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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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#家

こまりんぼ【埴輪紹介所その1】

埴輪紹介所はじめました。 初回はこまりんぼ。 埴輪ならではのプロポーション。 上着の下のトリック。 横から見ると、とっても細い。 クツは平べったい。 でも鼻は高く、立派なミズラを結っています。 弓もユギもないけど、鞆を腰に下げる。大刀も。 肩甲(かたよろい)と籠手(こて)で腕はがっちりガードも、胴体はのっぺりで甲っぽくない。大丈夫か。 冑は謎多し。 いつもこまり顔。ため息が聞こえる。 そんな彼がわたしは大好き。 群馬県藤岡市白石字滝出土の男子埴輪。 所蔵はトーハ

乙姫に捧げる竜宮城【埴輪紹介所その88】

屋根の縁に 魚が泳ぐ。 この埴輪は竜宮城かもしれない。 そう思えば水の中に置きたくなる。 鯛やヒラメが出たり入ったり泳ぎ回る家。 屋根のトゲトゲはハリセンボンっぽい。 横木が渡されていたり、入口が波打ってたり、細かい線刻があったりと、手が込んでいる。 乙姫に捧げる家形埴輪。 しかし、屋根の縁で泳ぐ魚、よく見ると1匹は鳥にくわえられている。 海から陸へ。浦島太郎の帰還。 大阪府高槻市今城塚古墳出土の家形埴輪。高さ132cm。 同古墳からは牛形埴輪も出土しています。

小さな白いおうち【埴輪紹介所その79】

各種埴輪に囲まれる小さな白いおうち。高さ39cm。 家形埴輪は囲まれがち。 円筒埴輪に囲まれたり、囲形埴輪に囲まれたり、鋸歯筒形埴輪に囲まれたりする。 この家形埴輪の配置は、ちょっと確認できなかったけど。 縦長の長方形の孔が出入り口、正方形の孔が窓、と見てよいでしょう。 屋根にこれと言って飾りはない。 そのぶん、横に伸びた切妻屋根が際立つ。家本体の倍ぐらい伸びている。高さより横幅。 大阪府大阪市の長原古墳群の長原一ヶ塚(いちがづか)古墳(長原85号墳)出土の切

お屋根ぱっかりぎりぎり四角【埴輪紹介所その44】

これなんだと思われます? 家だそうです。お屋根があいてます。ドーム? 閉じられないが。 雨が入り放題でも、埴輪だからいいか。いいか? 全体を見れば、 まあ家か。 下部の縦にのびる突帯(とったい)で、ぎりぎり四角。 何の埴輪にせよ、孔の位置がおかしいけど。 でも ここだけ見ると… 鋲いっぱいのヨロイ? 短甲と草摺っぽい。 くびれがウエストっぽい。 脇の孔が腕を出すところみたい。 甲形埴輪もしくは甲を着た人物埴輪を作ろうとして、 途中で気が変わって入母屋造りの家形

谷間の家(囲いつき)【埴輪紹介所その43】

二重の突帯がめぐる囲い。 囲いの入口の上に鋸歯あり。 入口自体は開放型。 ぐるっと回ってのぞき込む。 家の中を見たいが、 囲いに阻まれる。 家のなかにあるという木樋(もくひ)と水槽が見たい。 隠すことが目的で作ったのなら、目的は達成されている。 墳丘と出島(墳丘から陸橋でつながっている島状遺構)との間から出土したそうな。 岡山県岡山市の金蔵山(かなくらやま)古墳出土の家形埴輪。切妻造り。高さ約37cm、桁行約32cm、梁間約26cm。 および、囲形埴輪。高さ約38

用心棒?【埴輪紹介所その42】

戸口の脇に、棒が立てられている。 何だろう? ほかの家形埴輪で見たことがない。  用心棒? 表札? 別づくりの扉がついていたのかな? 扉にしては戸口から離れすぎか。 ところで窓がないぞ。 誰のどういう家なのか、わからない。 屋根に飾りなし。線刻もシンプルな直線のみ。 埴輪にしては、切妻部分が小さめ。実際の家よりは大きい。 スカート状に降りる長めの裾廻突帯(すそまわりとったい)。 壁の下端は半円に切り欠かれている。 岡山県岡山市の金蔵山(かなくらやま)古墳出土の家形埴

カツオギは大事【埴輪紹介所その41】

戸口はどこ? 窓しかないみたい。 作り忘れたのかな。 秘密の出入り口があるのか。実は地下道が堀られているのか。 たてよこの突帯で区切られた壁。その一区画に窓だけあけた。 短いスカートのような裾廻突帯は安定感があってよい。 家本体と寄棟部分に対し、切妻部分はきっちりしたつくり。 屋根の上の6本のカツオギは、2本の棒にがっちりくっつけられている。重要性がうかがえる。 棟木も太い。破風もピンとのびている。 埼玉県行田市の埼玉古墳群の稲荷山古墳出土の家形埴輪。入母屋造り。 所蔵

足りないまま立ち上がる方法【埴輪紹介所その40】

破片をつなぎ合わせても、だいぶ足りない。特に屋根。 狭いてっぺんに並ぶカツオギも、1本なくなっちゃったみたい。もともとは4本かな。 欠けた部分を石膏などで埋めず、内側に骨組みをつける補強方法。 このやり方だと、どこが出土部分でどこが欠損しているのか、わかりやすい。 雨漏りもすきま風も、博物館の中だから大丈夫。さらにケースに守られている。 ところで、壁の突帯が目立つなあ。5本か。 壁面に突帯が多い家といえば、同じ茨城の玉里舟塚古墳の家を思い出す。 玉里舟塚のほうが、さら

ロングスカートに三角もようのノースリーブ【埴輪紹介所その39】

屋根、特に切妻部分が大きい家。 てっぺんにカツオギが6本。赤く塗られているようです。 刻まれた鋸歯紋にも、一つ置きに赤い色。 切妻に対し、寄棟部分は小さい。 現実と違うバランス。埴輪の家らしい家。 壁はまるい。角がない。 横から切妻部分をのぞいて見ると 風通しよし。 ロングスカートに三角もようのノースリーブを合わせた? 細身。特にウエストが締まっている。 群馬県出土の家形埴輪。入母屋造。 所蔵は八王子市郷土資料館。 撮影は2017年、『学芸員のおすすめ!蔵出し収

むっちりしたビル?【埴輪紹介所その38】

屋根と壁の境目がラフ。 軒がないのよ。 全体に箱っぽい。ビルっぽい。四隅の角は、ややあまい。 カツオギ6本を乗せた屋根は、入母屋造りのつもりらしい。上が切妻、下が寄棟。 でも切妻と寄棟の境目のくびれが弱い。切妻の破風が埴輪にしては抑えめ。 ビルっぽいのは合計5本の水平な突帯(とったい)のせいもある。 突帯自体は埴輪の特徴だ。 壁を切り抜いただけのシンプルタイプの窓と戸口。戸口に扉なし。 埼玉県深谷市の山崎山出土の家形埴輪。入母屋造り。 所蔵は埼玉県立歴史と民俗の博物館。

いつでも小人が待っている【埴輪紹介所その37】

ころっとした小さな家。 ゆるやかな曲線を描く屋根のてっぺんには、カツオギ3本が乗る。 開いた戸口をよく見ると、 扉があるではありませんか。 押し込まれているけど、どうやってくっつけた? その扉をよーく見ると、取っ手つき。 でも取っ手も扉も動かなそう。いつでも開放中。 埴輪時代からずっと、小人が待っている。 埼玉県深谷市の山崎山出土の家形埴輪。寄棟造り。 はにこの記憶と目測では、高さ30㎝はあったかと。50㎝はなかったような。 所蔵は埼玉県立歴史と民俗の博物館。 撮影

ログハウス【埴輪紹介所その36】

おごそかにライトアップされた家は、まわりの埴輪たちに守られている様子。 がっしりした入母屋造りの屋根にはカツオギがたくさん乗る。10本かな。 でもこの埴輪の特徴は、なにより、壁にずらっと貼り付けられた突帯(とったい)です。9本か。 ログハウスみたい。埴輪時代の実際の建物に近いのかも。 「家を守る」をテーマに展示されているらしい。 それにしても、この家形埴輪は奥まりすぎている。 もうちょっと前に出して。 茨城県小美玉市の玉里舟塚(たまりふなづか)古墳出土の家形埴輪。入

側面であかんべ【埴輪紹介所その35】

可動式の扉がついている家形埴輪。 両平側にあります。 まず、閉じている側。 棒がたくさん突き出している屋根も気になる。棟覆かな。 扉、閉じてます。 そして、あいている側。 扉、あいてます。片開きですね。 回転軸がある。よく粘土で作ったなあ。窓枠もしっかり。 なぜ埴輪でここまでつくったんだろう。 ところでこれは窓? 戸口? 側面であかんべ。 あかんべが戸口だとすると、扉つきのところは窓ということになる。 出土地不明の家形埴輪。入母屋造り。高さ、1mは余裕で越え

ガードが固いのか甘いのか?【埴輪紹介所その34】

切妻造りの屋根にはカツオギとチギがついています。棟木と桁らしきものも見える。 家を囲む囲いは柱が立派。 可動式の扉の上にはギザギザ三角がついてます。 中に入るには厳しい取り調べがあるのか。という雰囲気ですが、 扉、あいてます。 そうなると入りたい。 ガードが固いのか甘いのか? それからサイズの問題。家のカツオギとチギが囲いからのぞいています。 家形の高さ44.8㎝,幅28.8㎝,奥行36.8㎝。 囲形の高さ38.0㎝,幅58.8㎝,奥行92.0㎝。 家を隠しきれない囲