【不思議な体験】海のない理想郷
私は二十代の頃から長年にわたって奇妙な夢に悩まされてきた。それはたいてい昔の日本にまつわる夢である。
たとえばはるか遠い古代、九州の海に面した沿岸部に住んでいた人々が津波による塩害で米が取れなくなり、移住先を求めてはるばる旅をして、やがて奈良の地にたどり着いたという夢を見たことがある。
「ここは素晴らしい・・・なんて素晴らしいところなんだ・・・、ここには海がない!」と、丘のような少し高いところから奈良盆地を見つめる男たち。
身体を震わせ大粒の涙をぼろぼろと流している者も