人生、最大の誇り

時々今でも、思い出す。
父が他界する、約1ケ月前。
妹と一緒にわたしは食事を取っていた。
お見舞にゆく前だか後だか、忘れたけど。

会話が途切れ
食事だけにお互いが集中していた時、ふと。
何故かわたしは思い出した。
「何があっても、おかしくない状態」
担当医師から重ねられていた言葉を。

わたしの中で
繰り返されては、反芻され、
響きに響きに亘(わた)って来た言葉。

ふと。何かが勘づくものが走り、
ふと。伝えなければ!妹に!決意するものがあった。

「いつまで続くか分からないけど」
続けた自分を、ハッキリ思い出す。
「お父さんは多分、長くない。だから悔いが残らないよう、最後まで面倒を見てやろうね」
「うん」
瞬時に妹も頷いた。首を大きく縦に振る。

10月の上旬だったのよねぇ~っ。
2人で密談を交わしたのが。
そしたらさぁ~っ、それから1ケ月一寸して、
逝っちまったんだわ、父が。

大変も大変。ヘトヘトになりそうだったけど、
交わした密談通りに、最後迄、キチンと面倒を見た。
妹一家の協力が大きかったけど、
葬儀も一応、滞りなく。

わたしの人生、最大の誇り。
人生の最大級の誇りだ。

<了>

#創作大賞2023


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