退屈の花 (6/6〜12の日記)

6月6日(土)
映画館へ行こうと決めていた。映画の時間は決めていなかったが、早くに目が覚めた。潜在的に楽しみだったのかもしれない。午前中に自転車に油を差し、タイヤに空気を入れ、洗濯を済ませた。
片道40分程度、自転車を漕ぎ映画館へ向かう。何度か通った道だが、市街部を抜けると田園が広がり変化がない。加えて行きの道は山から降りてくる向かい風でスピードが出ない。サイクリングの爽快感はないが、車のない自分にはこれしか交通手段がない。
『ルース・エドガー』を鑑賞。ポイントが貯まっている、と反射的に使ってしまったが、こんな時勢だし、しっかり料金を払えばよかったと今思う。久しぶりの映画館への感慨は、それほど昂ぶるものでもなかった。事前に読んだ記事で、リスペクタビリティ・ポリティクスという言葉を知っていたおかげで、より面白く感じられた。

フードコートに寄ったらまあまあ混み合っていて、密集、密接な状況だなあと思ったが、ケンタッキーを食べることにした。どこにでもある店という認識だったが、今の生活圏にないとなると、無性に食べたくなる時があるし、その機会を逃したくないという心理が働く。
帰宅して数日分の日記を書いていたら、いつの間にか日が暮れていた。コンビニで買ったおぼろ豆腐を使い、サラダを作って食べた。パッケージの写真から居酒屋のメニューのような出来上がりを想像していたけど、見た目も味もなんだか上手くいかなった。

6月7日(日)
営業再開に関する作業も落ち着いて、一転、仕事中に退屈な気分に覆い尽くされてしまって叫び出しそうだった。そんな気持ちになった一番のきっかけは少しだけ同僚と話した内容があまりにも噛み合わなかったことだと思う。若草物語を知らないことに恥じらいがなく堂々としたどころか、「つまんないんでしょ」と言い放ったこととか、木村花さんのことを軽々しく話題にあげたこととか。引っかかるどころのレベルではなかったがその場で口をつぐんでしまった。自分のモヤモヤとした気分が、まるで通じる気がしなかったのだ。
夕食に市販のシーズニングを振りかけて、レモンチキンを作った。初めて作ったレシピが美味しくて、後日もう一度作ると微妙な出来になってしまうのは何故なんだろうか。radikoでオードリーのオールナイトニッポンを聞く。ドラゴンボールの話題でわいわい盛り上がっているおじさんたちが微笑ましたかった。
元・日向坂46の井口眞緒のインスタを見ていると不思議に気持ちが綻びるようだ。ここにある生活の温度について想いを馳せてみる。

6月8日(月)
昨日と同じに仕事中は退屈な気分に支配されていた。
帰宅して録画していた番組を見る。激レアさんを連れてきた、乃木坂工事中、日向坂で会いましょう。ひなあいの潮さんがおもしろかった。坂元裕二脚本のNHKリモートドラマ『Living』は実際の兄弟、夫婦のキャスティングに高まる気持ちがあったが、あまりおもしろくなかった。リモート形式は俳優が撮影を兼ねる方法しかないのだろうが、逆説的に作劇におけるカメラ割りなど撮影のクリエイティビティを知る思いだ。内容的にも寓話、形而上学的で坂元裕二は、この大きな変化の中に迷っているのだろうかと薄ぼんやりと感じた。
ポケモンのネット対戦を何戦かする。解禁されたばかりの夢特性リベロのエースバーンが流行っていて、猛威をふるっていますね。わたしみたいな雑魚でも感じるほどに。

6月9日(火)
午前中から、なすの煮びたしともやしナムルを作り、常備菜として冷蔵庫にしまう。
自転車で映画館へ向かう。初めて行く場所ではないのだが、Googleマップのナビに従ったら知らない道を通ることになった。途中、利根川や前橋商業高校と名前をよく知った場所に出くわし、「ほうほう、これがかの有名な」みたいな気持ちになる。
ジム・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』を観賞。ジャームッシュは学生時代、オールナイト上映に行ったりしたこともあって、ほとんどの作品を見ている好きな監督だ。いつも通りのオフビートなトーンで語られるゾンビ映画というのはシュールでおもしろくもあったし、ジャームッシュがゾンビ映画を取るというのは結構ヘンテコな事態で、作中にもたらされる混乱とも合わさり、アメリカ社会の現状を重ねて考えてしまう。
ウェンディーズでハンバーガーを食べて夕食とした。帰宅して、Netflixのアニメ『GREAT PRETENDER』5話までの1クールを見る。古沢良太、貞本義行、鏑木ひろという座組みに惹かれて見たが、これ『コンフィデンスマンJP』とキャラクター配置と役割がほぼ一緒じゃないか。軽く楽しめる作品であったが、個人的に特筆したいものはない。

6月10日(水)
仕事から帰ってきて、スーパーで買っておいた焼肉用のハラミを焼く。冷蔵庫に入れっぱなしのまま、2日消費期限を過ぎていたが、変な味も臭いもしなかったが特別美味しくもなく。しかし数十分したら、急に腹痛に見舞われる。肉以外に思い当たるものがない。悪くなっていたのだろうし、焼きも甘かったのかもしれない。もう家で焼肉を焼くことはしばらくないだろう。
1時間ほどトイレに篭ることにもなって眠れないので、乃木坂46のオールナイトニッポンを流していた。いくちゃんこと生田絵梨花さんがゲストの回。いくちゃんの深夜テンションといえば、ファンの中では有名なのだが、期待を裏切らない自由さに痛快ささえ感じる。あれだけ才能に愛され、努力を惜しまない人に、当たり前なのだけど学生生活があったことが話されていて、なんだかこちらまで嬉しい気がした。いくちゃんが傍若無人、我儘になるのはメンバーに甘えているからなんだという解釈が好きで、それを事実だと感じさせるメンバーと本人のパーソナリティも好きだ。

6月11日(木)
給付金も振り込まれていたしと、奮発する気持ちで購入したBALMUDAの扇風機が届いた。早速組み立てて見ると確かによく知った扇風機の音がせず、静かだ。DCモーター駆動というやつだそうですよ。長らくエアコンでしか暑さをしのぐ方法がなかったので、快適になったらいい。
その後、遅番の仕事へ出かけた。帰りにラーメンの気分になって、一風堂へ行ったのだけれど、短縮営業で終わっていて入れなかった。しょうがないので、からあげ専門店のから好しでカレーを食べて帰った。ダラダラとYouTubeを再生してから眠った。

6月12日(金)
起きてお腹が空いていたのだけど、冷凍したご飯がなく、炊飯器で炊く時間もないので朝からコンビニ弁当を買いに行った。
昼から予約をしていた整体へ出かける。自分の場合、施術の満足度というのは一定ではなくて日によるのだけど、この日は大分すっきりして身体が軽くなった気がした。性的な興奮とははっきりと違うもので、人に耳かきをしてもらったり、マッサージをしてもらったり、優しくされた時に感じる脳がふわふわとした感覚といったら伝わるものでしょうか。それを感じた。
携帯の天気予報で夕方から雨100%の予報が出ていたで迷ったが、自転車で映画館へ向かった。結局雨はぱらつく程度にしか降らなかった。土曜にも訪れたシネコンで『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』を観賞した。これはもう無茶苦茶によかった。古典といってもよい原作が、今、描かれる意味をしっかりと感じたし、現代に合わせた翻案もよかった。なにより喜びに満ちた映画だと感じていて、冒頭から嬉しくて街を駆け抜ける、踊るという活劇のような描写が、どんよりしたコロナ禍のムードに突き刺さることよ。

行き帰りで、POPLIFE: The Podcastを聞く。すっかり毎週チェックしているリスナーになった。というのも、カルチャーの先行きというのが、自分は気になっているのだろうと思う。音楽産業についての1回目だったが、タナソーと宇野さんの考え方が極論過ぎて、ちょっとついていけない。カルチャーという大枠で見たら、それでも理解できるのだけど、そこまでのグラデーションというか、実際の産業がどうなっていくのかが、もう少し知りたい気がした。
今日こそはと一風堂でラーメンとご飯ものをがっつり食べた。自転車に乗り、汗をかいたので、風呂に入る。佐久間宣行のオールナイトニッポンを
初めて聞いてみた。テレビ東京のプロデューサーがラジオで喋るということに、ずっと疑問符を浮かべたままだったのだけど、おもしろかった。朝の少しのひもじさを教訓に、炊いた二合のご飯を小分けにして冷凍した。
そういえば、ここのところのお腹の出っ張り具合が気になってきて、腸内環境を整える、脂肪・体重を減らすというサプリを飲み始めました。

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