安藤エヌ

日芸卒フリーライター。映画と音楽中心。 日記はリアルな感情を書き残す用。メンタルヘルス…

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日芸卒フリーライター。映画と音楽中心。 日記はリアルな感情を書き残す用。メンタルヘルス/家族/LGBTQ+ お仕事のご依頼は「仕事依頼」をご一読の上applepie.rosetea@gmail.comまで。

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人生そのものを「Feelin'go(o)d」に。藤井風日産スタジアムライブレポ

このたび、私は友人と一緒に藤井風日産スタジアムライブ「Feelin'go(o)d」初日に参加した。チケット運がからきしである私の代わりに友人がスタンド席を取ってくれて、行くことが叶った。 上記の通り、藤井風には3年前からすでにファンになっていて、――私の初"風"は「何なんw」で、あんたのその歯にはさがった青さ粉?!なのにこんなにグルーヴィング?!何事?!となったのを今でも思い出す――今回のライブ参加は正真正銘、生"風"に会う最初の機会だった。 当日、目覚めてから電車に乗り現

    • 『ミッドナイトスワン』燦然とした母性という愛の形を、凪沙の静かな涙に見る

      このレビューを書くために喫茶店へ向かう間、西の柔らかい斜光の中で歩く何組もの親子連れを見かけた。幼い子どもが親に手引かれ、家へと帰っていく姿を眺めながら、映画『ミッドナイトスワン』の余韻をもう一度思い起こしていた。 本作はトランスジェンダー(心と身体の性が不一致である人)の凪沙と、実親から虐待を受け凪沙の元にやってきた少女、一果の物語だ。「ラブストーリー」というキャッチコピーが付いているとおり、これは疑似母娘の間に存る愛の物語であり、恋愛や友愛とはまた別の、女性が少女に抱く

      • 藤井風が歌う「人生」について考える~日産ライブの余韻に浸りながら

        藤井風日産スタジアムライブ「Feelin'go(o)d」からもう少しで1か月が経とうとしている。徐々に普段通りの生活を取り戻し、仕事に精を出し……ていられたらいいのだが、いまだに風ランド(前回の記事参照)から戻ってこれない。 サザエさん風にここ最近の藤井風に占拠された私生活を振り返ってみると、 ・私、windyちゃんに愛着を覚え、写真を撮りまくる ・友、私の藤井風ドはまりっぷりに苦笑 ・両親、本気でアジアツアーのバンコク公演に行く決意を固めるも、前列3番目の席をタッチの差で

        • 藤井風の音楽は、題名のない毎日に優しく流れる

          言葉にするまでもない些細な生活を繰り返している人々に届く音楽とは、どんなものなのだろうか。 ふと、考える。テンションを上げたいとき、何か大事な出来事があって、緊張を解きたいとき。悲しみに打ちひしがれている心を癒したいとき。 それ以外の、とるにたらないけど一生懸命な日々を想いたいとき、特別じゃない、零れ落ちてしまいそうな毎日のふとした隙間に沁みてくる音楽を探すのが好きだ。いわば、人生のルーティンみたいなものになっている。米津玄師の「まちがいさがし」が私にとってそうであったよう

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          生きる重み、命の重きを描く『竜送りのイサギ』レビュー

          「………あのさ 今からでも逃げちゃわない…?」 ああ、なんて瞳(め)をしているんだ、と思った。 竜が棲む、罪人がその命を終わらせるための地、陵獄島。 罪を背負った者たちの首を断つために誂えられた首打役、櫛灘イサギ。首斬りの達人という意味合いを込め「斬聖」と呼ばれる彼はまだ少年で、幼さの拭えない顔立ちにはどこか「諦観」の憂いが滲む。 何を隠そう、私は星野真著『竜送りのイサギ』を読んでから彼、イサギに王道少年漫画の主人公に覚える胸のときめき、燃えるような隆々たる感動を感じざ

          生きる重み、命の重きを描く『竜送りのイサギ』レビュー

          私がLGBTQ+映画を観る理由

          いつも真面目な話をしていないというわけではないのだが、今回は少し真面目な話をしようと思う。私にとって映画とは何か、また、私が進んでLGBTQ+(セクシャルマイノリティ)の人物が登場する映画を観る理由は何か、ということを、腰を据えて話してみたい。 映画を観ることは「人や物事を自分の目で見ること」と同義だ。たとえば電車の中で向き合った人の人生を推測しようとするとき、私はその人の姿形、仕草などから彼ないしは彼女の人生を思う。この人はどんな人生を歩んできたのだろう――そう思っては、

          私がLGBTQ+映画を観る理由

          『グッド・オーメンズ』シーズン2で悪魔に恋してしまった人間の願いごと

          悪魔に恋をしてしまった。 天使と悪魔がやいのやいのしながら、時に世界そのものを救ったり優雅にディナーしたりして地上の生活をenjoyするドラマ『グッド・オーメンズ』のシーズン2を配信初日に観終わった。そして、悪魔に恋をしてしまった。こんなかっこよくて愛にまみれた人間くさい悪魔なんて世界中どこを探しても彼しかいない。演じるデイヴィッド・テナントのすらっとした体躯、かっちりスタイリングした赤毛の髪、黒づくめのタイにベストにジャケット、すべてがあまりにもばっちり決まりすぎていて見

          『グッド・オーメンズ』シーズン2で悪魔に恋してしまった人間の願いごと

          20代最後の日。ふと思い立って、22歳から今までの8年間に趣味で書いた文章を数えてみたらだいたい60万字くらいだった。 この60万字が私を苦しめ、生かし、そして変えてくれたのだと思う。これからの目標は100万字めの文字をタイプすること。 楽しんで生きるぞ。

          20代最後の日。ふと思い立って、22歳から今までの8年間に趣味で書いた文章を数えてみたらだいたい60万字くらいだった。 この60万字が私を苦しめ、生かし、そして変えてくれたのだと思う。これからの目標は100万字めの文字をタイプすること。 楽しんで生きるぞ。

          愛してるー ヨルシカ『春泥棒』で思い出した、どうしようもなく淋しい季節

          その時、生まれて初めてこの光景を言葉にするのが「億劫」だと思った。 一面に桜が咲き、老いて命の短い猫が私の母に抱かれ、私は写真を撮っている。 「いくよ、ほら、こっち向いて」 母に抱きかかえられた猫はやせ細った顔をこちらに向けた。私はその姿と、桜の花びらとを同じ画角に収め、写真を撮った。 ヨルシカ『春泥棒』を聴いた時、思い出したのは亡き猫との最後の思い出だった。 20年前に拾った猫だった。亡くなるまで、苦しい時も幸せな時も一緒にいた。私が体調を崩して枕を濡らす夜を過ごして

          愛してるー ヨルシカ『春泥棒』で思い出した、どうしようもなく淋しい季節

          焦がれた熱が、すぐそばにいることに気づいた日~ROCK'IN ON JAPAN「平手友梨奈 19歳、今、感じていること」を読んで

          平手友梨奈という人物を、「疑いようもなく完璧」だと思っていた。 自分の尊敬するクリエイターないしアーティストを神格化し、その人にしか表現しえないものの目に毒とも思えるような光の瞬きをひたすらに追いかけることが好きだった。こういう人達というのは、ある種、人間という俗じみたものから卓越している。考え方やパフォーマンスにかける熱意、表現ひとつひとつに宿す細部への思いに至るまで、一瞬の隙もない、普通の人間とは画したところで生きている人なのだ、と思っていた。 その中に、私の愛する平手

          焦がれた熱が、すぐそばにいることに気づいた日~ROCK'IN ON JAPAN「平手友梨奈 19歳、今、感じていること」を読んで

          平手友梨奈が踊る舞台の、光のおこぼれをもらって生きようと思った

          「生きてることが辛いなら いっそ小さく死ねばいい 恋人と親は悲しむが 三日と経てば元通り 気が付きゃみんな年取って 同じとこに行くのだから」 死ぬことが怖くてなかなか眠れない。 眠ることは一種の仮死であるからだ。不眠ではないが、入眠するのに相当の時間がかかる。自分が意識を失うことがこわい。自分が愛したもののことを一瞬でも忘却することがおそろしい。そんな気持ちを最近はずっと、夜中になると持て余していた。うまく時間を潰すこともできず、ベッドの上でのたうち回るように寝返りをする。

          平手友梨奈が踊る舞台の、光のおこぼれをもらって生きようと思った

          【エッセイ】同人誌即売会でオリジナル小説を出したら1冊も売れなかった話

          昔、コミティアという同人誌即売会に行った事がある。毎年夏・冬に開催されるコミックマーケットと違って、1次創作(オリジナル)の同人誌だけを頒布することができるイベントだ。私はそこに、オリジナル小説を刷って持って行った。 そしてものの見事に、1冊も売れなかった。その時のことはよく覚えている。隣のサークルは椅子から立ち上がり無料配布を握りしめながら道行く人に声を掛けていて、正面の島(サークル列)のお誕生日席(列の端に位置するサークル)は長蛇の列が絶えず、本にサインを求めている人も

          【エッセイ】同人誌即売会でオリジナル小説を出したら1冊も売れなかった話

          アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

          2度目の恋の相手は、18歳の女の子だった。 欅坂46のセンター、平手友梨奈だ。 彼女は私がまだ社会の何たるかも知らなかった年齢でアイドルデビューし、社会的なテーマを歌ったシングル曲のセンターとしてこれまでに何度も世間に露出してきた。私が最初に彼女を見たのは、マニッシュなスーツに黒ぶちの眼鏡、サスペンダーの衣装で性別を感じさせない、だけどどこかちゃんと丸みを残している姿で、そこから彼女が歌い、踊り、時には世の中を糾弾するような激しいパフォーマンスに釘付けになった。 初めて

          アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

          反復と光と感情、生きるためのさよなら-サカナクション『さよならはエモーション』MV考察

          〝さよなら〟という言葉に、私たちは一体どんな光景を想像するだろう。 多くの人にとって、日常的に溢れかえっている〝さよなら〟に関してだけいえば特別な意味はそこになく、今はこの言葉に昔ほどの刹那性や永遠の効用はない。二度と会えない、と思って他者にこの言葉を発する人を、日常生活ではなかなか見かけない。 また近いうちに会えると信じているし、何か予測不能な事態が起こらない限りその約束は守られる。それによって〝さよなら〟はLINEメッセージで送れるほど軽量化した言葉になり、それは同時に

          反復と光と感情、生きるためのさよなら-サカナクション『さよならはエモーション』MV考察

          菅田将暉 feat.あいみょんの『キスだけで』と、男と女 - 愛の自由を囁いてくれた、ふたりの歌声

          性別の枠がない人に惹かれる。もしくは、自分の本来有した性別と逆の性別が抱く魅力を、香水のように纏っている人。 夜中にぐっと距離が近くなり、かぐわしさが増すような匂いだ。 私はそれを、めいっぱい深呼吸して嗅ぎたくなる瞬間がある。 性別/性的指向についてはジェンダー/セクシュアリティという言葉で広く浸透し、現代人の意識は昔よりもずっと大きくなっていることと思う。それでもやっぱりまだ、決定に苦しみ悩む人は多い。必ずしも決定しなければいけないわけではない、という一応の認識はあるにせ

          菅田将暉 feat.あいみょんの『キスだけで』と、男と女 - 愛の自由を囁いてくれた、ふたりの歌声

          安藤エヌ プロフィール/受賞歴&過去実績一覧 2024/10/18更新

          フリーランスライターの、安藤エヌと申します。 プロフィールと業務実績、主なPV獲得実績、受賞歴や得意な執筆ジャンルなどを一覧にまとめました。記事執筆依頼をしていただく際の参考として、お目を通して頂けますと幸いです。 自己紹介&セールスポイント PN:安藤エヌ(あんどう えぬ) 1992年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科を卒業後、書評サイト「シミルボン」様にて契約ライターとしての記事執筆&編集部業務を約1年半継続(2017.5~2019.1)以降フリーランスとして活動。

          安藤エヌ プロフィール/受賞歴&過去実績一覧 2024/10/18更新