【自治体編】誰が為のふるさと納税
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【自治体編】誰が為のふるさと納税

言いたいことはタイトルの通り。

私は仕事でふるさと納税に携わっている。

地域の為と思い、地域に何度も足を運び、事業者とコミュニケーションを重ね、これまでそれなりの実績を上げてきた。

しかし、実態を知れば知るほど、ふるさと納税は一体誰のための仕組みなのか、迷子になってしまったというのが今回の内容になる。

自治体?地域事業者?寄付者?

「お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度」とすると主に自治体のためであり、その中にいる地域事業者のためのものということになるだろう。

しかし、果たしてそうだろうか。

取り組むほどにわからなくなってしまったというのが正直なところだ。


自治体のため?

ふるさと納税で一番恩恵にあずかっている(はず)のは自治体だろう。

財政が逼迫し、資金繰りに困る自治体が多い中、用途に縛られないふるさと納税という財源はかなりありがたいものである。

また、地場産品を通じて全国の方々と接点をもてるということは所謂「シティプロモーション」にもつながっていく。

地域内の事業者が改めてつながることでそれぞれの事業も活性化していくだろう。

財政も潤うし、つながりは地域内から全国規模までで広がっていく。
まさに至れり尽くせりな制度だ。

もちろん、それは中身が伴っていれば、の話であるが…。


目的無き資金集め

あらゆる行為には、その目的・目標(=ビジョン)が付きまとうのが世の常だ。

目的無き行動は、徒労に終わりかねない危険性を常に孕むということは誰もが日頃から感じているだろう。

逆にビジョンがあればチームワークの精度があがるし、事業の解像度もあがっていく。

「事業をするにあたってビジョンを掲げるのは当たり前でしょう」

そのような感覚を持つ方も少なくないはずだ。

しかし残念ながら、この「当たり前」をせず、ふるさと納税を推進している自治体が非常に多いのが現状だと私は考えている。


ふるさと納税の「使い道」

もちろん、ビジョンをもってふるさと納税を推進している自治体も、決して多くないが、確かにいる。

そのような自治体は「寄付の使い道」が明確であることが多い。

各自治体のふるさと納税のビジョンとも呼べるものは、それぞれの「寄付の使い道」を見れば垣間見ることができる。

「小学校に○○を導入する」

「○○公園に△△を設置する」

「○○プロジェクトを実施する」

何の為に私たちはお金を募っているのか。何が課題なのか。
それらを開示し、用途を明確にしている。

中にはこれまで募った資金を何に活用したか、つまり資金の使用実績を定期的に開示している自治体もいる。

このような自治体は寄付額についてもトップレベルであることがほとんどだ。

しかし残念ながら、このようにしっかりと寄付用途を掲げている自治体は稀なのが現状だ。

「つながるまちづくりのため」

「文化継承のため」

「健康と福祉のため」

ほとんどの自治体がこのように「何かよくわからない」用途を掲げていることがわかる。

説明も書いてあるが、これも曖昧で「よくわからない」。

ひどいところは、タイトルのみで説明すら掲載していないものもあるくらいだ。

このような資金は自治体内でどのように使用されているのか。

自治体ごとに実態は異なるだろうが、財政が厳しいと言われる私の住む自治体では、所謂「貯金」にまわし、「寄付用途に該当しそうな」事業の不足分を時折補っている。

つまり、寄付は集まっても「活用」はできていない状態だ。

これは全国のふるさと納税担当職員の生の話を聞いている限りでは、私の住む自治体だけに限ったことではなかった。

金額・程度の大小はあれ、どうやら全国的に発生する可能性のある事象のようである。


「まちづくり」のビジョン

なぜこのようなことが起こるのか。

原因は「まちづくりそのもの」に対するビジョンをほとんどの自治体が持ち合わせていないからだと私は考えている。

「まちづくり」のビジョンがない(ないし、反対意見が強くて動けない)為、予算外の資金が降ってきても活用したい(できる)ことがないのだ。

そうは言っても「お得」なふるさと納税。

実態を改善せずとも寄附が集まるこの状況に、自治体側も甘んじている様子が見受けられる。

「寄付用途の明確性をあげる」、「寄附をしっかり『活用』する」ということは寄付額向上にも十分つながる要素だ。

「地方の為」にと想いをもってふるさと納税を活用する層とつながることができる、活用実績を報告することで再度の寄附につながるという理屈である。

寄付額向上という視点からしても、是非とも取り組む価値のある内容といえる。

私もふるさと納税関連事業者として、これまで何度も自治体に寄付用途についても考えるよう、それなりの熱量で提案を繰り返してきた。

提案を続け3年以上。

残念ながら未だ改善される様子は一向に見られない。

元祖寄付受付サイトであり、未だにふるさと納税市場を牽引し続ける「ふるさとチョイス」なども、これら寄付用途に対する提案を常に全国に向けて発信し続けている。

しかし、現状は先ほど述べた通り。

どうやら「活用」することが、資金を募ることより優先順位が低いのは私の住む自治体だけではないらしい。

そんな資金の「活用」に対する意識の低い組織が、ある日突然、資金を「有効活用」できるようになるなんてことはあるだろうか。

少なくとも私はそう思えない。

となると全国規模で動く多額の「ふるさと納税」は何の為にあるのだろうか……。

是非一度、時間があれば自身の在住自治体がどのような用途を掲げているか検索してみてほしい。自身の自治体の温度感がそれでわかるはずだ。
(「ふるさとチョイス」が全国の自治体情報をしっかりまとめてあり、内容を把握しやすいのでオススメだ)

長くなったので一度、この辺で。

次はふるさと納税に携わる地域地域事業者の在り方などについて考えてみたいと思う。






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ふるさと納税関連企業に努めています。個人業としてクラウドファンディングコーディネート、チラシ・広告作成、ライターなど展開中。「地域の為に」と頑張ってきましたが、何が地域の為になるのか迷走してきた今日この頃。