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移動は基本的に抱っこだった日々
今になって思えば上の子(娘)は非常に甘やかしていたと思う。はじめての子育てでよく分からないことが多い上に、子どもを大事にしたいという気持ちが過剰に働いた。
その一つが抱っこである。
育児における抱っこについてはいろいろな意見があるが大きく分けて二つである。
一つは抱っこ癖がつくからしない方がいいということ、もう一つは抱っこして欲しい時期は一時期なので、その間はたっぷり抱っこしてあげて子どもの気持ちを満たした方がいいということである。
我が家では後者の意見を全面的に取り入れることとした。
そして私は決めたからにはやらなければと思うタイプなので娘が要求すれば必ず抱っこをした。
一番酷かったのが2歳になるかならないかくらいの時に行った、お母さんと一緒コンサートの時である。
今でも忘れないが、あの時は埼玉県の自宅から神奈川県川崎市のコンサート会場まで娘は一度も地面に足をつかなかった。
電車で埼玉から川崎まで行ったのであるが、ずっと抱っこである。家から駅、電車の中(座席に一緒に座ると怒るので立って抱っこ)、駅間の移動、駅からコンサート会場とずっと私が抱っこで移動した。
一都ニ県をまたいでいるにも関わらず、ずっと空中移動であった。
地に足をつけて生きて欲しいとこの時はまさに文字通りそう思った。
ベビーカーも嫌いだったので、ベビーカーを持って出かけても基本的に抱っこである。
ベビーカーは荷物運搬車くらいの価値しかない。
ベビーカーにちゃんと座っているよその子どもを見ては、「ベビーカーに座れるなんて偉いなぁ」と謎の羨望の眼差しを向けていた。
当時は抱っこをし過ぎて、肩か肘が痛いということが常態化していた。
ベテランピッチャーが肩や肘が痛いのを堪えながら投球するように、私もその日の肩や肘の具合を考えながら負担がかからないような体勢で抱っこをするという技術が身につきつつあった。
4歳になった今ではほとんど抱っこを要求することがなくなった。
下の子(息子)はまだ2歳であるがそれほど抱っこを求めてはこなくてよく歩いてくれる。
痛いのはもう嫌ではあるが、思い出してみると懐かしいしあの時しかできなかったことであると感慨深い。
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