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熱中症にご用心

ミスチルのライブで、考えられないくらい汗をかいた翌日のこと。患者はとにかく安静にしていた。昨夜は蒸し暑い京セラドームで、踊り歌い叫んでいた。勢いで買ったツアータオルは汗でびっしょり。今日はもう、なんの力も湧いてこない。疲れた疲れた。

ゆっくりと8時くらいに起きてきて、午前中は家事をするなど機嫌よく過ごしていた。お昼ご飯を食べたくらいから、なんだか雲行きが怪しい。体がだるくておなかが緩い気がする。あと、手足が異様に熱をもっている。なんか顔もかカッカしてきた。そのうち、頭が痛くなり、そこでようやく「あれ?」と思ったよね。

そういえば、エアコンつけずに過ごしておるけれど、これって熱中症じゃありませんかね?

それで慌てて、自慢のダイソン(扇風機)とエアコンのスイッチを入れた。経口補水液のゼリーを飲んで、横になる。熱はないようだ。ついでに「熱中症ゼロへ」というWEBサイトを訪れてみた。うん。オレいま熱中症っぽいかも‥

熱中症というのは、高齢者がかかりやすいという。患者の年齢は、高齢の域ではないが、体年齢は高齢と言ってよい。病の具合からいっても、いろんな調整ができなくなっているのを感じる。

現に患者には、去年ライブハウスで意識を失って倒れたという「前科」があるのだ。あれは重度の熱中症だった。

あの時ライブイベント「ロックロックこんにちは」で、トリをつとめたスピッツが「渚」を演奏していたんだよね。スタンディング形式のライブ会場内は超満員。ちょうど梅雨時で、大変過酷な状態だった。こまめに水は飲んでいたし、はやる心を自制して飛んだりしないよう気を付けていたつもり。それなのに、急にとってつけたような吐気に襲われた。「渚」が終わったタイミングで、あわててトイレへ行こうと人ごみを歩いたんだけど。もう、いくら歩いても出口にたどり着かない。そして、出口の手前で力尽きた。数分のできごとだ。そのあと何にも覚えていないんだから‥こわいよねぇ。

お客さんだった女子たちが、困り者のオイラを出口まで運んでくれた。ライブのいちばんいいところだった。その女子たちと会場スタッフが「だいじょうぶですか?!」と、ロビーで何度か呼びかけてくれていたようだ。そこで、患者の意識が戻ってきたというわけ。呑気に「あれ?なんでこんなところで寝てるんだろう?」と、きょろきょろ辺りを見回す。スタッフがインカムで「意識が戻りましたーっ!‥‥はい。了解です。確認します!」と言っておる。

その言葉で事の重大さを察知した。親切な女子たちにお詫びとお礼を述べて、しょんぼりと反省する。ライブハウスのスタッフは慣れたものだ。風通しの良いところにパイプ椅子を出し「こちらでゆっくりと休んでください」と言ってくれた。簡単なメディカルチェックもしてくれた。患者は漏れ聞こえる、いちばんの盛り上がりを確認しながら、水を飲んでライブが終わるのを待ったのだった。

あのときの敗因をふりかえる。

・じぶんの感覚「暑くない、まだいける」をアテにしてしまった

→湿度が何パーセントだとか、人がどのくらい密集しているとか、事実を客観的に把握したうえで判断するべし。

・水を飲んで安心していた

→汗を大量にかいて塩分が蒸発したところへ、水だけ飲んだらどうなるか?血中の塩分・ミネラル濃度が薄まって逆効果じゃん!あのとき、ライブ開始から2時間くらい経っていたはず。かなり消耗していたから、塩分と同時に糖分補給も必要だ。スポーツドリンクや飴など、工夫して不足した栄養を吸収すべし。

とにかく、室内は油断しがちでよくない。いつだったか、屋内プールで熱中症による死亡事故があった。水に浸かっていながら熱中症にかかるなんて‥と驚いたものだ。そういう認識がまたよくないのかもしれない。確かにプールとはいえ、あそこは湿度があがりやすいものね。水分も摂らないし。

熱中症は3つの要素から起こると、環境省のサイトにも書いてあった。

1)環境‥急に暑くなった、室温度が高い、密封状態etc.→患者のばあいは満員のライブハウス

2)カラダの状態‥疲れやすい、二日酔い、子どもお年寄りetc.→患者の場合は抗がん剤治療中

3)行動‥なれない・激しい運動、水分がとれないetc.→患者の場合は慣れない人ごみ(身動きがとれなかった)

さて、今年はライブ中こそ倒れなかったものの、翌日に怪しげな症状が出たオイラはどうなったか。意識はしっかりあるけど、夜には動けなくなっちゃって。でもおなかは空いたから、晩ご飯にデリバリーを頼んでみた。この時点でもう大丈夫やろって思いますか、そうですか‥‥そのときに、ちっちゃなチョコレートパフェをね‥いやその、冷たくて甘いものがほしくって。

近頃はおひとり様でも、出前でご飯が食べられる時代なんだねぇ。トマトのパスタとパフェを食べたら、すっかり元気を取り戻した。夜もぐっすり眠れた。

翌日、元気を取り戻した患者は、スポーツドリンクを持って屋内プールへ出かけていった。熱中症は、日々の運動で防ぐことも大切だから。あとチョコのパフェのカロリーが気になったもので‥