関西勤務司法書士

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商業登記失敗事例ありますか?

連休中、いかがお過ごしでしょうか。 台風被害に合われた方にはお悔やみ申し上げます。 さて、私は、商業登記を多くしていることもあり、数多く(?)の失敗を経験させていただいております。そして、酒にそのはけ口を求めるもともしばしばありました。 商業登記は、会社法・商業登記法の知識をもとに行うことは当然ですが、そのなかで、実務の暗黙知として行われていることがあります。 商業登記ハンドブックを読んだ、金子本は読んだ、よし、これで間違いがないと思ったとしても初見の事案ではなかなか不安が付

    • 設立の際の金銭出資の払込場所を複数定めることができるか

      設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込む必要があります(34条)。その払込場所については、発起人が定めることを要求してますが(同条2項)、その払込場所については、銀行法に規定する銀行と、施行規則7条を受けた場所が該当することになります。 通常は、ひとつの金融機関を発起人の間で決定し、その金融機関に金銭の全額を払い込むことになると思います。ここで、発起人が定めることになる上記の払込金融機関ですが、複数の金融機関を

      • 平成29年3月17日法務省民商41号(発起設立の預金通帳の口座名義人の範囲について)について

        平成29年3月17日法務省民商41号について。株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の一部として払込取扱機関における口座の預金通帳の写しを添付する場合における当該預金通帳の口座名義人の範囲についてです。 要旨としては、特段びっくりするものではなく、一部は、従来から実務上認められていたことが通達として明確化された点に意義がありますが、再復習。 要旨として、3つのことに触れています。 すべて、司法書士実務か

        • 現物出資による設立はまれなのか(補足)

           発起人による出資の履行については、発起人が割当てを受ける設立時発行株式(32条)を前提に行われます。  そして、その割当てについては、定款又は32条1項の規定により、発起人全員の同意により定められることになっています。  ですので、定款の認証を受ける前であっても、①定款が作成されて発起人の引受けが確定している場合、②発起人の同意により発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数が確定しておれば、設立時発行株式が引受が行われたと理解することができるので(34条)、定款「認証前」

        商業登記失敗事例ありますか?

          商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部を改正する省令案の変更の衝撃

          1)省令案のパブリックコメント  ご存知のとおり、令和4年8月18日法務省令第35号により、上記省令が公布され、9月1日から施行されることとなりました。  通常、省令の施行にあたってはパブリックコメントに付され、形式的に外部の意見を聴いたうえで、施行することとされています(形式的な改正にとどまるものは、パブコメを省略することもできる規律となっております)。 今回は、令和4年2月16日に案件番号300080259として意見募集が開始され、募集期間の3月18日まで、衆目を集めま

          商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部を改正する省令案の変更の衝撃

          現物出資による設立はまれなのか?(2)

          前回に引き続き。 定款作成前に出資金の払込と思われる入金が口座にあった場合、法的に考えられる構成として、金銭の振込み(34条)には該当しないが、その通帳預金を発起人の会社名義の金融機関口座に対する債権として構成し、その債権を、現物出資として会社に提供する方法は可能なのかということです。 当然、現物出資ですので、28条の変態設立事項に該当し、定款にはその預金の記載をします。そして、その額が500万円を超えなければ検査役の調査も不要ですので(33条10項第1号)、スムーズな設

          現物出資による設立はまれなのか?(2)

          現物出資による設立はまれなのか?(1)

          会社の設立としては、発起設立と募集設立の2パターンがあります(新設分割等による他の会社が関与する場合は除きます)。 そのうち、中小企業の会社設立は、発起設立によることが多いのではないのでしょうか(私自身、募集設立は、在外外国人の投資による場合の数回経験した程度です)。 会社の設立の際によく悩むのは、発起人の方が定款作成等の前にすでに通帳にお金をいれている場合です。会社設立の流れの中では、条文構成からも明らかのように、次の流れとなります。 設立時発行株式に関する事項の決定

          現物出資による設立はまれなのか?(1)