見出し画像

はすの花がキレイに咲いていると聞いて、見に行ったら閉じていた話。

 昼食の後、妻が昼寝をしているときに、洗濯物を干していた。
 チャイムが鳴ったから、あ、起きてしまう、と思ったけれど、相手も、私に気がついて、あ、そこにいたんですね。と声をかけられる。
 妻の知り合いだった。

はすの花の伝言

 どうやら、妻は起きていないようなので、そのまま、近づき、話をした。

今、昼寝をしてまして。すみません」。

「あ、それじゃ、伝言だけでいいので、伝えてもらえますか」。

「わかりました」。

「近所にはすの花がキレイに咲いているので、そのことを伝えてください」と言い終わるかどうかの頃に、引き戸が開く音がして、妻が起きてきたのがわかった。

はすの花の会話

「あ、〇〇ちゃん」。

 妻が声をかけた。

 来てくれた人の表情も明るくなり、そして、そのハスの花の話になって、その場所の話題になり、どうやら、かなり近所に咲いているらしく、妻が振り返って、「行ってきていい?」と聞かれ、「行ってらっしゃい。気をつけて」と言ったら、「この格好で大丈夫かな?」と聞かれた。

 これまで寝ていた格好だけど、近くだし、平気そうなので、「大丈夫」と声をかけたら、その来てくれた方と一緒に、素早く出かけていった。

 しばらくたったら、帰ってきた。

 どうだった?
 きれいだった。

 それから、妻は着替えて、迎えにきてくれた人と、もう少し遠くの植物たちを見に行くことになったらしく、また出かけていった。

 今度は、しばらく帰ってこなかった。

はすの花の記憶

 そういえば、はすの花は、仏教では、意味が大きい花だと思うし、鎌倉の鶴岡八幡宮の池に咲いていて、緑の大きい葉っぱは見た記憶が複数ある。

 だけど、花を見た記憶ははっきりしない。お寺などでは、仏像の台座などで「形」としては見ているはずだけど、実物をちゃんと見たことがないんではないか、と思って、妻が帰ってきてから、正確な場所を教えてもらおうと思っていた。

植物の話

 妻が帰ってきて、あちこち歩いて、植物たちを見てきた話をしてくれた。
 私が知らない固有名詞が、「ほら、あの」と語られることも多いので、そのたびに、確認をしたりもするけれど、私自身は思った以上に知らないし、近くを通っていたり、場合によっては、その道を歩いていたりしても、気がつかないことも多い。

 この1年は特に、妻に植物のことを教わることが多かったはずなのだけど、単純に「まだ修行が足りない」のだと思う。

はすの花が閉じていた

 夕方になり、やることに一区切りがついたので、はすの花を見に行こうと思い、カメラを持って、出かけた。場所はすでに聞いていた。

 道を歩いて、すぐそばの信号もない小さい交差点を左に曲がり、3件目に小ぶりのマンションがあって、そこのところを左に曲がると路地があり、すぐ左にあると言われて、その通りに歩いたら、そこにはすの花があった。

 特に、何か花壇があるわけでもなく、鉢があって、はすの花だけが、すっくとあった。

 ただ、さっき、写真を見せてくれたはすの花とは違って、花びらが閉じていた。

 午後5時くらいで、この季節だと十分に明るいから大丈夫だと思っていたのだけど、それは甘かったみたいで、最初は、枯れたのかと思ったけれど、あ、そういえばたんぽぽは夜は閉じるし、などと思って、閉じた状態のはすの花を写真に撮ってから家に戻る。

 妻に聞いたら、はすの花は、朝短い時間だけ咲いて、あとは閉じてしまうらしい。
 だから、さっき、午後でもまだ咲いているのは珍しく、それで、ご近所の人が声をかけてくれたらしい。
 そういう理由がやっとわかる。

 はすの花の、そういうところも、神秘的な感じを増すし、そばでゆっくり見ると、閉じていても、不思議な質感があるのは、改めて分かった。

 翌日、朝方に見ようと思ったけれど、やっぱり時間がギリギリなので、そんな余裕もなく、帰りも、また午後5時くらいになって、無理かと思いながらも、そのはすの花を見に行ったら、たぶん、前日よりも、しっかりと花が閉じていたように思った。


(はすの花が咲いているところです。妻が撮ってくれました。この写真だと、花びらの中まできちんと見えるそうです)。

画像1



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。


#最近の学び   #はすの花   #ハスの花   #蓮の花 #日常

#会話   #近所   #毎日投稿   #植物   

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,589件

記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。