【Preview】2018年J1第26節 川崎フロンターレVS.北海道コンサドーレ札幌「被災地への日頃の感謝を込めて」

 2018年J1第26節の川崎フロンターレは、ホームで北海道コンサドーレ札幌戦です。

被災地に向けて
 この度の北海道胆振東部地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた全ての方々に心からお見舞いを申しあげます。被災地の一日も早い復旧と、被災された皆様が平穏な日々を取り戻せるようお祈りいたします。
 私の故郷の北海道旭川市もその被害を受けましたが、不幸中の幸いで停電や断水の被害に留まり、両親も無事でした。北海道は地震が来ないという、半ば迷信に近いものを多くの道民は持っていたので今回の震災は驚きが大きく、明日は我が身と思い知らされています。
 北海道の他の地域は被害も大きいようで、現在復興に向けて動いています。もしよろしければ私の故郷の復興に少しでもお力添えいただけたらと思います。様々募金先はありますが、ここではより気軽なTポイントと楽天スーパーポイントでの募金を紹介します。

 2011年東日本大震災の際もリーグ再開初戦が仙台戦だったことを思い出すと、そうした震災の直後の札幌との対戦というのは普段以上に意義深いです。非被災者として被災者に寄り添ってきた川崎フロンターレが率先して支援の姿勢を示していくべきですし、Jリーグ全体でも支えていけたらと思います。その先駆けとして、今節支援活動を行うようです。

秋の等々力は微笑むか
 ルヴァンカップの味の素スタジアム開催があったため、今節が9月初めてのホーム等々力での試合になります。鬼木監督がとって等々力のもつ大きな意味を強調しているように、ここ3戦未勝利の川崎を間違いなく勇気付けてくれるでしょう。(参照:「鬼木達監督が、鹿島との第2戦に向け来場を呼びかける【麻生レポート】」<https://www.targma.jp/kawasaki/2018/09/07/post16302/ >)
 夏も終わり、エアコンがなくても困らない季節になりました。厳しい暑さが続き、引水タイムを度々見かけるようなJリーグでしたが、ようやく涼しい中で試合ができそうです。多く走るチームのような過酷な夏に苦しんだチームは一転快適な気候に助けられることになるでしょう。果たして川崎は空の女神を味方に付け、優勝戦線に踏みとどまれるのでしょうか。

札幌は被災地に笑顔を届けられるか
 札幌は現在勝点41(11勝8分5敗)の4位で、勝点46(14勝4分6敗)で2位の川崎の背後にいます。ここ5試合負けなしと好調でACL出場権獲得も視野に入っており、川崎戦への想いは強いですし、何よりも被災地のためにという想いは試合に強く影響するでしょう。
 ジェイと駒井の出場は未定ですが、札幌の得点源の都倉とチャナティップは健在のようです。川崎からレンタル移籍中の三好はアジア大会から戻ってきたものの契約上出場はできません。個人的には右足首の怪我で離脱していた小野伸二の出場が楽しみで、もし出場すればJ1通算200試合のメモリアルマッチになります。

好調の攻撃陣
 好調を支えるのがFW都倉で、4試合連続ゴールで現在チームトップの11得点を記録しており、Jリーグ得点王ランキングでも川崎の小林と並んで4位タイです(トップは19得点のパトリック)。チームで見ても直近7試合連続で得点を挙げており、攻撃陣の好調がうかがえます。特に23節東京戦、24節清水戦はともに逆転勝利で、チームの自信に繋がっているでしょう。今季の札幌は11勝のうち5勝が逆転での勝利と、逆境に強いチームになっています。
 攻撃スタイルに関してはデータを見る限り、前回対戦時とほとんど変わっていないようです。

札幌の攻撃は手数をかけずにミドルまたはロングパスを前線に入れることで、相手守備の対応が遅れた状況を作り出し、ジェイや都倉、チャナティップなどの質的優位で攻めきると予想されます。
(引用元:むつ「【Preview】2018年J1第16節 川崎フロンターレVS.北海道コンサドーレ札幌「鬼木監督の脳内を探る一戦」https://note.mu/6_culture/n/n13e5d2c95a5d

チャンス構築率(12.4%,2位)が高く、全得点の約3割がクロスからの得点となっており、チームとして狙い通りの成果を出せているのではないでしょうか。ペトロヴィッチ監督もチャンス構築の点に不満は少なく、後は決めるだけという認識のようです。

ペトロヴィッチ監督「選手達は劣勢の中でも自分たちのサッカーをするという姿勢を示してくれましたし、そういった中で多くのチャンスを作れたという点については今後の我々の戦いにとって前向きとらえていいのではないかと思っています。」
(引用元:北海道コンサドーレ札幌公式HP「7月18日 川崎戦 試合後監督コメント」< https://www.consadole-sapporo.jp/entertainment/match_report/mr_view/?id=42486 >)

 前回対戦時のレビューでも述べましたが、札幌の攻撃の精度の低さに川崎は助けられました。都倉とジェイのコンディションが上がっていなかった、ビルドアップの連携が不十分だったなどのために札幌の攻撃は機能していませんでした。しかしながら最近の札幌の攻撃陣を見る限りは相手の不調を期待するのは難しそうです。

影に隠れる守備の脆さ
 守備に関しては変わらず被シュート数が多くなる守備設計をしているようです。意図せず増えている側面もあると思いますが、GKクソンユンの能力から逆算して、ある程度は打たせていく方針で、被シュート成功率が7.8%で2位という数字がそれを示唆しています。
 しかしながらここ7試合連続失点中の事実は見逃せません。攻撃陣の好調に支えられてチームの結果は出ていますが、守備に不安が残ることには変わりはなく、川崎としてはそこに付け入りたいところです。

ペトロヴィッチ監督「前からプレッシャーをかけることによって、相手が長いボールを蹴らなければならない状況を作れていたと思いますし、高さでは我々のほうが分があるという状況の中で、相手が長いボールを蹴ったところをマイボールにしていこうという狙いをもって戦い、比較的うまくいったのではないかと思います。」
(引用元:北海道コンサドーレ札幌公式HP「7月18日 川崎戦 試合後監督コメント」< https://www.consadole-sapporo.jp/entertainment/match_report/mr_view/?id=42486 >)

 守備の大まかな戦術に関しては前回の監督試合後コメントを見る限りは手応えを感じており、基本は同様の守備戦術で臨んでくると思います。前回の川崎は札幌の連携不足を突くことで得点しましたが、連携が向上していると考えると、広島戦のようにひたすら相手の隙を作るプロセスが求められ、忍耐が必要な試合展開になることが予想されます。

大島・下田のボランチ
 負傷により代表を辞退した大島が復帰見込みの一方で、代表初出場を果たした守田が負傷で欠場濃厚の模様です。彼らが不在だったルヴァンカップ鹿島戦では中村と谷口をダブルボランチとして選択した鬼木監督ですが、今節では大島と下田を起用するようです。まだプレーを見たことがない下田への期待と、公式戦では初コンビの彼らの連携への不安が入り混ざります。気になるのは大島のコンディションで、フル出場が難しい場合に鬼木監督がいかに対応するかにも注目です。 
(参照元:サッカーダイジェストweb「【J1展望】川崎×札幌|白熱の上位対決!川崎は優勝、札幌はACL出場へ負けられない一戦に」< http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=47256 >)
(参照元:J’s GOALニュース「【川崎F vs 札幌】 ウォーミングアップコラム:下田北斗が悔しさを力に。リーグ戦初出場初先発へ」< https://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/n-00088941/ >)

限られるベンチワーク
 昨年は年間で4試合だった無得点試合が今年はすでに7試合と、得点力の低下は無視できません。前節記事でも述べましたが、中村憲剛への依存度の高さにいかに対処するかに残りのシーズンは注目していきたいです。直近2試合でフル出場の中村の疲労を考えると今節は途中交代が濃厚ですが、加えて大島も途中交代が濃厚な状況を考えると、開始前から交代カードの切り方に制限がある厳しい試合になるでしょう。そのような試合に鬼木監督はどのようなゲームプランを描いているのでしょうか。

悪夢のガンバ戦CK二発を払拭できるか
 この試合攻守ともにセットプレーが重要になるでしょう。今年の川崎がセットプレーに絶大な弱さを誇っていることはサポーターの皆さんならご存知でしょうが、(川崎ほどではないにしろ)札幌も同様な弱みを持っており、失点の約35%がセットプレーからです。

「今日の1失点目は私にとってショックでした。ここ最近の失点の形が全て同じです。セレッソ戦、ガンバ戦、そしてFC東京戦、今日のゲームと、コーナーキックをニアで触られてそれがゴールになるという。一度、二度、例えばミスがあったとしても、同じことを繰り返してはいけない。だが、今日のゲームも同じような形で失点してしまった。」
(引用元:北海道コンサドーレ札幌公式HP「8月25日 清水戦試合後 監督コメント」< https://www.consadole-sapporo.jp/entertainment/match_report/mr_view/?id=43890 >)

 上記コメントの通り札幌はCKの守備が泣き所で、特にニアに弱いようです。ここはもちろん川崎もスカウティングしていると思いますし、CKの重要度は普段以上に高くして臨むでしょう。予想スタメンに奈良の名前もありましたし、何より昨季7得点の谷口への期待が高まります。
 逆に札幌のセットプレーを川崎が抑えられるかもポイントになります。札幌の誇る都倉とジェイのツインタワーに加え、CB進藤の存在も脅威ですし、彼らに正確なボールを供給する福森もいて、つい先日のガンバ戦の悪夢が蘇りそうです。そうしたセットプレーの守備までも考慮すると奈良の出場意義は大きいと思います。

おわりに 
 今節の札幌戦は厳しい戦いになるでしょう。先制しても札幌は逆転勝ちに慣れていますし、先制されると逆転するだけの得点力を今の川崎に期待するのは難しいです。現在2位を支えるのは攻撃力ではなく守備力、つまり失点数の少なさなので、セットプレーから簡単に失点をしないことが何よりも重要になると思います。ガンバ戦の二の舞だけは避けたいところです。

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