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【対談】~噛み合わないふたり~②〈キャラ名編〉

introduction…

こちらの記事は「着れる小説」の企画を立ち上げるにあたって声をかけさせていただいた、漫画家兼、イラストレーターであるスガノヨシカ(以下、スガノとする)さんにメールで質疑応答を行い、もらった返事を元に僕がまとめた対談記事もどきです。

着れる小説についてはこちらから
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読んでいただけましたかね?
それでは、はりきってどうぞ!




Q2;
物語を読んでどう思いましたか?


>スガノ
作品を拝読させていただいている中でずっと気になっていたことがあって・・・作中に登場するメインキャラクター、「リコ」と「ルカ」は作中では「リコち」と「ルカっぺ」というあだ名で呼称されていますが、これにはどんな意図があるのでしょう?

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>野凪爽
そこをつきましたか! そうですね・・・

まずは、実験です。
プライベートで読んでいた作品の中に出てくる登場人物があだ名で呼称されていたのですが、それが一人称の小説でした。
でも、あだ名呼びを三人称視点の小説でやってる人を見かけたことがないなと思い、好奇心が働いて試しちゃおうと思いました。

次に、ライト層への普及を狙ったためです。
今回はアパレルを通して小説を読んでもらおうという企画なので、狙いたいターゲット層が「既に小説を読んでいる層」ではなく、「普段、小説を読まない層」でした。
その方々の琴線に触れるためにはどうすればいいのだろうと考え、僕は物語の中の登場人物の名前をただ呼称するのではなく、あだ名呼びにすることで親しみ深さを与えられるんじゃないかと思い、主人公たちを、「リコち」と「ルカっぺ」というあだ名呼びに変えました。

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>スガノ
なるほど。私自身、あだ名文化が抜けてきたくらいの頃に小学生だった世代なので、あだ名という文化そのものに触れることなく生きてきたんですよね。昨今ではあだ名がタブー視される動きもありますし、だからきっと野凪さんの試みに疑問を感じたんだと思います。

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>野凪爽
うわー!そこ、盲点でした!
確かにそうかもです。

ちなみになんですけど僕は今年で30になるのですが、あだ名文化ってそんな薄れてるもんなんですか?

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>スガノ
私の周りでは一人もいないですね。
私も旧友たちとは苗字の呼び捨てで呼び合っていて、その無頓着な親しさが定着しているからなんですかね。

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>野凪爽
互いが育ってきた環境によって、「あだ名呼び」一つでこんなに解釈が違うの面白いですね。

キャラを作り上げていく時、僕は、(もちろんフィクションなので何もかも架空だが)その子にも親がいることを念頭において考え始めます。

また、「どんな意味合いを込めてこの子に名前をつけたんだろう」ぐらいは想像しておかないと、僕の場合、後々、物語を走らせた時に展開の都合に合わせてキャラの性格がブレてしまう気がして、それが不安で、釘を打つような気持ちで名前をつけてます。

あと、
小説は、漫画みたいに常にビジュアルが伴っていないので、読み手になんとなく刷り込むといいますか、そのキャラ名が出てくるたびにキャラ像を想起させる名前をつけておけば持続的に印象づけられるかな、とも思います。

差し支えなければなのですが、固有名詞を使うのを避けている理由はなんでですか?

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>スガノ
なるほど!
確かに、名前はキャラクターの人格やモノの個性を読者に説明する記号として一番使いやすいものではありますよね。

私が固有名詞を付けることに苦手意識がある理由としては、個人的な事情が関わってきてはしまうのですが、自分の名前が好きではないというところに帰着するような気がします。

人の名前って、その人の親という言わば他人から与えられる生後初めてのエゴなわけじゃないですか。

その感覚があるから、どうしても名付けという行為を身勝手に感じてしまうのかもしれません。

あとは普通に、コイツこういう趣味なんだと悟られるのが恥ずかしいので出来ないです笑。過去作で、編集さんに付けてくださいとお言葉をいただいて付けた名前はありますが、最近ではそのくらいだと思います。


やっぱり「噛み合わないふたり」の対談はまだまだつづく・・・
TO BE CONTINUED ▶︎▶︎③



ちなみに・・・2

「リコ」と「ルカ」の名付けの経緯は…

kish clothingさんからお話をいただいた時、当初は一編だけ書き下ろそうと思っていました。
ですが、やっていくうちに僕の欲張り癖が発動してしまい、「同じ時間軸を二人の主人公に分けて、一編をネットで公開し、もう一編をコラボアパレルに収録させてもらえないか」とお願いしました。
そしたら有難いことにご承諾いただけて・・・(ほんと感謝です)

であれば、
W主人公になるわけですから、これは気合入れるしか!と思いました。

意識したのは、近しいけど相反関係にあることです。

まず、どちらの物語でもリコちは台風の目のような存在なので、利己的に振る舞ってほしいという願いを込めて名づけました。
振り返ってみると、ずいぶん短絡的なんですけど、リコって響き自体が可愛いし、コレにしちゃおうとすぐ決まりました。「ち」に関してはノリです。あとなんとなくの語感とかで。

次に「ルカっぺ」は近しいけど相反関係を意識したので、逆張りをする気持ちで名づけました。
近しい要素は「リコ」が、「ら行」と「か行」を使っているのでそこから響きとかを気にしながら一文字ずつ持ってきて、あとは「ルカ」は大学は卒業したけどこれといってやりたいことがまだ見つかってない漂流者なので、リコちに相反するイメージがなんとなく読者の頭に浮かび続ければいいかなと思いました。
「っぺ」に関しては自分の周りの人たちを思い返して、人懐こさや、所謂、癒し系キャラのあだ名ってちょっとダサくなりがちだなと思い、田舎っぺみたいなニュアンスでつけました。
その結果、シリアスなシーンであだ名だけが浮いているように見え、自分の首を絞める羽目になったんですけどね。あはははは。



OFF SHOT 2

精悍な昼下がりの渋谷

お店の名前がかわいくて、
つい撮っちゃったやつ。


credit



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