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冒険家になりたくて

一年の計は元旦にあり、という言葉がある。

年初めに1年の計画を立てるべき、ということであるが、私ひとりでは、計画通りに何かを成し遂げた試しがない。日記は最長でも1年しか続かなかったし、noteだってもう少し高い頻度で更新するつもりで始めた。ダイエットに至っては、毎時間失敗している。


しかし、計画を立てるのは好きだ。計画を立てている時は、根拠のない自信がむやみにみなぎってくるし、やたらとわくわくしてくる。正直、その時からすでに、結局は計画を立てたことを忘れ、諦め、自らに裏切られることになるかもしれない、という思いは確かにある。しかし、私にとっては、計画を立てることはもはや博打であって、この計画が実を成すかも、という夢で飯が食えるのである。UFOキャッチャーや、年末ジャンボと全く同じ楽しみ方である。

さて、せっかくの年初めで、計画を立てるのに申し分ない時期であるので、今年やりたいことを、いくつか記しておくとしよう。


まず、パスポートを取りたい。できれば、海外旅行に行きたい。
パスポートは数年前に切れてしまっていた。思い返せば大学の時に取得したパスポートでは、1度きりしか海外に行かなかった。学生の時こそ、海外に行くべきである、というのは、油断するとすぐに、海外旅行が好きな知り合いに言われる言葉である。彼らはこれを言うタイミングを常に狙っている。彼らが言いたいことはつまり、仕事や家族のことをあまり考える必要がなく、同行人との予定の折り合いもつけやすい、独身の若いうちに行くのがよい、ということである。そして、もはや学生ではない私にとって、それに一番近い時期は、今なのである。

それにしても、旅行先やその時期を決めてから、パスポートを取るべきではないか、と何人かから言われた。しかし、私はとにかくパスポートを取りたいのだ。パスポートが欲しい。パスポートってなんか、いいじゃないですか。プラスチックの硬いページが入っているところも良いし、出入国ごとにオリジナルのスタンプを押してもらえるのも良い。
パスポートで唯一悪い点は、妙な大きさの証明写真を撮らなければいけないことである。そんな重度の欠点があるにも関わらず、多くの人々がパスポートに魅了され、取得の意にかられ、海外へ旅立った。パスポートを取得している者はみな、それを手に入れようとした瞬間から、既に冒険家なのである。

そして何より、パスポートをもつ冒険家には、窮地に追いやられた時、すぐに海外へ行くことができる、という強みがある。「今からドライブに行こう」と思ってから、運転免許を取得するのでは遅すぎる。運転免許をあらかじめ取得しておくことで、いつでもドライブに行けるぞ、という気持ちになり、行動の選択肢が増え、それは結果的になんやかんやで豊かな発想を生むのである。運転免許でさえ、私たちの暮らしを(車を運転していない時でさえも)こんなにも豊かにしているのだから、パスポートを取得すれば、人生薔薇色、と言っても過言ではないはずだ。
日々、気分が悪くなるようなことがあったときや、気持ちが疲れたときも、まあ最悪、何もかも捨てて海外に逃亡すればいいか、という気でいれば、もう少し頑張れそうなものである。


うっかり、パスポートについて書きすぎた。書き始めた時は、やりたいことをいくつか書くつもりだったのに、この調子でふたつめを書くと、あまりにも記事のカロリーが高すぎる。

ああまったく、また計画が台無しである。



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