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真藤順丈『宝島 -HERO's ISLAND-』を読みました

タイトル通り、読書感想文です。

前々から読みたかった真藤順丈さんの宝島を先日読み終えました。


第160回直木三十五賞受賞作品。

戦後、1952年から1972年までの沖縄を舞台とした、三人の若者グスク、レイ、ヤマコの人生の交錯を描いた物語。

三人は突如島から姿を消した義賊戦果アギヤーのリーダーオンちゃんの行方とその秘密に迫っていく…。

タイトルにもある島の宝とは?

それは読んでのお楽しみ。



圧巻でした。圧倒的な筆力。骨太の作品で非常に読み応えがありました。泣いた。

副題にもある通り漢の物語、英雄譚です。


あのタイミングで沖縄を舞台とする物語であるこの作品が直木賞を受賞したことに何らかの意図を感じるような気がするとともに、日本の良心を感じました。


本作では琉球弁が多く使われており決して読みやすい作品とは言えないでしょう。

正直序盤はなかなかページを繰る手が進みませんでしたが、中盤に大きな事件があり作中の雰囲気が一変します。引き込まれました。


いろんな意味でとても勉強になる本でした。

沖縄という土地の難しさ。決して他人事では済まされない。

沖縄の歴史を知るには単に教科書を読むよりもこういう物語を読んだ方が案外勉強になりそうです。


以下、私が作中で特に心に残った部分です。(ここだけ抜粋してもアレですが)

自分だけやあらん。だれにでも大事な人を奪われた過去がある。

毎日生きなきゃならない。毎日生まれたばかりのように。

常識におさまりきらない物事にこそ真実の片鱗は隠れているものよ

付き合いの長さや身分の差は問題じゃない

この世界に後日談なんてものは存在しない


平和って本当に難しいんだなあ、と改めて実感した次第です。

また何年か後に再読したい作品です。


まるでシリーズものの映画を観終わった後のような読後感でした。

代わり映えのない毎日が続くことって、贅沢であり実は一番の幸せなんですねえ。。。


足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志有り。
(満足することを知っている者は精神的に豊かであり、それでいて努力する者にこそ志は宿っている。)
                     ———老子(中国の思想家)

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