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家族愛なんてクソ喰らえ

家族の話が得意じゃない。

綺麗な家族愛が描かれている何かを見たり聞いたりすると、胸糞が悪いというか虫唾が走るというか……モヤモヤっとする。
怒りとも悲しみとも、似てて非なるもので、羨ましくもあり、虚しくもあり、言葉にするのがどうにも難しい、そういう気持ちが蟠る。

最近とても話題になっている「鬼滅の刃」を見た。
率直に、面白かった。
アニメ版を見たのだが、原作漫画も読んでみたい、と思うくらいとても面白かった。
アニメに限らず音楽等でも、話題になればなるほど流行に流されているような感じが何となく嫌で敬遠してしまう癖があるのだが、なんでもっと早く触れなかったのだろう、と思うのが常である。

本題はここから。
作中で家族について触れる場面がある。
あまりネタバレになるようなことは言いたくないのだが簡潔に書くと、とある鬼にまつわるエピソードで、"家族"というのがどういうものかイマイチ分からず、"家族のようなもの"を作っている鬼がいた、というような話だった。

その中で川で溺れた子を母親が命懸けで守り、子は助かったが母親は死んでしまった、という話が語られた。

その場面を見ながら、僕は冒頭に書いたような感情が湧いてくるの感じていた。
所詮アニメだ、フィクションだ、そう自分に言い聞かせてみてもモヤモヤは収まるどころかますます膨らんでいく。
いつもこうだ。そしていつも決まってある日の光景がフラッシュバックする。

僕がまだ全日制の高校に通ってた頃、お昼休みのことだ。


クラスメイトの女の子達が数人で楽しげに談笑しながらお弁当を食べている。
「あんた、ほんとにお母さんの作るお弁当大好きだよね笑」
「いや、ほんっっと大好き!!ていうか、ママ大好きだもん!!私ママの子に生まれてきてほんとに良かったって毎日思ってるよ!笑」

─────────痛い痛い痛い。
胸がズキズキと痛む。
呼吸が浅くなる。
苦しい。
頭が真っ白になってフリーズした。

言ってみたかった。
そんな台詞を、僕も口にしてみたかった。

『ママノコニウマレテキテヨカッタ』

箸が床に落ちる音で我に返る。
同時に意識も現在に戻る。

残念ながら、僕は手放しにこの家庭に生まれてきて良かった、などとは言えない。

有難いとはもちろん思っている。
今まで育ててもらって、学校にも通わせてもらって、不自由ない暮らしをさせてもらった。
たくさん迷惑をかけた自覚がある。
本当に感謝している。
ただ、納得できないこともあったのも事実だ。

虐待と躾の線引きがどうにも難しすぎるから、あまり言いたくないのだけど、虐待に近いことをされていたように思う。

唐突で申し訳ないが、我が家はステップファミリーという家族の形だ。
妹と弟は父と血が繋がっているが、僕はそうでは無い。
とはいえ、両親は僕がほんの幼いときに再婚したため父のことも実の父のように思っている。
……だが、兄弟内差別が全くないとは言えない。
これはあくまで僕の主観によるものだ。
だから客観的に見たらどうなのかは分からない。
こればかりはどうしても僕は客観的に見ることができない。
ただ、妹や弟はされていないようなことをされてきた、と少なくとも僕は感じている。
具体的なことも言えるがここでは控えたいと思う。
あまり言葉にしたくない。

母はそれについて、父は"父親"になるのが初めてだから大目に見て欲しい、というようなことを言っていたことがあった。
できるわけがない。
痛かった。身体も、心も。
僕は傷を負ったのだ。
そう簡単に許せやしないと思う。
仕方ないと言い聞かせても、きっと心の奥底では憎んでしまう。

本当の子供だと思っている。

父が言っていることらしい。

信じたい。
そう思う一方で、やっぱり何かが引っかかって上手く受け入れられない自分がいる。

それとは別に、僕はあまり褒められずに育ってきたような気がする。
これは妹も同じだと思うのだが、親に褒められたことがあまりない。
テストで100点を取ろうが、絵で賞を取ろうが、あまり褒めて貰えなかった。
ただ、弟だけは例外で母は弟のことだけはよく褒めたしよく庇った。
男女で何か差があるのか、僕にはその気持ちがよく分からないが、妹も同じようなことを思っているようだったので、やっぱり母の中ではなにか線引きがあるのだろう。
それが無意識的なものだとしても。
そのせいで僕も妹も自己肯定感、自尊心というようなものが上手く育たなかったらしい。
いつまで経っても自分に自信がないままだ。

両親のことを好いていたい。
常々そう思っている。

でも、とある日を境に何か切れてしまって無条件に、手放しで、家族が好きだ、この家に生まれてきてよかった、と笑うことができなくなってしまった。

その日のことは書かない。
書きたくない。
言葉にしてしまうことが怖い。
できれば思い出したくもない。

何もかも嫌になって家を飛び出した日も、本当は迎えに来て欲しかった。

100点の答案を見て喜んで欲しかった。

絵のコンクールで貰った賞状を、作文のコンクールで貰った賞状を額にかざって、頭を撫でて欲しかった。

友達に裏切られて傷ついて帰ってきた日には抱きしめて欲しかった。

「偉いね」なんて何気ない言葉を聞きたかった。

貴方の体温を感じたかった。

ただそれだけなのになぁ。

「子どもは空の上から見ていて親を選んで生まれてくるんだよ」

今の僕はそんな言葉を聞いたらイライラとかを通り越して笑ってしまう。
そんなわけあるか、と呆れてしまう。

それでも、

いつか僕も、
手放しに「この家に生まれてきて良かった」と笑える日が来るのだろうか。

どうかそんな日が訪れますように。
どうか、どうかあの日渇望した台詞を口にすることができるようになりますように。
どうしようもなく、そう願ってしまうのだ。

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このnoteは感情の整理をするために使うことが多いからか、毎度毎度まとまりがなく、下手くそな構成で、読んでくださってる方々には申し訳なく思っています。
この文章も気まぐれで消すかもしれないし消さないかもしれないが、どうであれ、読んでくださってる方々には感謝しています。
出逢ってくれてありがとう。