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『「感染拡大予防リバウンド」の不安』。2021.2.27.

 土曜日の午前9時前、明らかに寒い。
 風の冷たさがわかる。
 天気はいいのに、久々に冬の感じがする。

 ニュースを見ていたりすると、今が緊急事態宣言であることを忘れるような、すでにゆるむ方向の話題ばかりが目に入ってくる。

 家を出て、駅に向かって歩いて行くと、上着は制服のブレザーだけで、黒のマスクに両手をポケットに手を入れて、少し肩をゆすり気味で歩いてくる男子高校生とすれ違う。

 もう少し歩くと、寒くても、ホースで道路に水をまいている女性がいる。こちらに水を向けてくると、もちろんすごく手前で水は落ちるけれど、水の流れの先みたいなものが一瞬はっきりと見えた気がした。

 水を見ただけで寒く感じる。だけど、空気はとても乾燥しているから、必要なのかもしれないなどと思いながら、もう少し歩くと、美容院の前でスタッフがジョウロで道路に水をまいている。やっぱり今日も湿度が低いのだと思う。

 駅前の1000円カットには男性が一人並んでいて、中華料理屋は看板を出すところで、牛丼屋にはお客が一人カウンター席に、ゆったり座っているのがガラス越しに見えた。

電車内の会話

 ホームには、20人くらいの人がいる。
 電車がきて、乗り込もうとした時に、前にいる女性が2度くしゃみをする。
 花粉症では、と思いながらも、横に小走りで動いて、違う車両に乗った。

 車内には、4〜5人立っている乗客がいる。
 次の駅で乗ってきた中年女性と若い女性の二人組は親子かもしれなかったが、こちらに向かって、距離を気にせず、詰めてくるので、ちょっと遠くへ行った。

 乗り込んでくる時から、その二人は会話を続けていたのだけど、その中年女性の話が聞こえてくる。

「言葉というのは、恐ろしくて、そうめんの端にしか見えないのよ」。

 そのうち、その二人の会話がところどころ聞こえてきて、話題は青梅線に移っているのはわかった。
 若い女性の方が、駅名のことに触れていた。

「福生、っていう名前は、アイヌ語らしいよ」

 そのうち、中年女性の方が、何度かせきこみ始める頃、終点の駅に着いた。

車内のニュース

 次の電車に乗り換えるために改札を抜ける。
 そこにあるアルコールは、今日も私だけしか使わなかった。

 ホームに電車が来る。
 止まって、ドアが開いたら、2人の若い男性が競うように飛び出してきて、階段をダッシュで登っていく。

 車内のドアの上でニュースが流れている。
 
 今月末に緊急事態宣言一部解除へ。
 首相が記者会見の予定。
 ミャンマー拘束のジャーナリスト解放
 コロナ感染 小学生から高校生 1月の感染者多数

3人組

 ホームで待っている時から、近い距離感で3人の若い10代くらいに見える女性たちが、それぞれお互いに髪型を整えたり、ずっと仲良さそうにしていて、というよりも、不安も含めて一緒にいるように見えたけれど、そのまま電車に乗っていて、そのうちの2人はピッタリと二人で並んで座っている。

 その女性たちは、会話はしているけれど、ずっとほとんど笑っていない。
 そして、大勢の人が降りる駅で、3人で降りていった。

 車内が一気に空いて、一人おきくらいに座れるようになったので、座席に座る。
 
 右側に座っている、姿勢のいい若い女性が英語の本を読み始めている。
 向かい側の長い座席に、3人の若い男性が並んで座っている。
 2人は会話を穏やかな気配で続けていて、もう一人は、ニット帽を目が隠れるくらい深めに被り、マスクをして、さらにフードできちんと頭部を囲んでいるから、顔はほぼ見えない。

 そのうちに、自分が降りる駅に着いた。 
 電車から降りて、少し遠くを見たら、久々に女性の職員がホームにいて、走り去っていく電車を見守って、旗を降っていた。

 階段を登り、改札を出て、駅構内を出たら、冷たくて強い風が吹いていた。
 空気が硬めに感じて、寒く感じる。
 また冬だと思う。

再感染拡大の予感

 午後4時20分頃。
 用事が終わって、夕方になって、また同じ駅で違う方向への電車に乗る。

 駅への道も、駅の構内でも、人の動きの多さも活発さの印象も、すでに緊急事態宣言の前と変わっていないように見える。というよりは、今回の宣言の後に、そんなに人の動きが減っていたように思えない。

 人手が減らないのに、緊急事態宣言が解除されたら、またリバウンドするように、一気に、また感染が拡大してしまうのではないか、と変わらない光景を見て、ただ不安になる。

 まだ春浅くて、気温も低く、空気は乾いていて、ウイルスにとって、広がりやすい環境が揃っているから、より怖さはある。

気をつけ続けている人たち

 途中の駅で空いたので、距離をとって座席に座る。
 その次の駅で、夫婦に見える2人連れが乗ってきて、女性が、右隣に座り、男性が目の前に立っていたので、空席になっている左側にずれて、席を空けた。男性は、頭を下げて、座った。
 
 これで、座席は、距離がなく、ぎっしりと人でうまることになった。左側に座っている女性は立ち上がって、ドアのそばまで歩いていった。そのまま、私の左側だけ空席のままになっていたが、立ち上がった女性を見て、自分自身も、そのくらい、いつも「ソーシャルディスタンス」に気をつけていた時期もあったのに、今は、なんとなく疲れたのか、慣れたのか、気をつけ続けることができなくなっていた。そのことに気づかされる。

 車内を見渡すと、黒いマスクが増えているように思う。


 電車を乗り換えて、次の電車に乗って、駅で降りて、駅のトイレに入る。

 私の前を歩いていた、おしゃれな若い男性が先にトイレに入っていって、一つだけある洗面台にまっすぐ向かい、石けんを使い、とても丁寧に両手を洗い始めた。小便器が一つだけで、すでに使用している男性がいて、一つだけの個室も使用中だった。私は、出口付近で待っていたら、個室から人が出てきて、小便器を使っていた人も終わって、2人とも洗面台に目をやったが、まだ若い男性が手を洗い続けていた。
 
 私は、小便器に向かい、その後に、手を洗い続けていた男性の手洗いが終わり、そのあとは、トイレを使用していた2人は手洗いを短めに済ませた。私が小便器を使い終わったら、丁寧に手洗いをしていた若い男性が、次に利用していた。

 電車の中で立ち上がった女性も、洗面所で手洗いを続けていた男性も、感染拡大予防に対して、気を続けている人たちだと思う。でも、自分もそうだけど、そこまで集中力が続いていなくて、こうしてきちんと気をつけている人は、少数になっているように思える。

 緊急事態宣言を解除すると、感染拡大は、また拡大してしまうのではないか、という不安が、やっぱり膨らむ。




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