道楽まつ葉

101文字で書いています(空白や改行はカウント外)。「一百一文字物語」と称しております…

道楽まつ葉

101文字で書いています(空白や改行はカウント外)。「一百一文字物語」と称しておりますが、物語なのか何なのか。気にせずお楽しみいただければ幸いです。

最近の記事

一百一文字物語26

迷子になって泣いていたら、誰かの声がした。 「おや、子猫じゃなく大人の人間だね?」 犬のお巡りさんだった。 自分の名前も住所も伝えて家まで送ってもらった。 お礼にと人体標本の骨を差し出したら、丁重に辞退された。

    • 一百一文字物語25

      星の綺麗な夜に何度かあなたを思い出そうとしたのです。 厚い本を丁寧に閉じながら、その人は言った。 どう返事をするか迷って、少し曖昧に感謝を伝えた。 私にも、自分が星屑だったのか暗闇だったのか、もう記憶が無い。

      • 一百一文字物語24

        無人駅にひとり。 目の前は海、頭の上は空、背中の後ろは山。 波の音、鳥の声、木々のざわめき。 やがて遠くからガタンゴトン。 到着した電車はギュウギュウの超満員で誰も降りず、私も乗れず。 今日もまた電車を見送った。

        • 一百一文字物語23

          板チョコを銀紙ごとペキッと折ると、西の空に彗星が流れた。 チョコを齧ると、東の空の月が欠けた。 剥がした銀紙を丸めて投げると、南の空に輝く惑星になった。 北の空にはチョコの香りが漂い、新しい天の川が出来た。

        一百一文字物語26

          一百一文字物語22

          こんばんは。演奏していきませんか? オルガンが私を誘う。 無理なので適任者が通るまで一緒に待つ。 しばらく待って現れた弾き手にオルガンは喜びを隠せない。 まるまる1日地球に音色は響き、私と月だけが聴いていた。

          一百一文字物語22

          一百一文字物語21

          薬鑵でお湯を沸かしながらアン叔母さんに貰った紅茶の茶葉を探す。 何処に行ったのか? 茶葉が?叔母さんが? そもそも茶葉を貰ったのか? 叔母さんなんていたのか? 取り敢えず、ケン伯父さんから貰った青茶でお茶を濁す。

          一百一文字物語21

          一百一文字物語20

          流星の夜、一人で湖に釣糸を垂らす。 星たちが静かに水面に降る。 「釣るより楽かも知れんぞ」 長老が大きな虫取り網と共に現れた。 二人掛かりで面白いほどに星を掬い上げる。 それは太古の昔から続く、生活の知恵の相伝。

          一百一文字物語20

          一百一文字物語19

          洗濯機から泡があふれて、 家が泡に包まれて。 窓もベッドも一緒に洗って、 包丁も通帳も一緒にすすぎ、 家電も鞄も一緒に脱水、 鋏もササミも一緒に天日干し。 石鹸の残り香ただよう家一軒。 思いがけずに大掃除、無事完了。

          一百一文字物語19

          一百一文字物語18

          子守唄を歌う花。 海の底から山の上まで 眠れない人にだけ聞こえる歌声。 ジャングルからアスファルトジャングルまで 眠りたい生きとし生けるものに聞こえる歌声。 最後は子守唄を歌う花が とても心地好く眠ってしまう歌声。

          一百一文字物語18

          一百一文字物語17

          マッチは要りませんか? 夜道にマッチ売りの子狸がいた。 マッチは売れませんが、ご相伴に預かることは多くて。 ココアをすすりつつ子狸はそう言った。 どうやら幸せな子狸らしいので、安心して朝まで一緒にお喋りをした。

          一百一文字物語17

          一百一文字物語16

          雨が降って、泉が湧いて、上に雲が出来て、煙幕のようで、音もなく流れた  風が吹いて、木が揺れ動いて、朽ち葉が落ちて、獣に踏まれて、ここに眠る  盃をあげて、しぶきが舞って、素肌に触れて、背中越しに、そこに漂う。

          一百一文字物語16

          一百一文字物語15

          時にはこんな風に公園や駅前に集まる奴らに紛れたくなる。 でも俺には馴染まない生き方だ。良い悪いの話じゃない、生き方はそれぞれだろ? そう言うと彼は、私の投げた豆を少し啄んで伝書鳩レースへと舞い戻って行った。

          一百一文字物語15

          一百一文字物語14

          ラジオから流れる音楽。 空まで届いてほどけて消えた。 空には大きな満月ひとつ。 気分楽しく鼻歌まじり。 月は今にも軌道を外れ、 ステップ踏んで踊り出しそう。 小刻みに揺れる月を眺めて、 ラジオのボリューム少し上げた。

          一百一文字物語14

          一百一文字物語13

          お喋りな鳥と世間話。話題があちこち飛び回る。 弥生時代の稲作の話、 お気に入りの動画サイトの話、 中止になった札幌五輪の話、 地球が出来た時の話等々。 流石にフェニックスさんは 全部リアタイしているだけあって饒舌。

          一百一文字物語13

          一百一文字物語12

          おやつに饅頭でも食べようかと戸棚を開けたら、小人が居たので、とりあえず餡子多めで饅頭を分けてあげたら、お礼にと自家製の梅干しをくれたけど、何と言っても小人サイズなので、米粒大の梅干しで梅仁丹かと思った。

          一百一文字物語12

          一百一文字物語11

          サイズが合ったら 差し上げますよ。 火の指輪は熱すぎて、 水の指輪は零れ落ち、 土の指輪は泥が流れ、 風の指輪は吹き飛んで、 金の指輪は指に入らず。 木の指輪はサイズぴったり、 花咲き実り葉が繁り、 気付けばジャングル。

          一百一文字物語11