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さらば、ウルトラマン(Tシャツ)

 Tシャツは、いいなと思うと、普段は節約していても、つい買ってしまう。


Tシャツのサイクル

 そして、しばらくよそ行きとして着用し、首の周りが伸びてきたり、ややくたびれてきたりすると、室内着として、なんとなく2軍落ちのような感じになる。

 カジュアルの王様のようなTシャツのあり方を考えると、その変に大事にするような着方は、ダサいような気もするのだけど、そんなふうにTシャツを着続けて、そのうちに室内着になったのだけど、近所の買い物などに着ることにも、妻からダメ出しを受けるようになると、さらに3軍落ち、みたいな扱いになってしまう。

 特に夏のことが多いのだけど、洗濯をして干して、汗をすごくかくのだけど寒がりだからそのままだとくしゃみが出たりするので、何度も着替えることになると、干してあるところから直接とって着て、汗をかいたら、洗濯カゴに入れる。それから洗って、干して、その干してあるTシャツを着る。

 そういう繰り返しをしていると、そのTシャツは、洗濯カゴと洗濯機と洗濯の干場をぐるぐると回ることになり、そのうちに妻に遠慮がちに言われるようになる。

 夏に多いのだけど、特に白いTシャツは「黄ばんじゃったから、もう捨てたいんだけど」と言われ、そして、そのTシャツとは、さようならになる。

在宅Tシャツ

 そうした、よそ行き→家Tシャツ→在宅専用Tシャツ→廃棄、というサイクルを長年、ほとんど意識もしないで守り続けてきたのだけど、コロナ禍で在宅の時間が長くなったときに、そのサイクルを変えることにした。

 家にいる時間が長くなったので、最初から新品で在宅で着ることを前提に買うことも始めて、さらには私が着ているTシャツを一番見ることになるのは妻だから、自分がTシャツを買うときには妻の意見を聞くことにした。

 そして、その頃、シリーズで買ったのがユニクロのウルトラマンのTシャツだった。

 バルタン星人を主役にしたもの。ピグモンが風船を持っている場面。ゼットンと戦っているウルトラマン。その3種類のデザインのTシャツを購入した。

 どれも、初代のウルトラマンの全話を見て、その中で視聴者の印象に残っている回をテーマにしているように感じたから、もちろんビジネスではあるのだけど、ウルトラマンを大事にしているような気がして、ちょっとうれしかった。

 私にとっては大げさにいえば、コロナ禍のヒーローだった。

 だけど、それから4年が過ぎて、そのうちのピグモンのTシャツは黄ばんでしまって廃棄することになった。

 あとは黒いTシャツのバルタン星人と、ゼットンと戦うウルトラマンTシャツが残ったので、着続けた。

帰って来られなかった、ウルトラマン

 そして、今年(2024年)の夏が近づいた頃、妻に、そろそろ黄ばんできたんだけど---と言われたのが、ゼットンと戦うウルトラマンのTシャツだった。

 確かに、何十回と着てきた。

 白いTシャツだから、色が変わってきたのはわかるし、だから、仕方がないので、じゃあ、もう一回着たら、処分するので-----と微妙に暗い声で伝える。

 ただ、他にも大量に洗濯物はたまるし、雨が降ったり、やんだり、というまだ梅雨の時期で不安的な天候が続いたせいか、ウルトラマンのTシャツは、私の目からはまだイケると思っているので、洗濯をして干して着てを何度か繰り返した。

 そして、ある日、あ、そういえば、と妻がウルトラマンTシャツに気がついて、その時は、洗って干して、たたむ段階に来ていたのだけど、そこでTシャツを広げたら、妻が意外そうな表情で、あれきれいになってる、と言ってくれたので、思った以上にうれしくなった。

 本当に白くなった気がした。

 これが帰ってきたウルトラマンだと、思ったけれど、それを言葉にするのは、ちょっと恥ずかしかった。

 それから、またしばらくそのTシャツを着続けた。

 数日後、ちょっと重いトーンで、妻に言われる。

「やっぱり、このTシャツ、ダメだった。この前、光の関係できれいに見えたけど----」。

 そんなことがあるんだと思った。これで帰って来れなくなったから、いよいよ、さらばウルトラマンTシャツになるはずだ。

 やっぱり、仕方がないことなのだけど、ちょっと悲しいような気持ちになる。




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