あっ、の人

会った瞬間(あっ!)
この人とは、思った事はないだろうか?
どこかで会った、ずっとずっと前に会った事がある。知り合いだ、等々。
故・作家の遠藤周作氏が、その手に非常に興味を持っておられた。
エッセイ集「万華鏡」(朝日新聞社刊)の中で、暫し触れられ「お手紙を頂ければ」読者にお願いまでをする。
と、氏も驚かれる程、体験談が届く。何通かは「~鏡」で紹介されている。

誰にも言った事はないけどー。
実はわたしも、今迄で5、6人そのような人と出会った。
(あっ!)直感。(この人とは会った事がある)確信した。
内訳は、1人が高校生の頃。1人は勤め先で。1人は遠縁者。1人はとある場所。1人は近い所。1人は忘れたがどこかだ。
最初の2人は、名前まで憶えていた。
(Yさん)(Sさん)全く各々、違う名前である。
高校生の頃に再会した(?)Yさんは、クラスも違えば、喋った事もない。
けど、農道で世間話をした人、と記憶が甦って来た。
「懐かしいなぁ~っ。久しぶり。元気?」心の中でいつも呼び掛けた。
勤め先で再会を果たした(?)Sさんは、Kさんと言った。
にも拘らず、わたしの中ではSさんだもんだから、「Sさん、Sさん」
常に呼んでは、怪しまれた。
「Sさんって、誰?」
当人からの指摘には、困惑するしかなかったのだ。

一方的な思いと言うか、何というか。
確実に思っていても、相手が思い出さない限りは不成立。
不成立どころか、変人扱いされかねない。
この手の経験、ある人います?

<了>




#創作大賞2023


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