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【競馬コラム】金子真人オーナーの運動会

いやあ、クラス対抗リレーはいつの時代もアツいですね。

今日は午後から娘の運動会観戦に行ってきました。本当なら朝に始まり午前中には終了予定だったのですが、雨の影響で予定変更に..お昼からはゆっくり競馬を見ながらくつろぎタイムを過ごそうと思っていただけに、正直まあまあテンション下がりました。

それでも我が子のみならず、子ども達の躍動する姿を見ていると伝わってくるもんがあります。ダンス系のパフォーマンスとか、ああ一生懸命に練習して振り付け覚えたんやなあとか、運動場が一体感に包まれる感動を味わいました。

そしてクラス対抗リレー。自分が現役の頃を思い出しても、スカした高校生ですら体育祭の花形競技だけはガチで戦ってましたからね。それは幼稚園児も同じ。一人ひとりが全力で走り、勝てば喜び負ければ悔しがる。しかも一時は大差がついてこれは決まったなと思わせつつ、ちょっとしたバトンのミスやらで一気に差が詰まって最後まで勝負の行方がわからないというスリリングな展開。まさに青春のドラマ。世代や時代を越えて、走る側も見る側も夢中になれるすばらしき日本の伝統。

うちの娘もかけっこやダンスを楽しんでいたんですが、閉会後に父母と合流するとなぜか涙が..よくわかりませんが感極まるものがあったんでしょう。そのやり切った勇姿をしっかりと目に焼き付けておきましたよ父さんは。

きっと秋華賞を見守る金子真人オーナーも、同じような心境だったのではないでしょうか(少し強引に

桜花賞馬ソダシ(父クロフネ・母ブチコ・母母シラユキヒメ)、オークス2着のアカイトリノムスメ(父ディープインパクト・母アパパネ・母母ソルティビッド)、そして紫苑S3着で権利をつかんだミスフィガロ(父ディープインパクト・母ミスアンコール・母母ブロードアピール)と所有馬3頭が出走。いずれも父母どころか祖母まで現役時代の所有馬という離れ業をやってのけた上に、アカイトリノムスメが「最後の一冠」を射止める結末に。

桜花賞4着、オークス2着という成績も立派なものだが、春はどうも善戦が精一杯という印象があった。ところがこのレースでは前を射程圏に入れながらの積極的なレース運びで、手応え劣勢のソダシを尻目に豪快なスパート。外から追うファインルージュ、内から馬群を捌いて伸びるアンドヴァラナウトとの末脚比べで完勝を収めたのである。

これが成長力というものだろうか。

思えば新馬戦は全く見せ場のない完敗で、とてもG1に駒を進められるような馬の走りには見えなかった。ところが約2ヶ月の間隔を開けて出てきた未勝利戦でレースぶりが一変。鮮やかな末脚で初勝利を収めて以降は、母アパパネの名に恥じない快進撃を見せ、クイーンCで重賞初制覇。クラシック候補の一角として名乗りを挙げた。
ただ、同じ馬主さんにはソダシが、そして同じ国枝栄厩舎にはサトノレイナスがいたことで、春は「ナンバー2」の位置づけに甘んじていたようにも思う。レースを使うローテーションもジョッキーの起用も、他馬の都合を優先させられた。そんなポジションから一気に主役の座を奪い取った意地と強さを感じる、ゴール前の末脚だった。

一方のソダシは思わぬ失速で10着と大敗。前半1000mが61.2秒と表示されたのを見て勝ちを確信してしまったが、逃げるエイシンヒテンを捕まえられず、後続が迫ってきたところでもうギブアップ。吉田隼人は「走るのを嫌がっていたかも」とのコメントを残していたが、確かにゲートの出脚もイマイチで1角に入るまではややスムーズさを欠いていた。良馬場発表とはいえ夜のうちに降った雨で時計のかかる馬場になったのも、お気に召さなかったのかもしれない。
これは以前にも書いたことがあるが、圧倒的アイドル人気を誇る一方で馬券の売れ方はシビアなことが多いのがソダシのおもしろいところ。札幌記念でもラヴズオンリーユーに1番人気を譲ったほど。「今回は危ないんじゃないか」と疑われたところでそれを覆すのが彼女の魅力であり、逆にオークスのときもそうだったが単勝1倍代の圧倒的支持を集めると脆さを覗かせてしまうのが悩ましくもあり、かわいくもあり。

ミスフィガロは後方から差を詰めるだけで9着に終わったが、5月にようやく初勝利を挙げたことを思えばこの場に立てているだけでも快挙。これからどんどん強くなっていくことだろう。

トライアルで強い勝ち方をしてきたファインルージュとアンドヴァラナウトが2着・3着と健闘したこともあって、非常に見ごたえのあるレースになったと思います。前半スローから中盤で一気にペースが上がり最後はまた消耗戦になるという少し特殊なラップで、しかも雨の影響も残ったのか勝ち時計はやや遅めと細かい分析が難しそう(やらない

残念ながらオークス馬ユーバーレーベンは13着と大敗。序盤から流れに乗れず、後方から差を詰めるいつもの脚も見られぬまま。やはり頓挫があってのぶっつけ参戦は厳しかったと判断せざるを得ないでしょう、いくら絶好調の手塚貴久厩舎とはいえ。
今回は度外視できる結果ではありますが、ゴールドシップ産駒は一度リズムが狂うと復調に手間取るケースが多いように思うので立て直しには細心の注意を払ってもらいたい。さすがにエリザベス女王杯を使うのは強行策にも程があるし、来年までじっくり休んでいいのでは。

競馬の世界で「運動会」というと、大量に所有馬を出走させる大手馬主を揶揄する表現として使われがち(一部ミルファームを除く)だが、金子真人オーナーのように大切に育まれた血脈が大きな舞台で躍動する姿を見守るのは馬主冥利に尽きる喜びだろう。
一気に冬のような寒さが訪れた秋晴れの日曜、昼下がりに我が娘とアカイトリノムスメの激走を見届けながら、金子真人オーナーの偉大さが改めてうらやましく感じられるのであった。

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