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渋谷店を1年運営して見えた、6curryKITCHENのコミュニティ考察日記

6curry カレープロデューサー / 渋谷KITCHEN店長の一平です。
先日、6curryKITCHEN恵比寿が2年、6curryKITCHEN渋谷がオープンして1年が経ちました。

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6curryKITCHEN渋谷は、オープンに際してクラウドファンディングを実施。
721人から900万円以上のご支援をもとに、2019年10月にスタートし、オープン当初から連日多くのメンバーで賑わっていました。

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オープンしてから5ヶ月、新型コロナウイルスの影響から3ヶ月間KITCHENの営業を休止し、再オープンから現在(2020年10月)迄で、4ヶ月が経ちます。いっとき落ち着いたKITCHENでしたが、今ではコロナ前の賑わいを取り戻しています。

🍛🍛🍛

「自然とつながる」をつくる小さな仕組み

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コロナでリモートワークが進み、食事はデリバリーやテイクアウトが増え、わざわざ足を運んでご飯を食べる機会は減ってきている中、決して駅から近くはない場所に足を運んでくれるメンバー。

「コミュニケーションが得意でなくても自然とつながれる」
「緊張せずに新しい人との出会いがある」
「家のように、気楽な気持ちで帰る場所」

コロナをきっかけに6curryの価値について深く掘り下げる機会が増えたので、何人かのメンバーにヒアリングしたところ、もらった言葉です。

ここに関しては自然とそうなっているというよりは、かなり意識的に作っています。

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🔖 ごきげんカード
最近始めた「ごきげんカード(今日の気分・気持ちのカードを選んで、自分の席に立てたり胸に付けておくことで、コミュニケーションのきっかけにするもの)」では、「人見知り」というステータスを選ぶ人は少なくない。人見知りと伝えられるだけで、お互いに安心して会話を進めることが出来たり。

ごきげんカード_説明

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その他にも6curryRULEがあったり、MIXSTAFF(6curryKITCHENで働く仲間)がつなぐ役割を果たしていたり、カレーが敷居を下げてくれたり、何より場を大切に思ってまわすメンバーがいることで、緊張しない安心な場がつくられています。

そういう場を「みんなで作る」事で自分の場所になっていくのが特徴的です。仲間であり、メンバーに「お客さん」という言葉を使ったことも意識したことも一度もありません。

他にも6curryで使う言葉は意識的に変えています。

・いらっしゃい 👉 久しぶり、おかえり、こんばんは
・ありがとうございました 
👉 気をつけて〜、おやすみ、またね
・お客さん 
👉 メンバー
・お金 
👉 コイン(6curry通貨)

ステッカー

このようなルールや言葉が定着し始めると、6curryKITCHENならではなコミュニティが徐々に輪郭を表し始めてきます。


メンバーとっての、6curryKITCHENの意味とは

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6curryは自分たちのコミュニティを「サードコミュニティ」という言葉で表現することがあります。会社でもなく、家族でもなく、もう一つの場所。スターバックスの「サードプレイス」とは異なり、「所属(会員制)」や「ゆるい役割」が自然と生まれる場所です。

具体的にはどんな場所なのか?
僕らは「EXPERIENCE THE MIX.」とコンセプトをかかげましたが、最初はどんな場所になるか想像はできませんでした。でも、メンバーと一緒につくることで徐々にKITCHENに意味が生まれ始めます。

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メンバーにとって、6curryKITCHENは、どういう意味を持つのか?
他のコミュニティと比較してみました。
※人によって異なることは前提に、思いつくコミュニティと役割・意味を書いてみています。

👪 家族のコミュニティ:生活の基盤・教育、心理的安全性、経済的安全性
🏘 地域, ローカルコミュニティ:世代・価値観を超えた出会い・つながり、社会との接続
👫 同居人コミュニティ(シェアハウス、カップル):心理的安全性、経済的安全性
🏢 会社, 仕事仲間, 顧客コミュニティ:やりがい、収益
🎪 趣味のコミュニティ:仲間探し、生きがい、暇つぶし
🏫 学校コミュニティ:仲間探し、教育、同世代コミュニケーション

6curryは、どれかではなく、どれでもあるような気がしてくる

もう少し視点を広げてみます。

僕はもともと地方をめぐり、旅先でであった家族、ローカル、会社、趣味、学校コミュニティと、カレーを一緒に作ってきました。一緒に作ることで、役割が生まれ、関係人口が増えたり、小さなコミュニティの火種が生まれたり、元々あったコミュニティが元気になったりする機会になっていたように思います。

他にも似たような例で、愛知県瀬戸市にある「ゲストハウスますきち」は、宿泊者だけでなくローカルにも開けたゲストハウスで、あらゆる属性の人が混ざり合い「ますきち」をみんなで作り、その先にある「市」を一緒につくる仲間がそこに集っている。

ますきち①

また、長崎県東彼杵町にある「Sorriso riso」という場所は、コミュニティマネジャー的な動きをするプロデューサーがおり、個人個人が主役になり、つながり、勢いのあるローカルコミュニティを作っている。

東彼杵②

新しい出会い・つながりをみんなと一緒に作るという意味では、6curryが目指している世界観ととても近いと思います。


ローカルコミュニティの代替か

東京は村の集合体という見方をすれば、ローカルコミュニティは数多く存在しています。しかし会社コミュニティの時間が多く、会社と家族のコミュニティが分断していたり、若い人は定期的に引っ越すので、ローカル起点で新しい出会いやつながりはつくりづらい状況です。

※ソーシャルアパートメントのワールドネイバーズLittle Japanのシェア街などは、東京でもローカルコミュニティへの意識が強い取り組みは生まれ始めています

仮説として、6curryKITCHENは「ローカルコミュニティ」の代替が大きいのでは?と感じます。
ローカル:世代・価値観を超えた出会い・つながり、社会との接続

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社会との接続は会社コミュニティで補っている側面はありますが、仕事以外でも「自分がやりたいことを通して社会とつながる」事を6curryKITCHENでは補っていきたいと思っています。

無理やりローカルと6curryを紐付けてみると、

📝 条例 6curryRULE
💴 地方税
会費
💰 地域通貨
コイン(6curry通貨)
🏠 ローカルコミュニティ(帰る場所)
6curryKITCHEN

粗い解釈ではありますが…。
いずれはローカルコミュニティ機能の「教育」や「住居」を作ることもあり得るかもしれない。

コロナ禍でオフラインコミュニティが減ってしまっている中、鎌倉など少し東京から離れた場所への移住者が周りに増えている。これはローカルコミュニティを求めている側面もあるかもしれません。
でもそう簡単に移住できる人ばかりではありません。いつしか日本全国に6curryKITCHENというみんなのローカルを作って、みんなの帰る場所を増やすことは6curryの役割の一つなのかもしれない。

みんなのローカルコミュニティ、6curryVILLAGEなんて言葉もしっくり来ます。旅行に行ったら、まずは6curryKITCHENに入り、仲間や情報を得てから旅が始まる。ドラクエのルイーダの酒場のような。

そして、その入口が素朴な「カレー」という料理なのだから、面白い。

1周年に寄せて。
6curryカレープロデューサー 一平

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photo by しょまむっしゅ

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