬と、昨年のブリーダーズCディスタフで成し遂げられた快挙に対する想いがそこには詰まっていた。

2021年、日本の競馬には大きなできごとがありました。365日、日本全国の競馬場で行われているダート競馬から、世界を極める馬が誕生しました。

こんな感じですわ。誰か正確な書き起こしできませんかね?

先月、2021年度JRA賞の選定に際し物議を醸した「マルシュロレーヌ問題」。日本競馬史上初の快挙を成し遂げた馬が特別賞すら与えられず、正当な評価を受けられていないのではということで、主にJRA側に批判の声が相次いだ。
実際、年度代表馬の投票結果を見てもエフフォーリアが圧倒的で、BCディスタフの勝ち馬マルシュロレーヌに投じられたのはわずか1票だった。その主が、この日マイクの前に立った大関アナである。

マルシュロレーヌの偉業を、そして日本ダート競馬の価値を誰よりも理解し、行動にも移した男の言葉だけにずっしりと重く響くものがあった。特に「365日」という言葉を使ったチョイスが涙を誘う。すなわちBC制覇は中央競馬のみならず地方競馬も含めたダート競馬全体の栄誉だったと、そう断言してくれたわけだ。このフェブラリーSにも船橋のミューチャリーが参戦していたし、カジノフォンテンやキャッスルトップなど、交流G1でJRA勢を打ち負かす地方馬の活躍もここ最近は目立っている。そして、他ならぬマルシュロレーヌも地方交流重賞で揉まれながら強くなっていった事実がある。

ラジオNIKKEIのアナウンサーは、JRAの場内にも実況が流れ、公式映像として資料が残るという立場上、どこぞの民放アナとは違い個性を発揮できる場が限られている。自分の意見や主観を述べるのではなく、いかに目の前に起きていることを正確に伝えるかが問われる仕事。
そんな彼らが「何か」を伝えられるとしたら、ゲートが開く前のほんのわずかな時間だけ。そこで改めてマルシュロレーヌの残した功績に触れたことで、せめてもの爪痕を残すことができたのではないだろうか。隼だけに。

スターターが台上に登り、ファンファーレが鳴り響く緊張の瞬間を、馬券も買わずボーッと見ていたひとりの競馬ファンの心にぶっ刺さる素敵な口上をありがとうございました大関アナ。個人的には忘れられない名実況となりました。

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