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柴田敏雄と鈴木理策/Transformation 越境から生まれるアート【アーティゾン美術館】


・展覧会に関する個人的な感想を備忘録的に残している記事となります。
(撮影OKだったので、記事内の写真はすべて本人撮影)

柴田敏雄と鈴木理策 写真と絵画−セザンヌより

これまで写真家の展示にあまり触れてこなかった…というよりも
写真の鑑賞の仕方がなんとなくわからず敬遠していたところがあった。

しかし、今回は【写真と絵画】という副題もあり写真展の魅力、絵画との親和性をみることができた。

●柴田敏雄さんの作品
画面の中の対象物や背景など全体のバランスに調和が取れているイメージ。
自然(波や水の流れ)の連続性や流れ、幾何学的な空間が印象的だった。



●鈴木理策さんの作品
[絵画の印象派で有名なセザンヌやモネに触発され写真表現に通じるものはないかと模索されている] 

・意味を持たせるかたちで撮影された作品と絵画が同じ空間に展示されており、ふたつの要素がきれいに溶け込んで連続性が生まれひとつの表現になっている展示方法がとても新鮮だった。

・理策さんの意図的にぼかした撮影方法による画面、対象物の鮮やかな色、光と影が遠くから見るとまさに印象派の絵画のように見えた。

光に溶け込むように被写体の輪郭と背景がとてもよい意味で平面的にみえて、よりキャンバスに描いた絵のようですごく不思議体験だった。

ポール・セザンヌ【サント・ヴィクトワール山とシャトー・ノワール】

[写真はわからない]とひとくくりにしていたが、今回の展示はより撮影した人の【視点】というものが色濃く出て(いるようにみえて)どんなところに惹かれているのか、どういった意図をもって撮影されたのか…きっと完全には理解はできていないけど、わたしがいいな、描いてみたいと思う瞬間ばかりが切り取られていたので、絵を描く行為と写真を取る行為は遠くはないのだなと実感できた。


Truns formation 越境から生まれるアート


【概要】
国外の美術館へ何度も訪問したルノアール、西欧に渡り西欧の美術に触れた藤田嗣治・藤島武二・小杉未醒、抽象的で幾何学的な線、色で構成したパウル・クレーと影響を与えたロベール・ドローネー、同時期のジョルジュ・ブラック、そしてパウル・クレーの作品に触れ新たな表現を見出した中国のザオ・ウーキー…
このように国境を超えて作品が別の作家の作風に大きく影響していく…という展示内容だった。

■今、関心のある作風、画家

●学生の頃はあまりピンとこなかったルノアールやモネたち印象派の画家だが、わたしもアナログで絵を描いていて色味も明るく輪郭が曖昧でふわふわしているルノアールの画面は、見ていて素直にきれいだ、かわいいなと目に留まる。

とくにベルト・モリゾの【バルコニーの女と子ども(1872年)】は、黒いドレスを着た女性とその足元に立つ青のワンピースの上に白いエプロンを着たアリスのような服装の女の子の対比や、白いエプロンの白さが眩しくてしばらく見入った。画面端に見切れている赤や黄の花が差してある花瓶もアクセントになっていて素敵だった。


●圧倒的にかっこいいとかんじたのはパウル・クレーやジョルジュ・ブラック付近のシュルレアリスムやキュビズムの画家。

ジョルジュ・ブラックの【円卓】は、直線を駆使して幾何学模様を形成し焦げ茶と藍色(濃紺)でまとめられた1枚になっている。深いけれど決して濁らない色使い。近づいてみると筆のマチエールが暗い色で敷き詰められ全体に淡さが出て深海のようでとても惹かれた。
ほんとうにかっこよかった。

ロベール・ドローネーの【街の窓】は、こちらも直線を駆使し色の部屋を区分けしているような幾何学的な構造だが、打って変わってこちらはパステルカラーでこころが柔らかくなる。

色がおいてある箇所、デタラメのようにも見える直線でつくられた三角や四角は全体で見るととても調和が取れているように見えた。
まるでホログラムのきらめきみたいだった。かわいくてすき、
(下記ポストカードの星印で示してある作品↓)

…やはり、一番すきだ、かっこいいと思った作品は自分の目以外では再現が難しいのでどこか写真に残したくない思いが先立ち、こうして振り返るとき何も知らない人には伝わりにくい記事になっているかもしれない、、

でも、わたしの脳と心にそれは確実に刻まれていて、これは実際に足を運んでこの目で見たものしかない特権だと思う。
本物はどんなものでも 生 に勝るものはないのだから…… 



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