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異世界転移流離譚パラダイムシフター

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数多の次元世界<パラダイム>に転移<シフト>して、青年は故郷を目指す──
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2020年11月の記事一覧

【第2部6章】征騎士円卓会議 (1/4)【円卓】

【第2部6章】征騎士円卓会議 (1/4)【円卓】

【目次】

【第5章】←

「よかった、一番乗りだよ……」

 緊張した面持ちの少年は、安堵の声をこぼす。グラトニアの国章が刺繍された赤い外套を羽織り、腰には帯剣している。

 まだ幼さの抜けきらない顔つきの若人、フロル・デフレフは、グラー帝に仕える幹部集団『征騎士』の──末席ではあるが──一員だ。

「僕が一番下っ端なわけだし……先輩に因縁でもつけられたら、生きた心地がしないんだよ」

 グラト

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (16/16)【蒼褪】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (16/16)【蒼褪】

【目次】

【生首】←

「『魔女』か? 今回の威力偵察任務の指揮官は、オレなのさ……よけいな口出しは止めて、ほいさっさと引っこみな!!」

『その任務はすでに達成された、と言っているので。プロフェッサーの求める戦闘データの収集は、完了しています。前線部隊は、わたシがすでに回収しました』

「人に無断で、さっささっさと勝手な真似をしやがる。そんなだから征騎士連中に嫌われるのさ、『魔女』ッ!」

 

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (15/16)【生首】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (15/16)【生首】

【目次】

【暗転】←

「おい、おまえ……ッ!!」

「ふえ──ッ!?」

 アサイラはとっさにアンナリーヤへ体当たりし、自分ごと彼女の身体を谷底の雪のうえに押し倒す。

──ズガガガッ!

 刹那、フルオートの射撃音が渓谷に反響する。黒髪の青年と戦乙女の姫君が立っていた空間を、無数の銃弾が突き抜けていく。

 アサイラは、アンナリーヤをかばうように倒れ伏した姿勢から、頭をあげて銃声の聞こえた方

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (14/16)【暗転】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (14/16)【暗転】

【目次】

【逆転】←

「どうしたのさ、狂人! さっきのはマグレあたりか? いまさら、怖じ気づいたか!? 降参するなら、ほいさっさと最初に言っておくものさ!!」

 じょじょに疾走速度を増す甲冑男は、フルフェイスヘルムのすきまから血をまき散らしつつ、わめきたてる。アサイラは、醒めた視線で応じる。

「おまえ、うえに気がつかないのか?」

「……あがッ!?」

 黒髪の青年がつぶやくと同時に、なに

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (13/16)【逆転】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (13/16)【逆転】

【目次】

【再起】←

「あぎギがガ──ッ!?」

 無理に体勢を維持しようとしたためかえってバランスを崩した甲冑男は、頭頂と足の裏を何度もひっくり返しながら、谷底の雪のうえを転がっていく。

「フウゥゥ」

 対するアサイラは拳を突き出した姿勢のまま、静かに呼吸を整える。いわゆる『残心』というやつだ。

 征騎士と呼ばれた男が十メートルほど離れた地点でようやく止まったころ、黒髪の青年はようやく

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (12/16)【再起】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (12/16)【再起】

【目次】

【光明】←

「ウラアッ!」

「ほいさっ!」

 アサイラは老人の側頭部を狙い、ハイキックを繰り出す。白ひげの老師は合わせ鏡のような動作で、黒髪の青年に蹴りを放つ。両者のすねが、宙で衝突する。

「……グヌギイッ!?」

 青年の軸足が、接地面を離れる。その身体は老人の脚を支柱にしたかのように、くるりと一回転する。アサイラは、背中からコンクリートに向かって落下する。

「あがはっ!!

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (11/16)【光明】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (11/16)【光明】

【目次】

【臨死】←

「この不気味な世界……たしか一度、見たか……?」

 いくつもの次元世界<パラダイム>を渡り歩いたアサイラの経験からいっても異様としか言いようのない光景を見まわしながら、小さくつぶやく。

「たしか、セフィロトの『社長』と戦ったときに……リーリス?」

 黒髪の青年は、『淫魔』とも呼ばれるゴシックロリータドレスの女の名を口にする。返事はない。

 詳細に説明されたわけでは

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (10/16)【臨死】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (10/16)【臨死】

【目次】

【窮地】←

「オマエな、ほいさっさと手を打たにゃ、命はないのさ……さっきみたいに、三角跳びでオレの背後でもとってみるか? 狂人!」

(読まれている……か)

 アサイラは内心、舌打ちする。完全に自分は後手に回っている。全身をおおう薄らぼけた倦怠感が、さらに足を引っ張る。

(力よ、出ろ……出せ! 出ないか!!)

 黒髪の青年は己を叱咤しつつ、甲冑男に対して左右のボディブローを連続

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (9/16)【窮地】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (9/16)【窮地】

【目次】

【侮蔑】←

「バッド、うっとうしいにもほどがあるだろ!」

 ナオミはヒポグリフを急上昇させ、螺旋の軌道を描きながら、フルオートの対空射撃を回避する。渓谷のうえに頭を出した直後、下降の軌跡へと反転する。

 谷底をかすめるように滑空しつつ、すれ違いざまに魔銀<ミスリル>製のハルバードで敵兵の頭を殴打する。

「手応えは、確かにあっただろ。だが……」

 イクサヶ原でサムライの真似事を

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (8/16)【侮蔑】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (8/16)【侮蔑】

【目次】

【奇妙】←

「オマエな。まあ何者であっても、関係ねえのさ」

 アサイラは、征騎士と呼ばれた男の手元、アサルトライフルの銃口と引き金を凝視する。軍用火器のフルオート射撃を回避し損ねれば、ひとたまりもない。

 できることならば発砲の機会を与えることなく格闘戦に持ちこみたかったが、この距離からでは、最低一回は相手の銃撃を回避しなければならない。

「オマエにしろ、ヴァルキュリアにしろ、

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (7/16)【奇妙】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (7/16)【奇妙】

【目次】

【肉薄】←

「がぎぎ……効いたのさ、いまのは」

「征騎士ロック・ジョンストンどの! 大事ありませんか!?」

「オマエな、オレの心配よりも敵の排除を優先するのさ! さっささっさとな!!」

 リーダー格の甲冑の男は頭を振りながら立ちあがり、護衛兵は焦った声を張りあげる。

 地表付近をホバリングするヒポグリフの背にまたがったアサイラとナオミは、敵の混乱を一目で見てとる。

「征騎士

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (6/16)【肉薄】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (6/16)【肉薄】

【目次】

【撹乱】←

「征騎士ロック・ジョンストンどの! 攻撃部隊が現住種族との白兵戦に移行した模様です!!」

 渓谷の底、洞窟というには小さすぎる岩のくぼみに寒冷地用の迷彩シートをかぶせた簡素な陣幕のなかから、導子通信機と向きあう甲冑兵が声をあげる。

「はあっ? なんだって、現地の蛮族のチャンバラにつきあっているのさ!? すたこらさっさと距離をとらせろ!!」

 狭苦しい陣幕のなかを嫌っ

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (5/16)【撹乱】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (5/16)【撹乱】

【目次】

【助人】←

「向こうだな! すでに戦闘が始まっている!!」

 灰色の雲の下、吹雪が荒れ狂うなか、シルヴィアがヒポグリフの背のうえからななめ後方を指さす。アサイラとナオミも、つられて目を凝らす。

 雪煙越しではあるが、散発的な銃火の光が見える。豆粒ほどの大きさの影が地表近くを飛び交っている。

「ナオミ、高度を下げてくれ。ヴァルキュリアの援護には、こちらが向かうのだな!」

「……

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【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (4/16)【助人】

【第2部5章】戦乙女は、侵略にまみえる (4/16)【助人】

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【吶喊】←

「グリン。アサイラ、いま、なんて言ったのだわ……助太刀に行く?」

 リーリスは、肩をすくめて見せる。『シルバーコア』に残るララを除いた一同は、牧場主夫妻のシェシュとエグダルも交えて、母屋のまえにいた。

 次元跳躍艇の大音量着信メロディは止み、いまは代わりに天空城から緊急事態を知らせる警鐘が天空の世界に鳴り響いている。ときおり、ヒポグリフの不安げな遠鳴きが混じる。

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