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Life Goes On -太陽が沈んでも- ep.4 (再演リメイク)

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まえがき(´┏_┓`)
二人の役もどんどん板についてきて、いつの間にやらぶっつけ本番な空気に。
果たして続きは出るのか⁉ハラハラしながら待っててね🙏ΦꈊΦ☰)💕笑



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4.急なカミングアウト

急に別の声が聞こえて、死ぬかと思った。叫びそうになって、とっさに口を押さえて前を見ると、薄暗い廊下の突き当たりに、人が立ってる。

アカネか…?

一瞬本気でそう思って、でもすぐに現実に戻った。タチの悪い幻覚じゃなきゃ、あれはまさしだ。よっぽど疲れてたのか、あいつが家に忍び込んだことに気付かなかった…いや、それよりも、あんな野郎を一瞬でも「アカネだ」と思った自分が許せなかった。それとも、実際はそこにまさしなんか居なくて、俺はまだ胸クソ悪い夢でも見てるんだろうか。

「なあ、アカネって誰よ?タカシついに彼女できた?都会の女?」
「うっせえ喋んなぶっ殺すぞテメエ」
「いや死なねーし。ていうか、それ飲んだら?」
「は?」

まさしが指したのは、さっき俺が見つけたファンタのペットボトルだ。

「手ブラで来んのも悪いと思って、さっき買っといた。好きでしょファンタ?」
「いらねーよバカ!ファンタとか小学生か!もうガキじゃねーんだよ俺は」
「中学でも普通に飲んでたじゃん」
「うるせえ!」

憎たらしいまさしに口ではキレつつも、俺の手は勝手にペットボトルを触っていた。確かに、まだひんやり冷たい。触れるってことは夢じゃない…次の瞬間、自分の手がキモい動きをしてるように見えて、吐き気がしてすぐに手を離した。

「何、虫でも付いてた?」
「ちげーよ…もう帰れ」
「いや、今来たばっかだし。それに、お前ん家入るの初めてだし」
「は?お前の都合とか聞いてねーんだよ。帰れ」
「はいはい」

そう言いながら俺の隣りにしれっと座り込んで、帰る気配すらない。いつもこれだ。俺の言うことなんて聞く耳持たねえ。あのクソババアがいなくてよかったな。あいつがいたら、今頃間違いなく包丁突き付けられてるぜ。ま、それが分かってるから寄り付かなかったんだろうけどな。
お前んちの親はどっちもフヌケでバカそうだけど、家ん中でお前を殴ったり蹴ったりしねえし、一丁前に友達ヅラしてる俺に食い物も持ってくるから、それなりに便利だったよな。金さえあればお前の親買いてえなってガキの頃思ってたよ。なあ、親って相場幾らで売ってんだ?売ってる店探したけど都会にもなかったぞ。もっと若い子ならあの店にいたけど、すぐ消えたし。多分俺のせいで。
俺のせいで。皆イカれた。イくとこまでイっちまった。もう戻ってこないんだ。何もかも。
だから何だってんだよ。
俺に死ねってか?

嫌だね。
あの悪魔同然のクソババアでさえ、俺を殺せなかった。
都会で出会った、服着たケダモノ共だってそうだ。なら俺を殺せるのはもはや俺だけだ。違うか?
いや…あと一人だけいたな。俺を殺せそうな奴。これまでだって、殺ろうと思えばいつでも殺れただろうに、今もこうして貧弱な獲物を縄張りに放置してる、間抜けな男が一人。どうせすぐに殺れるからって、ギリギリまで殺さずに置いといて、非常食にでもするつもりか?ナメてっと寝首掻くぞ。バカがよ。

「今更来たって遅えよ」
「ま、いいじゃん?家は残ってんだし」
「こんなもん残ってて何になんだよ。ボロくてクセェだけだろ」
「あ、これ言ってなかったっけ?俺さあ、昔からお前のクセェ臭い嗅ぐと安心すんのよ」
「は?殺すぞボケ!」

頭に血が上って、とっさにファンタのペットボトルを掴んでまさしの頭を殴ったら、ベコン…て世にも間抜けな音が響いて、危うく吹き出しそうになった。

「なに今の音!全然痛くねーし!」

まさしの奴、清々しいくらいに大口開けて笑ってやがる。いいよな、お前はそうやって思いっきり笑えて。すげーマヌケなツラだよ。お前の親もきっとそうだったんだろうな。
俺がゲラゲラ笑うことなんて、きっと死ぬまでないだろう。それでも別にいい。ただ、こうしてヘラヘラ笑ってやがるお前に向かって、俺は何度「殺す」って言ったか分かんねえ。でも、俺が言葉通りにお前を殺すことはないって、今は何となく気づいてる。できるなら、とっくの昔に殺ってたはずだ。お前が、こんなやつれた姿になっちまう前に。


《続け》←



🗝今日も読んでくれてありがとう。よかったらまた見に来てね🙏ΦꈊΦ☰)💕

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