上司へのメール

 Windowsではなく、Mac。マクドナルドではない。Macintosh(マッキントッシュ。略しマク殿。いつやらウズ。略さなければウィンドウズとなる、ウズ様にお株を取られてしまった感はあるけれど、マク。「なかむら初めて物語り」だ。

 当時、勤め先では、それでも最先端。最初は「各部署ごとに」であったのが、知らない間に(?)「一人一台」。専用マックが設置されていた。今から見ると原始的。何もかもがデカくて、真四角。林檎ちゃんマークを押すと、「halo」とかいう文字が浮かびあがる。フロッピーディスクを用いていたのかも知れない。自動保存機能も自動とはゆかずに、設定。「ああっ!」適当に保存しておかないと、一寸した衝撃でオール没。全てが消えてしまうという、はちゃめちゃさ(?)であった。何回と悲惨な叫びを耳にし、「ゲッ!」「しょえ~っ!」「、、、あっ」などなど、下品な証(あかし)言葉を発するわたしも常連であった。

 2、3年は続いただろうか?別に不便は感じなかったが、ホームページが新しい時代に世に中はあった。加え「メール」。最新型はどうやらメールが出来るらしいよ、「証拠」残る訳ね。揉めるもんねぇ、便利だね、てな会話が上層部でなされていたかは謎だけど、新しモノ好きの社長が「だったら」と、メールが出来るマク殿。マッキントッシュを社員全員分、お買い上げ下さったのだ。

 基本的な設定などは、得意とする男子社員の数名が行った。意外と多い。「それでですね、今度、メールアドレスを設定するんですけれど」ややもの感じで落ち着いた頃、Sくんが白い紙を手にして、現れた。パソコン上での又の名前。別名みたいなモノ。「最後は決まっているんで、最初の部分をね。なかむらさんは「〇〇ちゃん」(ローマ字表記)としたらどうですか?」もう1人のなかむらさんと区別する為だ。

 いいトシこいて、「〇〇ちゃん」。下の名前+「ちゃん」なんて、恥ずかし過ぎる。チラと白い紙を見る。もう一人は既に設定済みだ。「あ~っ、そうね、じゃ△これこれでお願いします」下の名前の頭文字を△にした。

 「僕の所に、試しにメールしてみてくれる?」数日後、完全に最新型マックが全員に行き渡った日、上司宛にメールした。これが記憶に残る初めてである。すんなり出来た。成功した。「ン、OK」軽く頷いた上司の言葉に、(便利だなぁ)(速ッ!アトムみたい)(電子の時代がこれからなのね、きっとそうね、そうなのね)3つを同時に思ったのを、今でもありあり思い出す。


 



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