010. オーケストラや室内楽を録る際に最も重要なこと
前回は、「砂漠が、単なる “砂場” になってしまいます」という意味不明なタイトルでした。“正解” として習ってきたことが、時と場合によっては正解でなくなる――こういったことは割とたくさんあって、それらは「目からウロコ」であったり「新しい視点」であったりするわけです。
私が「新しい視点」と出会うキッカケとなったのが、とある1枚のディスク(SACD)でした。その録音に感銘を受け、ブックレットのクレジットから連絡先を探し出し、「荷物運びでも何でもやりますから、ぜひ現場を見せてください」とメッセージを送ったのが2009年のこと。これが、録音の師との出会いでした。
「さぞ凄い(高級な)機材をお使いなんだろう」と緊張しながら現場に伺うと、想像していたような機材群が無いばかりか、100円ショップで売っていそうなRCAピンケーブルが散見されるほど。さらには Behringer のマイクロフォンも点在していて(馬鹿にしているわけではないですが、NHKのオーケストラ収録ではまず使われないメーカーですよね)、「これで一体どうしたら “あんな音” になるんだ?」と謎は深まるばかり……
そんな師匠と現場を共にするようになり、「何より大事なことは……」と言われたのは
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