【嫁さん観察日記】「気を付けて、いってらっしゃい」という最強の言霊。
うちは夫婦共働きだ。
嫁さんの方が始業が早い会社のため、先に出勤する。
なので毎朝私が見送ることになるのだが、
どんなに眠かろうと、体調がすこぶる悪かろうと、昨晩えげつない夫婦喧嘩をしようと(笑)、毎朝玄関を出ていく嫁さんは必ず見送るようにしている。
そして、
「気を付けて!いってらっしゃい!」
と声をかけている。
これを毎日欠かさず行うようになったのは、とあるエピソードを知人に聞いてからだ。
ある女性(既婚者)がいた。
その人は専業主婦だった。
仕事でとても朝が早い旦那さんの為、毎日頑張って早起きし、朝食を作って送り出していた。
とても献身的で仲の良い夫婦と近所でも評判だった。
しかしある晩、ちょっとしたつまらないことで夫婦喧嘩になり、次の朝はフテ寝したまま起きなかったのだ。
結局旦那さんは一人で起きて出勤。
「ちょっと悪いことしたかなぁ・・・もう仲直りして、明日からはまた朝食を作ってあげよう」
と思っていた矢先、旦那さんはその日、出勤途中に交通事故にあって亡くなってしまったのだ。
女性はひどく後悔していた。
朝食を作らないまでも、せめて見送りだけでもすればよかった。
「いってらっしゃい!」の一言でもかけてあげていたら、未来は変わって、きっと事故なんかに合わなかったはずだ!
無言の帰宅をした遺体を目の前にして、朝独り寂しく玄関を出て行った旦那さんの姿を思うと、行き場のない悲しみと自分への怒り、どうしようもない罪悪感でいっぱいになったという・・・。
この話を聞いてから、家を出ていく嫁さんには、
「気を付けて!いってらっしゃい!」
と、背中に向けて言霊を発するようにしている。
昨晩夫婦喧嘩をして気まずい空気だとしても必ず言う。
これは私なりの勝手な解釈だが、
この「気を付けて」という言葉には、
自分が持っている「気」を分けてあげて災難から守るという意味があると思っている。
やはり、一人分より、二人分の「気」をまとっていたほうが心強い。
そういう思いもあり、
嫁さんだけに限らず、大事な人が我が家を出ていく際は、
その人の無事を願って、
「気を付けて!いってらっしゃい!」
「気を付けて!帰ってね!」
と言うように心がけている。
このたった一言が、
かけがえのない命を守ると信じて。
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