急にお金がなくなった(?)~なかむら、ドキドキ物語~

既に何回か書いたが、5歳半ぐらいの時。
群馬県から、千葉県に引っ越しをした。団地。2DKだか、2LDKだかの間取りである。
そこも社宅であったけど、何せ群馬時代との差があり過ぎ、びっくりした。
庭つきの2階建てから、いきなりの団地。立体から平面へである。
まだ、永遠に好きとなるアニメ「ド根性ガエル」は放映されていなかったと思うが、平面ガエルぴょん吉様の「どっこい生きてるシャツの中」の日々を、どっぷり味わうに至ったのだ。
(妹はどうやって遊ぶんだろう?庭がないからブランコも置けないし)
幼い妹を思い嘆き、悲しんだ。

しかも建物自体、かなり古い。
大正時代に関東地方で、一番最初に建てられた。
エレベーターの設置なし=階段で昇り降り。しかも階段の1段、1段が、かなり頑丈なコンクリート製。段差もあって、子供の足には大変だった。
(あ~っ、最上階(4階)でなくって良かった)
(3階だってこんな大変なのに、4階だったら、疲れちゃってどうしようもないわよ)
子供心に、文句ぶーたらだ。

ゆきつくところの思考は経済。我が家の経済までをわたしは思うようになっていたのである。
(急にウチ、お金がなくなっちゃったのかなぁ?)
(お金が急になくなっちゃったから、団地に住まなきゃ、いけなくなっちゃったのかなぁ?)
年端もゆかぬ、取り越し苦労。幼稚園児でありながら、進学問題(?)を思っていた。
(学校に、あがれるのだろうか?)
いや、学校は仕方がないとしても、本とか、絵本とかは今まで通りに買って貰えるのかしら?
(本当に、大丈夫なのかしら?)
(ひょっとして、幼稚園をやめないといけなくなるかも知れないね。だって、急にお金がなくなっちゃったかも知れないんだもん、ウチ)
何度思ったことだろう。

思うだけでも、胸がドキドキ。眠れぬ夜を過ごしたりもした。

かわいいやね、我ながら発想が。
やがて春が来て。
小さな胸を痛めた心配事は、幸いにも外れ、小学校に入学した。
じゃん、じゃん!

<了>















この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?