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設立の際の金銭出資の払込場所を複数定めることができるか

設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込む必要があります(34条)。その払込場所については、発起人が定めることを要求してますが(同条2項)、その払込場所については、銀行法に規定する銀行と、施行規則7条を受けた場所が該当することになります。

通常は、ひとつの金融機関を発起人の間で決定し、その金融機関に金銭の全額を払い込むことになると思います。ここで、発起人が定めることになる上記の払込金融機関ですが、複数の金融機関を定めることができるのか問題となります。例えば、A発起人は地元の信用金庫を指定し、B発起人は都銀を指定しており、その決定がまとまらず、ではふたつにしてしまえばといった場合です。

結論の方向性として、払込事務の確認が煩雑になるので、ひとつの金融機関でいいのではないかとの意見があると思います。しかし、複数の払込場所を設けるメリットとして、今後、新しく設立する会社と金融機関との付き合いを考慮して、発起人段階から複数の金融機関との関係を強化しておきたい要望等や、発起人の振込み金融機関への物理的距離が考えれれるます。ネット振込みだと物理的距離は考慮に入れることがないのですが、それでもやはり、当該金融機関へ出向くかたも未だに結構おられるのではないかというのが私の感覚です。

複数の金融機関を指定することができるとする最大の論拠は、条文上、文理解釈するならば複数の金融機関を定めることを禁止していないことが挙げられると思われます。(もしも禁止しているならば、34条2項の条文規定は、「発起人が定めた一の銀行等~(以下省略)」が想定されます)

では、また。

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