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グラフィックレコーディングとは?書籍を元に概要をまとめてシェアします🙌

こんにちは、UXデザイナー / グラフィックレコーダー 清水淳子です。ビー・エヌ・エヌ新社さんより、Graphic Recorder —議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書を出版して随分経ちました。

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グラフィックレコーディングに興味を持っていただいた多くの人々に、書籍の形でしっかりとまとまった情報を届けられたような気がする一方、読者の方々からは「身の周りの人たちにグラフィックレコーディングというものをどのように説明するべきか?うまく伝えられずに悩んでる。。。」という声も届くようになりました。

そこで、ビー・エヌ・エヌ新社の編集者 村田さんと相談して、書籍のP10〜26のイントロダクションの「グラフィックレコーディングとは?」の部分をnoteにて無料公開しよう!ということになりました。

INTRODUCTION 目次 / グラフィックレコーダーとは?
Q 1 グラフィックレコーダーは何をする人なの?
Q 2 なぜ「グラフィック」なのか?
Q 3 どんな効果が期待できる?
Q 4 会議の参加者はどう変わる?
Q 5 なぜ、今の時代にグラフィックレコーダーなのか?
Q 6 社会の中で活用できる場所はどのくらいあるのか
Q 7 グラフィックレコーダーとグラフィックファシリテーターの違い
Q 8 何からはじめればいいのか?

こちらの8つのコンテンツを順次公開していここうと思います。本に書けなかった小話や後日談など追加しつつ、本を買った人にも、買おうか迷ってる方にも、買いたくないけど気になってる方にも。みんなにグラフィックレコーディングの奥深い世界を楽しんでもらえるコンテンツにしていけたらと思っています。どうぞお楽しみに◎

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それでは、イントロの前に、Graphic Recorder —議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書、書籍の前書きになります。 長いですがどうぞ!

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はじめに

 はじめまして。清水淳子です。私は企業でUXデザイナーとして働くかたわら、紙とペンで人々の対話や議論をグラフィックで可視化する「グラフィックレコーディング」という手法を日々研究しています。この手法を始めたきっかけは、あるプロジェクトのある日の小さな会議がきっかけでした。その日の会議は、専門も立場も経験も違う、様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まっていました。その中で、プロジェクトに対する自分の考えを言葉で説明しようとしたのですが、伝えたかった内容が逸れて伝わり、場の空気が悪くなるという不器用極まりないやりとりを行ってしまったのでした。私はその空気に慌てて、苦肉の索で「言葉」ではなく「グラフィック」でコミュニケーションを取ろうと、その場でみんなが話している内容をグラフィックで可視化し、今、自分が話したいことを問いかけていくということを試みました。すると、今まで場の空気を重くしていた議論の齟齬がスルスルと溶けて、バラバラだったメンバーの目線と思考と心をひとつにつなげることができたのでした。

 その体験から、人々が集う複雑な状況でグラフィックで議論を可視化することの効果に興味を持つようになりました。「会議の中で人々の議論をリアルタイムでグラフィックに可視化する」この一見ふざけているような不思議な手法が今の時代に持つ意味を深く追求するために、自分がデザイナーとして働く東京を舞台にTokyoGraphicRecorderと名付けた活動を始めました。初めの頃は、東京で日夜行われている様々なカンファレンスやトークイベントにプレスとして出向いて、アートやテクノロジーの話題をグラフィックでまとめた記事を作っては発信するメディアという形で運営してましたが、やがて様々な機関から「議論の可視化」にまつわる相談が集まるようになりました。

 依頼主は、組織を率いるリーダー、営業職、企画職、 デザイナー、エンジニア等、学生、経営者、様々でした。彼らの立場や年齢、組織の規模や事業のジャンルやビジョンはそれぞれでしたが、全員に一貫して共通していたことがあります。それは、今まで通りのやり方では自分たちの持つ課題が解決できないと危機感を感じていたこと。そのために既存の仕組みや組織の壁を壊して繋げていきたいが、複雑な議論や対話で生まれる衝突で行き止まりになることを恐れていること。そんな悩みを共通して根底に持っていました。私はTokyoGraphicRecorderとして、彼らのその時々の課題に応じて、グラフィックでの記録を用いたコミュニケーションを実践し、効果を研究することを続けました。

 その活動の結果、多様性ある議論が生み出す齟齬を解消する手段のひとつとして、グラフィックレコーディングは強力な手法だという手応えをはっきりと感じました。未来を切り開くために自由で活発な議論を行うことは、皮肉なことに激しいぶつかり合いを生む可能性が高いことも意味します。ぶつかり合いが行き過ぎると、もはや一緒に何かを考えること自体が憂鬱になりプロジェクトが空中分解してしまうことだってあり得ます。しかし、グラフィックレコーディングで散らばっている論点や視点を一箇所のボードに整理すると、どんなに不安定なメンバーと環境でも、快適に対話できる場所に必ず好転させることができたのでです。

 さらにこの手法を極めていこうと活動を進めるうちに、様々な人物や書物に出会い歴史や背景を学ぶことができました。”言葉”だけではなく、”グラフィック”を用いて議論や対話を進める。という考え方は古くから全世界で進んでいる動きだということがわかりました。古くは、1970年代にアメリカ西海岸を中心に住民参加のまちづくりや非営利組織の話し合いの中で用いられたのが始まりと言われてます。また、The grove consultants international社のデビット・シベット、ダニエル・アイソファーノは、ビジュアルミーティングという書籍で、ビジュアルが持つ会議での効果の体系化を試みています。また、2006年に日本で出版されたファシリテーショングラフィックでは「議論の内容を、ホワイトボードや模造紙などに文字や図形を使って分かりやすく表現し、「議論を描く」こと」をファシリテーショングラフィックと定義されています。海外ではimage think、香港ではSKETCH POSTなど、コミュニケーションのプロセスをグラフィックで構築するサービスを提供するコンサルティング会社やデザイン会社が多く登場しています。またSXSWダボス会議など世界的に公の場でも写真を撮るが如く、リアルタイムで描くグラフィックが当たり前のように活用されています。いまや議論にグラフィックでの記録を活用することは、世界的に当たり前の手法のひとつなのです。伝える内容とシーンによっては、テキストやスピーチを超える理解をもたらす情報伝達手段ともいえるでしょう。

 このような世界の様々な手法と動きを知った時に、私はTokyoGraphicRecorderが持つグラフィックの使い方の独自性を感じました。日本で会議を進行する司会者を務めるには年長者という空気があります。どんなに会議を進めるのが上手だとしてもその空気を打ち破って、事情を知らない「よそ者」「若輩者」が会議の主導権を握ることには無言の重い重圧があるように感じます。また、仕切るということを明言するとそこに寄りかかるように 全員が安心して思考停止してしまうという傾向もあるのではないでしょうか。さらには課題解決のために立ち上がる人には必要以上に注目と責任が集まりがちです。しかし一方、会議の記録をすることには日本は好意的で寛容であるという暗黙の了解もあります。例えば、書記は新入社員や目下の人が勉強や修行のためにやるものという慣習があります。日本という場所で、グラフィックを議論で使うときに、私は無意識の内に、その文化を逆手にとって、淡々と場の記録をグラフィックで行うことで、結果的に場を解決につなげていたことに気がつきました。一歩前にでるのではなく、場に溶け込みながら記録を通して、齟齬を解消して、チームを前に進める。そんな海外からの借り物の手法ではない、日本の文化に無理ないかたちで実践できるグラフィックレコーディングの手法をまとめてみようと考えました。

 本書が目指す世界、それは年功序列、事なかれ主義、責任者不在。凝り固まった後ろ向きな空気に流されずに、どんなに難しくて気まずい関係の会議でも、諦めて思考停止しない世界です。今もこの瞬間に日本で何十万と行われてる不毛な会議が、グラフィックでの記録によって前向きな思考と関係性に変えられたら、少しずつ世界は変わるのではないかと思います。そんな願いを込めて、本書を描きます。ある日の個人的なプロジェクトの悩みから発展したひとつの考え方ですが、変化が激しい21世紀という時代を過ごす「あなた」の力になれたら幸いです。

2016年11月
清水淳子

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順次公開していきます。お楽しみに◎!

INTRODUCTION 目次 / グラフィックレコーダーとは?
Q 1 グラフィックレコーダーは何をする人なの?
Q 2 なぜ「グラフィック」なのか?
Q 3 どんな効果が期待できる?
Q 4 会議の参加者はどう変わる?
Q 5 なぜ、今の時代にグラフィックレコーダーなのか?
Q 6 社会の中で活用できる場所はどのくらいあるのか
Q 7 グラフィックレコーダーとグラフィックファシリテーターの違い
Q 8 何からはじめればいいのか?

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デザインリサーチャー /グラフィックレコーダー/多摩美情報デザイン学科 専任講師。多様な人々が集まる場での視覚言語とデザインの新しいあり方を探求中。実践⇆研究⇄教育、行き来してます。 グラフィックレコーディングの教科書👉http://amzn.to/2Frt8OC

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