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【感想】もっとも大いなる愛へ


根本宗子さんの舞台に初めて触れた。

 私はZOCのいちプレイヤーであり、靖子ちゃんの毎日のおはようツイートでなんとか生きているファンの1人である。靖子ちゃんが主題歌を務め、り子ちゃんもとい舞踏家としてのrikoちゃんが参加しているというこの舞台で、演劇や舞台に対する興味や関心がカンストした。

 自分の中では当たり前の思考の流れやそのパターン、他人にはきっとないだろうとかあったとしてもこんな風ではないだろうと思っていた様なものたちを、全て普遍的に劇の中で消化していたのが凄く衝撃だった。

この劇中の世界観で自分を形容するとしたら、私は自己不全感を感じている側の人間である。
本当は伝えたくてたまらないけれど違う風に伝わってしまう事が怖くてプライドが許さないから言葉を選んで選んで選びぬいているのに、その工程を踏むことによって伝わらなくなっているのかもしれないという恐怖を思い出していた。
自分の気難しいモードが発動した時の状況説明を事細かにされてる様で恥ずかしい気もした。しかしそれは薄情だとか、行き過ぎた論理主義だととられがちな自分の中にも人間味があるという事の証明なのかもしれないと考えて嬉しく思った。

劇中の「大丈夫って聞かれて大丈夫じゃないときどうやって伝えたらいいの」というセリフで自分のモヤモヤが言語化された。関わり続けるための言葉というツールの意味や役割や難しさを強く感じた。

 そして、これ程までに美しく舞う舞踏家を本当に初めて見た。かねてからZOCで活躍するり子ちゃんを応援していたのだが、ゴスロリ以外の衣装に身を包んでいたのが新鮮で舞踏シーンを何回も巻き戻して見た。
やり切れない感情に寄り添い具現化してくれる激情溢れる舞踏だった。ライブでの靖子さんとり子ちゃんの演目や、夕方ミラージュで靖子さんと一発録りしていたのが好きで劇中に拝見出来たのが嬉しかった。
stolen worIDを聴く時にはこの素晴らしい舞台の事を毎回思い出す事だろうと思う。


 伝えたい事柄や語彙が多すぎてまとまらなくて、正しく伝える事が出来ないのならいっそ考える事を放棄してしまいたいと思っていた。そんな自分にとってこの舞台は考えられる事、感じられる事を喜ばしい事であると大切にしたくなる機会になった。
自己の至らなさ、他者に対する期待値の高さに悶々としもがき苦しむ日々すらも愛おしいと思える日が来る事を切に願っている。


根本宗子さんをはじめこの素晴らしい舞台を創り上げた方々に感謝と尊敬の念を込めて。

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