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冬枯れの飛び立つ向こう鳥居の朱 三本足のからすの色が

    • 吉見拓哉詩的日記集『すごい雑念#1 231103〜231107』

      231103  面倒だな、と思いながら乳房に手を伸ばし、バスローブ越しに先端を擦る。恋人の吐息。時折漏れる声と口を覆う仕草に嘘くささを感じるが、例えそれの何割かが演技であろうと、そうすることが性愛の呼び水になるのだろう。

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      • 20230307

         勃起したおれのペニスを満足そうに眺める女。顎に指を当て、フッと息を吐くと、タイトなスカートの腰つきを振りながら部屋を出て行く。扉を閉める時に向いた半身の、乳首のピアスが光って見えた。ペニスをしまう。診断のように毎朝行われる。  窓から隣家の屋根をつたって、屋上に出る。雑に穿たれた板の迷路を抜けると、灰皿とキャンピングチェア。煙草に火を着ける。吐いた煙が雲と混ざる。悲鳴が聞こえる。女の子を助ける。金髪のポニーテールの、大学生くらいだろうか。スポーツウェアが半ばはだけている。そ

        • 20230301

           夢の中でおれは母に「あいつ隠れるのうまいから」と言っていた。  最近そら見ぃひんなあ、と独りごちながら仏壇のある部屋の戸を開けると、部屋の奥から走って来ておれの顔を見てニャーと鳴く。喉を鳴らし、腹を見せる。白い毛の透けた肌のピンク。6つの乳首の小さな突起が撫でていると手に当たる。  母は先に部屋に入っていて撫で終えた様子。また泣いている。久しぶりやなあどこ行っとってん、とおれが言う。そらが手を舐める。  そらは死んだのだ。少し覚醒したおれが告げる。そうだった死んだのだった

        冬枯れの飛び立つ向こう鳥居の朱 三本足のからすの色が

          さそわれた日暮れの神社黒猫と 生まれる前に見上げた赤さ

          さそわれた日暮れの神社黒猫と 生まれる前に見上げた赤さ

          20230216

           夢の中でおれはボ・ディドリーかマディ・ウォーターズになっていてギターを弾いていた。  ステージすら無いダイナー。ハンチングの太ったじじいが試すように斜(はす)に構え、若い黒人女たちが体を揺らしている。カウンターに並んで三人、ミントグリーン、イエロー、ブルーの背中の開いたワンピースが、ギラギラと照り返す銀色のパイプと赤いビニールのクッションの椅子の上からこぼれそうになっている。“ビッグ・アス”!。時折振り返って色っぽい視線を投げてくる。  おれはそれに答えるようにとあるリ

          20230215

           少女に連れられ訪れたのは、古い神々の顔面を模した石像の並ぶ祭壇。何度か訪れていて、連れられる途中嫌な予感がしていた。恐れがあった。等間隔に並ぶ石像の背面が見え始め、そこで一度目が覚める。  また意識が落ちると、また少女が見える。少し離れた場所に緑の靄(もや)に包まれて見える。耳鳴りは聴こえないがそのクオリアがする。嫌な予感がしないでもないし、抗えない力に突き動かされているわけでもない。興味本位も半分、はっきりした理由もなくなんとなく付いていくと、神社がある。古ぼけた木の柵に

          THE HELLBLAZER

          二千年経ってたんだ いつになっても変わらねえな 鉄の臭い囲まれた 右の頬を撃たれて笑う 猿のようにマスをカいて 引き絞られた弓の気分で ケツの穴 見られてら 寂しがり屋のディグりディグられ合い おお 神様 おお 神様 ピストル突き付ける 操る糸の先が見えた エゴを喰う奴ばかり 人の皮着た糞袋 セル・ユア・ソウル 売り飛ばした もぬけの殻が何か言ってら − A Devil's Speech - 操る糸の先を笑え HELLBLAZER HELLBLAZER HELLBL

          THE HELLBLAZER

          20220515

           遺棄されたトラックの上に、鉄屑、廃材、折れたパイプ、トタン屋根の一部、が折り重なって壁になっている。工事現場のような祭りの後。壁の向こうに用があって、トラックのひしゃげた前輪に足をかける。連れていた女が嫌な顔で見ている。おれは口角を上げて視線で返事をする。大事な物をカバンに詰めて、誰にも見付からないように壁の向こうに投げ込んだのだ。  鏡面の無いサイドミラーを掴んで車輪の上に上がった途端、人骨が目に入る。割れたドアガラスの向こうの運転席に、蜘蛛の糸で縛られ吊るされたようにな

          20220407

          がらくた、鉄屑、砂ぼこり。夢の中で曲を作っていた。錆びた階段と手摺。制服の少女がギターを弾いて、友達の娘がラジカセのスイッチを入れる。フレットを探る感覚と思い付いていたリフ。どれだけ心を砕いて記録しても目覚めれば忘れてしまう。 分かっていたが、何度もスイッチを押す。欠けたプラスチックのRECボタン

          砂漠に座っているが部屋の中にいるような感じがする。砂面や、空もオレンジで風はない。柔らかい空気がする。角の生えた女がおれの膝に頭を乗せて、蜜蜂の話をしている。ふさふさの体毛、大きな複眼、刺した相手と、自身を殺す針。おれは相槌もまばらに、空いた方の膝にギターを乗せて、ブルーズのフィンガリングを練習している。人差し指と中指でフレーズを反復して、親指でEからAのルートを行き来する。頭に巻いていた布が落ちて、女の顔にかかる。そっとそれを拾うと、見開かれた女の瞳が現れ、黄色い光彩が濡れ

          ギター

           ピンクと緑のグラデーション、ラメのような光沢を伴う。死んだ友人から譲られたショート・スケールのビザール・ギターはそんな色をしていた。置き引きに遭い、見付かったとの報せが入り、見付けてくれた人に会いに行く。  夜の風俗街。路地裏、コインランドリーの隣の空き家。雨露まばらなトタンの軒下、乾いたコンクリートの段差に少女が膝を立てて座っている。学生服にビニールのパーカー、お団子2つのミッキー・ヘア。  ネオン管の光が前髪から滴るしずくに混じり、その向こうの瞳がこちらを見る。チュッパ

          黄衣の王

           クリスマスの午睡がおれの認識を薄れさせる。サンタクロースはずいぶん前に死んだが(ダダリオ・カマロのくれた15年には概ね満足している)あの頃のような夢を見た。おれの幻視がおれの現実を飲み込む。  教室、古びた校舎。進まない時間と出られない切り取られた次元。義足のHさんが前より歩くのしんどなったかもと呟いて、やっぱプロに見てもうたほうがええすよ、と答える。  鉄パイプや金属の廃材でできた右脚。踵のサスペンションのアイデアを出したのはおれだったが、うやむやにして謝らなかった。

          黄衣の王

          20211203

           飼っている瞳がガラスのネズミを、部屋で逃がしてしまった。襖の溝、すのこの隙間、絨毯の裏。懸命に探したが見つからない。よく金を借りにくる親戚のおばはん方が部屋に居て、居座り、役に立たない案を喚く。無視して、気付かずにネズミを踏んでしまわないよう細心の注意を払っていると、見つけて、手のひらの中でふくふくと暖かい。  腹の裂けた虫ほどの大きさの猫が足元で両の前足を広げて横たわり、内蔵が床に引きずられている。  戸棚の中では胴が鰻の獣がのたくっている。

          20211202

          廃墟に見える団地、一階のベランダに立つ人影がおれを見る。白髪の中肉の老人。自転車で通りすぎる一瞬目が合って、本当に人かどうか慌てて振り返る。黒い影が立って見え、実存を感じた気がしたが、どの窓にも明かりはなかった。

          20211128

          おいしいごはん/7時間ほぼ休み無くチャリを漕いだ、昨日は5時間。チャリを漕ぐことは思っているより楽なことなのかもしれない/夕陽に綺麗やなあと呟いた橋の上。水面の揺れ反射、煙を吐く工場(こうば)の煙突はシルエットになっていた。写真を撮ろうとした瞬間スマホの電池が切れた/スーサイドの1stをとてもポップに感じた/10年やって徒労だと思っていたが、作曲への意義は多分にある。音楽を聴いて参考になるものを探し、それを楽しんだ7時間/疲れていたが怒った独り言はかなり減っていたような気がす