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組織設計概論 まとめてみた③

拙文ながらも反応を下さる方、ありがとうございます。
今回も頑張ってまとめていきたいと思います。

前回までは組織設計を行う上での基礎理論や心構えが中心でしたが、今回からは実際の組織設計のプロセスの解説の章です。

今回の内容
2章 組織設計のプロセス
2-1 プロセスの概観
2-2 個別ステップについて
1、プロジェクトの編成

2章 組織設計のプロセス
2-1 プロセスの概観

組織設計のプロセスは大きく次の6つのプロセスから構成されている。

図1

一般的に、プロジェクトの発足から、定着化までの全プロセスで24ヶ月程度かけて行うのが一般的である。詳細としては、プロジェクトの編成、組織課題の整理に6ヶ月、基本理念の設定と3Sへの展開とで3ヶ月、移行準備に3か月、定着化に12か月というような内訳である。
このスケジュールは、人数規模で1千人から3千人程度の大企業にあてはまる。企業規模が300人程度の中堅企業であればPJの編成から新組織への移行までで6ヶ月、定着化に6ヶ月でも構わない。また、社員が1万人を超えるような巨大企業では新組織以降まで18ヶ月程度かけ、定着化も12か月の時間をかけることが一つの目安である。

2-2 個別のステップについて
①プロジェクトの編成

ここからは個別のステップについて解説していく。なかなか骨太な内容であり、頭の整理が追いつかない部分もあるが、簡潔にまとめることを心掛ける。

step1 プロジェクトの編成
組織設計、改革はそれを推進する体制の整備が成功のカギを握っているといっても過言ではない。組織改革のスタートにあたって、まず最初に注力すべきは適切なプロジェクトの編成と運営体制なのである。このように大事なプロジェクトを編成を行う際の5つのポイントは次の通り。

①プロジェクトチームのミッションと権限の明確な規定
②経営トップのコミットメント
③外部コンサルタントの活用
④各部署の支援メンバーの組織化
⑤守秘義務の徹底

また、言いそびれていたが、そもそもプロジェクト形式で組織改革を行うのは、特定の部署で行うと既存組織の既得権のバイアスが何らかの形でかかってしまうリスクが大きいからである。「中立」というのがプロジェクトの編成ではキーワードだろう。
それぞれを詳しく見ていく。

①プロジェクトチームのミッションと権限の明確な規定
★ミッション=組織改革案の「作成」と「答申」、権限=「情報収集」と「検討・企画」

最初に結論を述べる。
 組織改革プロジェクトのミッションは、組織改革のための3Sの設計から移行・定着化施策の「案を作り」、それをトップに「答申する」ことである。言い換えると、プロジェクトチームには一切の人事権や決定権はないということである。
 また、このミッションの達成に必要な権限は、様々な部署から情報を集め、自由に検討・企画する権限である。権限が十分に付与されないばかりに、正確な情報が入手できなかったり、手を出せないことがあると、最適の改革案にたどり着けない。このように、改革プロジェクトにおけるミッションと権限は社内全体に通達しておくことが重要である。
 加えて、このプロジェクトメンバーが銘記しておかなければならないのが、「第三者の立場を保つ」ということである。プロジェクトメンバーの選定も部署の偏りなく行われるべきで、人材スぺックも当然客観的な分析力と施策の立案能力を持ったメンバー選定が重要である。

②経営トップのコミットメント
★社内で利害関係がないのはトップのみである。

 経営トップのコミットメントが必要なのは、組織改革が経営の意思であるからトップが旗を振るのは当然であり、トップだけが個別セクションの利害に変更しない立場での判断が可能だからである。
 また、トップにはプロジェクトにあたりいくつかの役割が存在する。一番大きな役割はリーダーシップとコミットメントである。組織改革においては、既得権や権限の再配分が伴い、一定の抵抗や逆風が起こり得る。これらの混乱を乗り越えてリーダーシップをもち推進するのが最重要の任務である。もう一点が、プロジェクトメンバーの選出と、経営幹部クラスを含め、改革の方針を社内で共有・通達しコンセンサスをとることである。特定の部門に利害関係を持たないトップとして、中立なメンバーを選定し、改革途上で思わぬ横やりが入らぬよう、会社内で改革の認識を高めるのは大きな任務である。

③外部コンサルタントの活用
★外部コンサルタントの目が、客観性を高める。

プロジェクトを編成していくうえで、「中立」が一つのキーワードであると先に話した。しかし、様々なバイアスを排除して中立なプロジェクトを編成しようとしても、その企業がもつ独自の価値観や発想までは排除できない。そこで、課題をできるだけ客観視するためには、社員の判断によらずに、外部スタッフを加えたプロジェクトを編成することが求められる。コンサルタントといえども、人事組織専門や戦略系、特定の業界に明るいコンサルティング会社など数多く存在する。プロジェクトチームとして期待するアウトプットイメージを明確にし依頼する会社を決定したいところである。

④各部署の支援メンバーの必要性
★「情報収集」と「伝道者」として大きな役割を果たす。

プロジェクトの専任メンバーのほかに、通常業務と兼任で各部署に支援メンバーを持つことは、改革を円滑に行う上で極めて重要である。支援メンバーは、組織のサイズにもよるが、部から1人選出し、その組織における中堅のポジションで、上司と部下の両方とコミュニケーションのとれる人物が好ましい。支援メンバーの主な役割としては2点存在する。1点目は「情報収集」である。自部門の意見を吸い上げて、プロジェクトチームに報告するこの役割は組織課題の抽出時に重要である。2点目が「伝道者」としての役割である。新組織の導入に際して、改革の意義や目的を部のメンバーに対して分かりやすく伝え、改革へのコンセンサスを形成する。このように、プロジェクトチームと現場の架け橋として、改革に対して誤解や憶測を生まないために大きな役割を果たしてくれるのが支援メンバーである。

⑤守秘活動の徹底
★「守秘義務」と「情報の開示」のバランスをとる。

組織改革はポジションが変わる、ルールが変わるなど多くの社員にとって、センシティブなものである。改革についての誤解や憶測は社員のモチベーションダウンと改革に対しての否定的な態度の形成につながる。そのため、プロジェクトにかかわる者は、ささいな情報でも一切外部に漏らしてはいけない。そして、同時に徹底するのが、「情報の開示」である。決定事項に関しては随時アナウンスを行い、正確な情報の伝達と社内での合意形成を図る。この時にも前述の支援メンバーが大きな役割を果たす。このように、社内で不要な憶測や不安が広まらないように、「守秘義務」と「情報の開示」を適切に行わなければならない。

以上、プロジェクトの編成について、5つのポイントであった。


なかなか骨のある内容で、まとめるのも一苦労です。次回はstep2である組織課題の整理に入っていきます。



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