012. スポット・マイクロフォン
室内楽やオーケストラの録音における「マルチ・マイク収録」では、主たるマイクロフォンと、補助的に使う「スポット・マイクロフォン」を用います。
そもそも、なぜ複数のマイクロフォン(以下、マイク)が必要になるのでしょうか。私の録音の師の、そのまた師であるオノ・スコルツェ氏は、フィリップス・クラシックスの録音を支えたバランス・エンジニア。晩年は「ワンポイント・ステレオ録音」に辿り着き、「この2本で録れるよ!」と嬉々としていたそうです。
つまり、「スポット・マイク」を使わなくなった、ということですね。たしかに、ワンポイントでも録れるのですが、それは理想の位置にマイクを設置でき、かつオーケストラが奏でる音楽・音響的なバランスが絶妙で、ホールの響きが優れているといった条件が整った場合のお話……裏を返せば、“そうでない場合” に「スポット・マイク」が必要になる、とも言えます。
スポット・マイクロフォンの主な役割
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