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雨音に耽る。

朝が来たはずなのに
部屋の中がうっすら暗くてほんのり肌寒い。
夢と現を行き来しながら、毛布に深く潜り直した。

目を閉じて、耳を澄ますと

しとしと、しとしと…

カーテンの向こうから音が聞こえる。

その心地よい音色に身を任せて
私は再び優しい夢の中へと沈んでいった。

*…*…*

雨が降っている。

優しい音色を奏でていた雨だったけれど
再び目覚めた時には、バケツに入れた水を路面に叩きつけているような激しい音へと変わっていた。

カーディガンを羽織り
カーテンの隙間からそっと窓の外を確認すると
怖くなるほどの雨模様。

雨粒の写真を撮りに行きたかったけれど
滝のように降っているその光景を目の当たりにしてしまったら
一気に気持ちが萎んでしまった。

暫く外を眺めながら今日1日のスケジュールを組み立て直す。

なんとなく折り合いがついた所で、勢いよくカーテンを開けた。

*…*…*

今日はどんな1日でしたか

私は幻のような1日を過ごしました。

雨の音に包まれながら
好きな事だけをして過ごしました。

きっと、半年後には忘れてしまっているような
なんでもない、そんな1日でした。

あまりにも何もなかったので
幻のようだと感じたのです。

こんな1日でもきっと
消えて無くなってしまったら、悲しいのでしょうね。

*…*…*

目を閉じて、ほんの少し穏やかになった雨音に耳を傾ける。

そういえば、雨が降ったあとはいつも庭の誰かがキラキラと満開の花を咲かせてくれるんだ。

梅雨が明けたら、私たちもキラキラと前を向いて歩けるんじゃないかな。

きっと今は、その日のための充電期間。


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