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#録音note寺子屋
021. フィールド録音のススメ
コンサートホールは、“守られた空間” です……そう、雨風から。
マガジン【009】で「LOW CUT」や「ホールの空気を録る」ということに触れましたが、雨風から守られた空間では、正直なところ “空気” を実感しにくいのではないかと思います。なぜなら、空気が暴れないからです。
そこでいちど、空気の流れというものを屋外で体感(体験)しておくと、音そのものへの理解が深まるはず……そんな理由から、フィ
020. ストレスをかけない録音計画を
「いい画を撮りたい」「いい音で録りたい」、これが技術者の性なわけですが、主役は音楽家、演奏者であることを忘れてはなりません。その昔、とある音楽祭の公式録音に参画していて、通常の録音チームに加え放送局による収録が重なった現場がありました。マイクロフォンは通常の2倍量となり、本当に「林立」という言葉がふさわしい状況。当時は録ることで頭がいっぱいでしたが、今思い返せば、奏者のみなさんにとっては(収録に慣
もっとみる2021年5月末で、マガジンを廃刊します
マガジンを購読くださっているみなさま、いつもお読みいただきありがとうございます。しかしながらタイトルの通り、廃刊することを決めました。
記事番号が3桁であることからもおわかりいただけるかと思いますが、創刊当初は長く続けようと意気込んでいました。お伝えしたいことは、まだまだたくさんあります。
ところが変化の早い時代、予期せぬお仕事をいただき、執筆のための時間を確保することがいよいよ難しくなり……
019. リバーブを足すか否か
「響かないホールだから、リバーブを足しましょう」
こう考えるレコーディング・エンジニアは少なからずいて(いや、むしろ大半がそうかも知れません)、それが親切心であったりもするわけですが、果たして
人工的な(に)響きを加えることは、良いことなのでしょうか?
今でこそ様々な “プラグイン” でリバーブを加えることができますが、機材がなかった頃は「エコールーム」と呼ばれる風呂のような “響く部屋”
018. ケーブルの巻き方
私が「8の字巻き」を知ったのは、大学生になってからでした。その画期的な巻き方に感動し、掃除機のコードをわざわざ巻いたりして練習したものです。
大学のサークルの先輩から教わった方法で巻き続けてきたわけですが、実は別のアプローチがあると知ったのはその何年も後。“手の返し方” が違うんです。今ではケーブルの硬さによって使い分けていますが、後で知った方法の方が早く巻けるので、大学時代に知ったアプローチは
016. L と R を確認する
これ、かんたんなようでいて、うっかり間違えやすいんです。私も幾度となく間違えてますので(後で気づきますが)、失敗しないための工夫を共有したいと思います!
「L と R」は、いうまでもなく「左と右」のこと。
ワンポイント・ステレオ録音なら、左側(下手側)のマイクロフォンを L ch に、右側(上手側)のマイクロフォンを R ch に、といったようなことですね。
「……なんのことはない、間違える
015. 基準信号(いわゆる1kHz)について
配信担当の方から「音声さん、1k(いちけー)ください!」のように言われることがあります。
この「1k」とは、1kHz = 1000Hz(ヘルツ)のサイン波(正弦波)のこと。
近年は(ラウドネスメーターを使うようになったこともあり)VU(ブイユー)メーターを載せた機材をあまり見かけなくなりましたが、このメーターが「0(ゼロ)VU」を指す「ピー」という「1k」を出力することで、
014. モニターは 「鏡」
生配信やライブ・レコーディングの現場では、録った音を演奏者がその場で聴くことは滅多にありませんが、いわゆる「セッション録音」は、“録っては聴き” を繰り返しながら進むことが多いです。
となると、音を聴くための環境も整える必要があります。コンサートホールはレコーディング・スタジオではありませんから、大きめの楽屋に録音室を仮設したり、録音車(機材一式を備えた大きなトラック)を横付けしたりします。それ
013. 「先読み力」を養う訓練
この「録音note寺子屋」は「音を見る」というテーマから始まりましたが、「目に見えない音をいかに捉えるか」は録音の肝といえます。
では、見えないものを捉えるには、どうすれば良いと思いますか?
やはり、感覚を研ぎ澄ませる必要がありますよね。
未来の天気を知りたいとき、空を眺め雲の動きを見て、湿度や風の流れを感じて判断できるでしょうか? 天気予報のアプリを立ち上げるだけで済ませているのが現実かと
012. スポット・マイクロフォン
室内楽やオーケストラの録音における「マルチ・マイク収録」では、主たるマイクロフォンと、補助的に使う「スポット・マイクロフォン」を用います。
そもそも、なぜ複数のマイクロフォン(以下、マイク)が必要になるのでしょうか。私の録音の師の、そのまた師であるオノ・スコルツェ氏は、フィリップス・クラシックスの録音を支えたバランス・エンジニア。晩年は「ワンポイント・ステレオ録音」に辿り着き、「この2本で録れる
011. マイクロフォンを動かすか否か
前回は「オーケストラや室内楽を録る際に最も重要なこと」でしたが、今回も中々に重要な内容です。
とあるレコーディング・セッションで、テスト録音を聴き返したところ、低域が豊かすぎる――つまり、もわっとした音になっていたのです。
そこで、とある演奏家から、「マイクの位置を少し下げたらどうか」と提案がありました……的確な判断に私は関心しましたが、とても傲慢とも思いました。たしかに低域はスッキリするでし
010. オーケストラや室内楽を録る際に最も重要なこと
前回は、「砂漠が、単なる “砂場” になってしまいます」という意味不明なタイトルでした。“正解” として習ってきたことが、時と場合によっては正解でなくなる――こういったことは割とたくさんあって、それらは「目からウロコ」であったり「新しい視点」であったりするわけです。
私が「新しい視点」と出会うキッカケとなったのが、とある1枚のディスク(SACD)でした。その録音に感銘を受け、ブックレットのクレジ
009. 砂漠が、単なる “砂場” になってしまいます
前回は「バランス伝送」について軽くふれました。機材の中には、バランス接続できるように見えて実は平衡回路ではないものもあるので、取扱説明書で確認すると安心です。
さて、意味不明なタイトルですが、今回のお題は「LOW CUT」です。
下の画像の赤丸にある「への字」みたいな記号?をみたことありませんか?
これは、「LOW CUT」をあらわす、おそらく世界共通の記号です。
マイクロフォンの中には、
008. バランス伝送
前回は「マイクロフォンを選ぶ」がテーマでしたので、
そろそろ予備知識として「バランス伝送」のことにふれておきたいと思います。すでに「XLR」という言葉も説明なしに使ってしまいましたからね……予備知識とはいえ、重要ではあります。でも、知らなくても困らないかもしれません。
「プラス」と「マイナス」、そして…
いつも使っているコンセント(家庭用電源)の口は2つ。乾電池だって、プラスとマイナスしかあり