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俳句、自選自解

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自分の創作物を見ていただくのは「ナンカチガウ」と思いつつ、おだてられて始めてしまいました。
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#季語

俳句、自選自解010(春泥)

俳句、自選自解010(春泥)

春泥を来て春泥を帰らざるつねたまじめ

小賢しく近道をしようと思ったばかりに、ぬかるみを歩くはめになった。

ぬった、ぬった、と足裏から感じる春。これが革靴ならば目も当てられない。今から来た道を戻っては、電車に間に合うまい。

アスファルト舗装された歩道を軽やかに帰ろう。私は揺れる電車の中でそう決心していた。

季語「春泥」

雨が降り、気温は上がり切らずにいます。おかげで、春の泥土はやわらかく、

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俳句、自選自解001(水無滝)

俳句、自選自解001(水無滝)

虹かめ花さるさんとコメントをやりとりしていて、俳句をいくつか自選自解しようと思い切りました。とりあえず、一つやってみます。

水無しの滝や八方槍氷柱

(みずなしのたきや はっぽうやりつらら)

冬のある日、最も古い付き合いの賢者と六甲の地図を開き、どのルートで山頂を目指すかとぐだぐだ話しておりました。すると、

「水無滝」

水がないのに滝とは、これいかに。
いぬというのに、ここにいるが如し。

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