最近の記事

240609

 繁華な街の中空に人の頭くらいの真っ黒な球体が現れ、手を伸ばせば触れそうなそれが、捻じれ歪み、排水溝に流れる絵の具を溶いた水のように街が飲まれていく。  おれはいつか滞在した異郷の山村を思い出していた。戦時下の学生のような古びた格好をした宿の娘が、おれに見せた、獣のような菩薩像 と言う夢

    • カルマの子供

      悪いのはあなたの一時の気の迷い 悪いのはあなたの一時の気の迷い 殺したい 忘れたい 正しいのはあなたが生まれたこと 正しいのはあなたが生まれたこと 死にたいなら 死ねばいいだろう 泣きじゃくる 声がしても あなたとは離れてしまうだろう 大きな揺れ 水がさらっていった 太陽には毒が潜んで 雨ざらしで 死んでいた 僕たちはカルマの子を産もう 全て知って その上全て忘れて 天国と地獄の結婚式 神でも悪魔でもない 人間の子を

      • 240524 吉見拓哉ライブ音源

        Disc1 ──240324 at WOOD STOCK 01.M42(Yusuke Chiba,Cover) 02.戦争 03.(What's So Funny 'Bout) Peace, Love, And Understanding(Nick Lowe,Cover/吉見訳) 04.'Heroes'(David Bowie,Cover/吉見訳) 05.百年の孤独 06.Sketches of Hometown 07.ザ・ロング・グッドバイ ──240424 at to

        • Af

          あの滲んでゆく大きな手 暗がりでふるえてる ぼくを抱き上げ 眺めてく 地平の空を ぼくは いなくなるけど あまり悲しまないで 指を鳴らし 歩いてく 種を蒔くように いなくなってゆくぼくらの 種を蒔くように 'Flying Mother Nature’s silver seed' 'To a new home in the sun' 'Flying Mother Nature’s silver seed' 'To a new home' 引用:Neil Young - A

          我が人生最速の時

          無闇と矢鱈に切り裂いてくナイフみたいな 擦れっ枯らしの風の中 おれはじっと、襟を立て 尖らした目ん玉の中 始まりが終わるのを見てた 暗闇と身体に染み渡る あの音が 弱い者達がさらに弱い者を── 急がなきゃ間に合わねえぞ あの娘が消えちまったように 急がなきゃ間に合わねえぞ あの娘が消えちまったように どうか間に合え、ああ 無闇と矢鱈に切り裂いてくナイフみたいな 擦れっ枯らしの風の中 おれはじっと、襟を立て 尖らした目ん玉の中 終わりが始まるのを見てた 急いだって、間

          我が人生最速の時

          そうやって眠って忘れちまうんだ そうやって眠って とめどなく流れるラッパの音色と 七人の天使が悲しげに 吐き捨てるように 神様がこう言ったんだ 「もうウンザリだ」なんて らしくないや 溶け出してく風景 目をつむっていたんだ 耳も塞ぎ 喋りたくもない このまんまどうぞ安らかに 消えさせてくれないか? バチ当たりだ なんてヒンシュクを買ってさ どうやってこうか?呑気な歌が歌えない なあ どうやってくんだ?明日のことに溺れてく! どうしようもなくなった 生まれつきそうだった

          kick me out

          kick me out,kick me out,kick me out kick me out,kick me out,kick me out kick me out,kick me out,kick me out kick me out,kick me out,kkkkkk kick me out,kick me out,kick me out kick me out,kick me out,kick me out,kick me out kick me out,kick

          或るアルトカルシフィリアの手記

          喰う寝るにあたってまた意味を乞う ……通りすがりの女のクツ しゃぶりつきたい気持ちを抑えながら 向かったのは死にたがりの崖っぷち それでは皆さん サヨウナラ 地獄の沙汰と天国のルール あんたに見えないものが見える ひしゃげたおれを先刻の女 そのきれいなカカトでゆっくりとなじる その時神様が現れたんだ! 神のご意志に反した全人類に告ぐ 地獄の沙汰と天国のルール あんたに見えないものが見える 欲しがること 欲しがること 欲しがること 欲しがること 「ここが例え天国でも

          或るアルトカルシフィリアの手記

          ザ・ロング・グッドバイ

          誰といなくても済んだ あの夏の日に なでおろしてた胸と 明るい言葉の裏で シミを残してたシーツ 今じゃ眠れない夜に 脱いだままのズボンとともに こと切れるような身 朝だ バラバラ おれの なでおろす 胸と腕は どこだ あいつとともに置き去り さよなら さよなら ありがとう ごめんね 短い 途中でも さよなら さよなら 夕暮れ まとまる 町の 色と においと 温度と そして音 この様も悪かねえな さよなら さよなら ありがとう ごめんね 末永い 終わりでも さよなら さ

          ザ・ロング・グッドバイ

          (What's So Funny 'Bout) Peace, Love, And Understanding

          雨が降る すべるように さがしてる 暗闇の中 明りを あきらめたよ 誰にも言えない 痛みと憎悪と あのミザリー けど 雨の切れ間に月がにじんでる ラブアンドピース あえて言うまでもない けれど ヴァッシュ・ザ・スタンピード あんたならどうする? 明日には 憶えちゃいない 明日があるかどうかの 人々を 方舟はどこに? ジェイコブの梯子は? 銃口の花びらが 花びらが もうきっといなくなってしまった 会えなくなってしまった ラブアンドピース あえて言うまでもない けれど

          (What's So Funny 'Bout) Peace, Love, And Understanding

          Sketches of Hometown

          波間への一雫 煤けた雲の袖 咳き込む町に 雨宿り猫が来る 毛並みが乾くまで 側に居てくれた 濡れたまま居られずに 乾き、皺が浮いた 先にいった人の 好きなものを並べる 菊の花が揺れる

          Sketches of Hometown

          'Heroes'

          ああ、助けにゆく 君を、助けにゆく どうあっても 見張りはいる 今日だけは 邪魔させない 映画みたいにさ この日だけを また 死にたがって いいよ 他人のせいにしよう ペニスを触る ショーツをずらす においのついた からだで どうあっても 終わりは来るけど 盗んじまおう この日だけでも 映画みたいにさ 何度でも どう思う? ああ、この壁を イルカのように 跳べたらな どうあっても だって、終わりは来るから 今日だけ 何度でも 映画みたいにさ この日だけを ああ、助けにゆ

          戦争

          幾度目かの 夏が過ぎて 僕が死んだ あの日を 皆 忘れてしまうでしょう 僕が死んだ あの夏の日を お前の死にたさに興味はないぞ、と フロアから出ていく人たちを目で追う ちょっといやになっただけさ 気にしないでいることもうまくはなったし 酔わせてやれそうな女が群がる 若くてシュッとしたちょっと悪そうなバンドマン かわいくてちょろそうな女なら誰でもいい、と おこぼれに与りたい僕は ルールに従って 頭のおかしいふりをする 水の中 掴めなかった手と 崩れかけた壁と あなたの 肌

          冬枯れの飛び立つ向こう鳥居の朱 三本足のからすの色が

          冬枯れの飛び立つ向こう鳥居の朱 三本足のからすの色が

          吉見拓哉詩的日記集『すごい雑念#1 231103〜231107』

          231103  面倒だな、と思いながら乳房に手を伸ばし、バスローブ越しに先端を擦る。恋人の吐息。時折漏れる声と口を覆う仕草に嘘くささを感じるが、例えそれの何割かが演技であろうと、そうすることが性愛の呼び水になるのだろう。

          ¥100

          吉見拓哉詩的日記集『すごい雑念#1 231103〜231107』

          ¥100

          20230307

           勃起したおれのペニスを満足そうに眺める女。顎に指を当て、フッと息を吐くと、タイトなスカートの腰つきを振りながら部屋を出て行く。扉を閉める時に向いた半身の、乳首のピアスが光って見えた。ペニスをしまう。診断のように毎朝行われる。  窓から隣家の屋根をつたって、屋上に出る。雑に穿たれた板の迷路を抜けると、灰皿とキャンピングチェア。煙草に火を着ける。吐いた煙が雲と混ざる。悲鳴が聞こえる。女の子を助ける。金髪のポニーテールの、大学生くらいだろうか。スポーツウェアが半ばはだけている。そ