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【競馬コラム】重圧からの解放、横山武史よこれからも奔放であれ

最愛の相棒・エフフォーリアとのコンビで皐月賞を制し、初めてのG1制覇を成し遂げた横山武史。ところが、二冠を目指した日本ダービーでは勝利まであと一歩のところでシャフリヤールの強襲に屈し、惜しくも「ダービージョッキー」の称号を得ることはできなかった。

もちろん本人にとっては悔しい結果となったが、逆に考えれば無敗や日本競馬最大の栄誉に挑む重圧から解放される敗戦でもあった。それゆえ菊花賞ではこのコンビがのびのびと走る姿が見られるものと思っていたが、エフフォーリアは天皇賞へ向かうことが早々に決定。父・横山典弘が98年にセイウンスカイで皐月賞と菊花賞の二冠を達成した再現はならなかった。

ところが意外な形で「もう一頭」のお手馬が彼を待っていた。弥生賞でコンビを組み、鮮やかに逃げ切り勝ちを収めたタイトルホルダー。前哨戦のセントライト記念では思い切り馬群に包まれ何もできずに終わってしまったが、皐月賞2着の実績もある通り世代トップクラスの実力馬である。ただ、父ドゥラメンテ譲りの前向きな気性だけに3000mをどうこなすかが焦点となっていた。

そこで待っていたのは、セイウンスカイの再現だった。

序盤は速く、中盤は思い切り息を入れ、そして終盤に再び突き離す。完全にレースを支配された後続はなす術なくついて回ることしかできない。気分よく先頭を進んだ人馬は最後の直線に向いても余力たっぷり。2着に5馬身もの差をつけての圧勝となった。

これほどまでの大胆な騎乗をやってのけるとは..改めてその技術と精神力の強さには感服するばかりだし、すでにG1勝ちを経験していたことも彼自身を後押ししたことだろう。今後も強い馬を次々に任されることになるだろうが、型にハマることなく奔放なジョッキーであり続けてほしい。

そんな願いを託せるのも、タケシくらいしかいない。

亡き父ドゥラメンテに産駒初のG1を贈ったタイトルホルダー。ノーザンFのエリートたちに比べるとやや「地味キャラ」に映る彼だが、新馬勝ち直後に東スポ杯2歳Sに挑み2着で賞金加算に成功すると、ホープフルS以後はクラシック戦線のど真ん中を駆け抜け健闘してきた。大きく崩れたのも前述のセントライト記念だけで、全く力を発揮できずに終わったもの。直行ローテが主流の中、春秋のトライアルを使われながら強くなっていった道のりに、大きなご褒美が待っていた。
近年は春のクラシックホースにスルーされがちな菊花賞だが、それでも勝ち馬は「一発屋」で終わることなくその後もG1のタイトルを積み重ねる馬が多い。菊花賞馬の看板を背負って、今後も頑張ってもらいたい。

オーソクレースも堂々の2着。終わってみれば大外枠にも泣かされた形になったが、たとえそこそこの枠を取れていたにしても勝ち馬に迫れたかどうかは..それだけタイトルホルダーは完ぺきな競馬をしていた。
だが悲観することは何もない。厳しい状況下でもG1で上位を争えるだけの力があることはわかったし、手応え劣勢の中からジワジワと伸びてきたのはやはり母マリアライト譲りの根性。「マリアライト姉さん」も前向きに捉えてもらいたい。

そして3着には牝馬のディヴァインラヴ。そういえば2年前の牝馬メロディーレーンが5着に健闘していたように、長距離適性があれば牡馬クラシックでも互角に渡り合えるということか。今後も固定観念にとらわれることなく、柔軟な発想で牝馬の参戦を楽しみにしたい。

脇役から主役の座を狙ったステラヴェローチェだったが4着まで。吉田隼人は状態面を敗因に挙げていたが、あんまり仕上りどうこう言うと須貝尚介調教師はすぐ降ろすから気をつけた方がいいw
確かに坂路でヴェローチェオロに遅れたのは気になっていたが、実力通りの結果なんじゃないのとも思っている。春の二冠は人気薄で一発狙いの末脚勝負で好走。今度は人気を背負う立場で外を回って勝ちにいった分だけ伸びきれず..だいたい思っていた通りの負け方でした。

それから最終的にレッドジェネシスが1番人気になっていたのには驚いた。混戦ムードで好枠の川田将雅に頼りたくなる気持ちはわからんでもないが、
いくら何でもG1で1番人気を背負って応えられる馬じゃないでしょう..出脚が悪く後方からの競馬になり、勝負どころでも動けず何の見せ場もないまま終了。

最後にゴールドシップ産駒ヴェローチェオロが6着と善戦。あわや掲示板まであるぞというところまで追い込んできた。4角ではもうついて行けなさそうな雰囲気になっていたが、そこからジワジワと。バテた馬を交わしてのものでそこまで強調材料はないが、見せ場は作ってくれました。まだ準OPに出られる身だが、今後も長距離重賞を沸かせる存在になってほしい。

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