安藤エヌ

日芸卒フリーライター。 現在は主に映画について執筆。執筆実績はリアルサウンド、rock…

安藤エヌ

日芸卒フリーライター。 現在は主に映画について執筆。執筆実績はリアルサウンド、rockin'onなど10社以上。 日記はリアルな感情を書き残す用。HSP気質/家族/LGBTQ+ お仕事のご依頼は「仕事依頼」をご一読の上applepie.rosetea@gmail.comまで。

マガジン

  • エッセイ

    エッセイまとめ

  • 創作

    創作小説まとめ

  • レビュー/コラム

    映画,音楽,漫画,小説などのレビュー/コラムまとめ

  • 2024日記エッセイ

    2024年の日記。不定期。考えたこと、思ったことの備忘録。

  • 2023日記エッセイ

    2023年の日記エッセイ。考えたことや近況。

最近の記事

  • 固定された記事

アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

2度目の恋の相手は、18歳の女の子だった。 欅坂46のセンター、平手友梨奈だ。 彼女は私がまだ社会の何たるかも知らなかった年齢でアイドルデビューし、社会的なテーマを歌ったシングル曲のセンターとしてこれまでに何度も世間に露出してきた。私が最初に彼女を見たのは、マニッシュなスーツに黒ぶちの眼鏡、サスペンダーの衣装で性別を感じさせない、だけどどこかちゃんと丸みを残している姿で、そこから彼女が歌い、踊り、時には世の中を糾弾するような激しいパフォーマンスに釘付けになった。 初めて

    • 人生でいちばん美しかった桜 ~愛猫との別れで、遺影となった写真に思うこと〜

      愛猫マイケルが、4年前の2020年、桜の咲く3月に享年20歳で亡くなった。家族も驚くほどの大往生、我が家で看取られながらの最期だった。 マイケルは腎不全で、数年前から体重が減り続け痩せていったのだが、亡くなった時の状況からその理由に病気は考えづらく、おそらくは老衰だろうという考えに至った。とはいえやはり若かった頃を思い返すと辛いほどに元気を失くしてしまい、亡くなるつい数日前までご飯も食べていたのが、よろよろと覚束ない足取りになってから急激に体調を崩し、そのまま回復することな

      • 愛をくれ(創作大賞2024応募作品)

        直子との水曜日の定例会は、その日でちょうど一ヶ月目だった。 代官山の、マスカルポーネを使ったチーズスフレの美味しいテラスカフェに、週のうちの水曜だけ、二人で集まることにしていた。 直子も私も既婚で、直子は子供がいたが私には子供がいなかった。直子の子供は幼稚園の年少組になったばかりで、母親同士での井戸端会議やら幼稚園教諭の教育への意見交換会やら、何かと細々したことで毎日を忙しくしている。直子は専業主婦で、日々の時間が余りに余って仕方が無いようだった。その反面、私は正社員ではない

        • 私には私にしか分からない幸せの形がある、と強く願うように眠る。

        • 固定された記事

        アイドルにガチ恋して成仏できなくなった女の話~“平手友梨奈”に出会ってしまった(2023.7追記)

        マガジン

        • エッセイ
          8本
        • 創作
          4本
        • レビュー/コラム
          8本
        • 2024日記エッセイ
          3本
        • 2023日記エッセイ
          7本
        • 2022日記エッセイ
          12本

        記事

          『タイタニック』に見る、“死”を前にした乗客の人間ドラマ~私たちはその一人になる~

          人生のうちでベスト5に入る映画は?と訊かれたら、私は『タイタニック』をその内のひとつに挙げる。いつまでも永遠に私の心の中に残り続ける、切なくも痛ましい、忘れ得ぬ記憶として心臓に刻みつけられる名作だ。 人生で大切な映画というのは、初見から二度目、三度目と時間を空けて観るのが望ましい。その折々でまったく違った見方が出来たり、その素晴らしさを噛みしめるように再確認することが出来るからだ。 先日、『タイタニック』を観返した。数年ぶりだろうか、久しぶりに観た本作は私の心をこれでもか

          『タイタニック』に見る、“死”を前にした乗客の人間ドラマ~私たちはその一人になる~

          生きる重み、命の重きを描く『竜送りのイサギ』レビュー

          「………あのさ 今からでも逃げちゃわない…?」 ああ、なんて瞳(め)をしているんだ、と思った。 竜が棲む、罪人がその命を終わらせるための地、陵獄島。 罪を背負った者たちの首を断つために誂えられた首打役、櫛灘イサギ。首斬りの達人という意味合いを込め「斬聖」と呼ばれる彼はまだ少年で、幼さの拭えない顔立ちにはどこか「諦観」の憂いが滲む。 何を隠そう、私は星野真著『竜送りのイサギ』を読んでから彼、イサギに王道少年漫画の主人公に覚える胸のときめき、燃えるような隆々たる感動を感じざ

          生きる重み、命の重きを描く『竜送りのイサギ』レビュー

          私がLGBTQ+映画を観る理由

          いつも真面目な話をしていないというわけではないのだが、今回は少し真面目な話をしようと思う。私にとって映画とは何か、また、私が進んでLGBTQ+(セクシャルマイノリティ)の人物が登場する映画を観る理由は何か、ということを、腰を据えて話してみたい。 映画を観ることは「人や物事を自分の目で見ること」と同義だ。たとえば電車の中で向き合った人の人生を推測しようとするとき、私はその人の姿形、仕草などから彼ないしは彼女の人生を思う。この人はどんな人生を歩んできたのだろう――そう思っては、

          私がLGBTQ+映画を観る理由

          しみわたる

          先代の飼い猫が亡くなり、火葬へと向かう車中のラジオで聴いた最初の緊急事態宣言。あれからおよそ4年が経ち、街も人もすっかり元通りになったかと思いきや、先週の月曜日に突然の高熱。関節痛がひどかったので季節外れのインフルエンザかと思い検査をした結果のコロナ感染だった。 そこからが正真正銘の地獄だった。今の流行り株はどうやら喉に来るらしい、という情報を得て、実際に激痛に苦しむまでそう遅くはなかった。母の知り合い曰く、「まるでカミソリでも飲み込んだよう」。まさに、という感じで、唾を飲み

          しみわたる

          「海ができてるよ、見て」 そう母に言われて空を見ると、確かに海ができていた。 海はしばらくして消えてしまったけれど、綺麗だった。 母の元に生まれてきて良かったと思った。

          「海ができてるよ、見て」 そう母に言われて空を見ると、確かに海ができていた。 海はしばらくして消えてしまったけれど、綺麗だった。 母の元に生まれてきて良かったと思った。

          特別なレモンスコーンサンド

          眠りたくない夜だ。この時期の夜の涼しさが好きで、つい夜更かしをしてしまう。のりしおチップスを食べながらSNSをスクロールし、たまたま目についた悲しい言葉を目にして、はっと氷水をかぶったような気持ちになる。 このままじゃだめだ。そう思い、油分たっぷりのジャンクなお菓子をゴムで縛って、SNSからログアウトした。 辟易したくなるような毒々しいものに、最近の私は触れすぎていた。だから、祈ろうと思った。明日も穏やかに生きられますようにと。 祈ることはたいてい、私にとってはお菓子を食

          特別なレモンスコーンサンド

          me

          早いものでもう3月。時折、春の風と思しきものが通り抜けるのを感じる。もうすぐで桜が咲く。本当に時が経つのは一瞬だ。 能登半島地震、飛行機衝突事故というショックな出来事から始まった2024年。なるべく負の面に落ちないようにと、自分なりに明るい日々を過ごしてきた。昨年末、1年のツケを払うごとく恒例になってしまっている体調不良を乗り越え、年始はどうなるだろう、と不安を抱えたまま年を越した。世間は先の天災と事故により大きく乱れた中、私はなんと、奇跡的に、心を乱すことなく過ごすことが

          「ことば」に耳を傾けるため、私は喫茶店へ向かう ~人生の余韻を愉しむ手引き~

          良い喫茶店には「ことば」が溢れている。 店を訪れる人々が交わす他愛のない話、店主が淹れるドリップから滴る音、飾ってある花や調度品の声なき言葉。喫茶店に行く理由は、そういった「ことば」を聞きたいからだ。 以前までは本を読んだり、仕事の原稿を書くために利用していたが、行きつけの店に通うようになってからというもの喫茶店への思いが明確に変わるようになった。通えば通うほど、まるで珈琲のような深みを味わうことができるのだ。 「ことば」は人が生きていくために必要なツールだ。こうして今文章を

          「ことば」に耳を傾けるため、私は喫茶店へ向かう ~人生の余韻を愉しむ手引き~

          祖母の姿、晴れた空、色づく葉、すべてを遺したいと思った日~写真という愛おしい記憶~

          新品の、まだ1枚も撮っていないインスタントカメラ。今日はこれがないと始まらない。絶対に持って行って、遺さなければならない光景がある。 その日、私は東京・錦糸町に住んでいる祖母と叔父に会いに行く約束をしていた。一週間前、叔父から「祖母の介護レベルが上がった」との連絡が来たからだ。 「もうかなりボケてきちゃってね。まだ憶えているうちに、会えるうちに会ってほしい」 報せを受けて、私はふたりに会いに行くことにした。そこにはひとつの決心があった。フィルムカメラで祖母と私の写真を撮

          祖母の姿、晴れた空、色づく葉、すべてを遺したいと思った日~写真という愛おしい記憶~

          穏やかな水面を見ていてこれほど考えに耽る年の始まりも、きっとないだろう。すべてのめぐり巡るなんでもないものたちに感謝を。

          穏やかな水面を見ていてこれほど考えに耽る年の始まりも、きっとないだろう。すべてのめぐり巡るなんでもないものたちに感謝を。

          「堅実」と「積み重ね」〜2023年仕事ふりかえり

          早いものでもう年末の仕事ふりかえり記事を書く時期になった。本当に光陰矢の如しだ。歳を重ねるにつれ1年が過ぎ去るのを速く感じるようになり、このままあっという間に老いてしまうのかと少し怖くなったりもする。大切なのは悔いなく生きること、1日1日を自分らしく生きること……と自分に言い聞かせながら、日々を過ごしている。 今年はタイトルにもある通り、仕事においては「堅実」と「積み重ね」の年だったように思う。着実に、ひとつずつ自分にできることをし、自分の視点でものを書き、時にチャレンジも

          「堅実」と「積み重ね」〜2023年仕事ふりかえり

          写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜

          アザミのとげに触れるみたいに、胸がちくちくと痛いときがある。今がそれだ。ひとつの物事に対して受け取る感情が人一倍多い私は、日々の変化に直面するたびしばしば心身の調子を崩す。昔は対処するのが下手だったけれど、今はだいぶ自分自身と上手く付き合えるようになり、辟易しがちだったナイーブな部分も受け止められるようになってきた。 変化に弱く傷つきやすい私だけれど、胸をはって言える愉しみがある。 それは写真を撮ることだ。 このところ7年くらい、カメラを提げて外出することを趣味にしてい

          写真で切り取る、日々是好日~1輪の花と老婦人との出会い〜