「自分は嫌な上司」という「自己評価」を、耳にしない理由を考える。
会社に勤めた期間は短かったが、それでも「上司の悪口」を聞いたことは、少なくない。
「嫌な上司」の多さ
それから、会社に勤めなくなっても、間接的にも、直接的にも、数限りなく、積極的に聴こうとしなくても、「上司の悪口」は聞くことはあった。
今はコロナ禍で難しくなったけれど、少し前まで、オフィス街の居酒屋に行けば、そんな言葉は、聞かない時の方が少ないような印象まである。
世の中には、「嫌な上司」か「ダメな上司」しかいないのかもしれない、とまで思うことがある。
こうしたアンケートでも7割以上の人が「職場に嫌な上司がいる」と答えているので、私の大雑把な体感も、それほど外れていないようだ。
ただ、同時に素朴な疑問も、ずっとある。
これだけ「嫌な上司」が多いのに、自分自身が、「嫌な上司かもしれない」といった自己評価や自己分析の言葉を、今までほとんど聞いたことがない。
それは、自分自身が情報に弱かったり、そんな言葉を聞ける場所にいないせいなのだろうか。
落ち込み続ける経済
「嫌な上司」だけでなく、自分が歳を重ねてくると、自然に耳に入るようになるのが「使えない部下」と「何を考えているか分からない若い奴」といった「部下の悪口」だと思う。
こうした言葉を聞くと、会社には「嫌な上司」と「使えない部下」ばかりがいて、組織の外側にいる人間から見たら、そうなると、経済という全体が落ち込んでいくのも仕方がないのかもしれない、と思う。
生産能力は低下する一方であり、加えて少子高齢化が顕著になってきている。新しい価値観をなかなか受け入れない国民や企業が蔓延し、失われた30年が過ぎたいま、日本はこれから失われた40年、あるいは失われた50年を歩き始めているのかもしれない。
これから先も、下る一方かと思うと、それはやっぱり気持ちも上がりにくくなる。
嫌な上司
自分が「嫌な上司かもしれない」などという自己分析を聞いたことがない、といった疑問に関しては、もしかしたら、組織に長くいらっしゃる方には、すぐに答えが出ていたのかもしれないけれど、組織の外にいても、やっと推測はできるようになった。
「部下が使えない」や「最近の若い奴は何を考えているか分からない」といった、いわゆる「部下の悪口」を、例えば居酒屋で、もしくは通勤電車で、会社とは全く関係ない、誰かの耳に入るような場所でも、声高に語っている「上司」が、おそらくは「嫌な上司」なのだ、と思う。
もしかしたら、その声の音量が大きいほど、「嫌な上司」指数は高いのかもしれない。
「いい上司」
おそらく、こうしたことを書くと、「組織を知らない人間に何が分かるのか」といった批判は、直接形にならなくても、思っている人は多い可能性はある。
確かに、私自身は、会社組織にいる期間が、2社で3年、という、とても短い時間でしかないので、語る資格はないのでは、というような自覚はあるが、それでも、「上司の悪口」と「部下の悪口」のどちらがダメなのかと比べると、個人的には、それは「部下の悪口」だと思う。
基本的には、上司の方が、会社組織にいる時間は長い。
仕事に関しても、組織に関しても、情報量も、経験も多いはずだ。
部下は、仕事に関して、情報量も経験も少ないから、最初から「使える」人はいないと思う。
優れたリーダーシップのある「上司」であれば、今は「使えない」部下がいたとしたら、それは、自分にも責任があると考え、自分を「今は嫌な上司」ではないかと自己分析し、検討する。
その上で、そこから、さまざまな努力や工夫をするはずだ。それでも、部下が「使えない」ままだったら、「使えない部下」というグチを言いたくなるような気持ちも分かるけれど、「いい上司」は、そこを超えて、どんな部下でも、その部下なりの力を発揮するような環境を作ろうとしている、のだと思う。
そういう「いい上司」は、部下の悪口を、「外」で言う機会が少ないのではないだろうか。だから、「嫌な上司」と思われる人は、見つけやすいけれど、場合によっては、自分のことを「今はダメな上司かもしれない」と自己分析できるような、「いい上司」はひっそりと存在している可能性が高い、と思う。
そして、もしかしたら「いい上司」のいる組織に属した「部下」が、その時間の中で、そのうちに「いい上司」になるのではないか、とまで考えるのは、組織をロクに知らない人間の「お花畑」のような発想かもしれない、という自覚はある。
今回は、想像がほとんどです。もし、これは違う、といったご意見がある方は、よろしかったら、教えていただけると、ありがたく思います。
よろしくお願いします。
(こうした本↓を読むと、「いい上司」は実は多いのかもしれない、という気持ちにもなりました)
(他にも、いろいろなことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。
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