第38回:代替食品の最新事情

2022年8月31日掲載

代替食品が広がりを見せています。日本では代替肉、特に大豆ミートが普及していますが、昨今はソーセージ、ハムも人気になっています。海外では国境封鎖が解除され、訪問先の代替食品を試そうという旅行者が増えています。そこで今回は代替食品の最新事情を考察します。

■食べない理由と価格差

食習慣は毎日の生活に密着しています。その習慣に自社の商品を加えてもらうために、企業は様々な新商品を市場に投入し続けています。近年注目されている代替食品もその一つで、世界的な人口問題に対する打ち手の一つとして、特に欧米諸国が先行して普及しています。

代替食品は植物性食品と培養食品に大別されます。現在は植物性食品が主流で、培養食品はまだ開発段階にあります。植物性食品は日本ではもどき料理が代表格で、全国各地で昔から親しまれてきました。それが代替食品というカテゴリーで解釈されるようになり、新たな食習慣に取り入れている人が増えているのです。その普及度合いを知るために、ここではあえて植物性食品を食べない人に対する調査結果を見てみましょう。


 図は「代替食品を食べない理由」と「植物性食品と非植物性食品」の小売価格を示しています。食べない理由のトップは「お肉が好きだから」です。個人の好き嫌いですので反論の余地はありません。しかしながら「お肉が好きだから」だけでは過去に植物性食品を試したことがあるのかは判然としません。

一方で二位以降の「味が好きではないから」「値段が高すぎるから」「加工しすぎているから」「食感が好きではないから」からは、過去に試したことがある、または試そうとしたことがあることが伺えます。つまり試したことはあるが改善の余地があるということです。提供者がこうした課題を払拭できれば代替食品はさらに普及していくと考えられます。

■輸出にも影響

代替食品は輸出にも影響し始めています。EUでは昨年から混合食品について輸入条件を変更しました。混合食品とは動物性由来と植物性由来の両方を含む食品を指します。これはEUの動物衛生に関する制度の移行によるもので、つまりEUは動物性食品について敏感になっているのです。

この動きは日本企業にとっては逆風になりかねません。日本国内での植物性食品の普及は始まったばかりであり、企業の意識はまだ低いからです。現実問題としてEUが認定する動物性原材料の加工施設は日本には少ないです。従ってEUの規制が厳しくなるほど日本からの輸出は難しくなっていきます。

欧州はこうした規制づくりに積極的で得意です。多様な民族の異なる価値観を合わせるためと考えられますが、一方で域外から入れにくくしているとの意図も否めません。日本もかつては「米は一粒たりとも入れさせない」といった時代もありましたし、外資への規制は今でも存在しています。

食品で言うと規制は透明性の問題です。何をどうやって作ったのか。様々な食材からどうやって食品にしたのか、情報開示を求めているのです。従って正しい知識を持って対応すれば面倒なことにはなりません。逆にしっかり情報開示すれば規制当局にも消費者にも選んでもらえる可能性は高まります。知っているか知らないかで大きな差が生まれるのです。


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