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東京都知事選への投票と、開票結果への感想

 この前の都知事選は、4年前のことだった。

 まだ、ワクチンも出回っていなくて、今よりももっと新型コロナウイルスが怖かった頃で、それでも選挙は行われた。

 そのときの緊張感は記憶にはあるけれど、実感としての怖さのようなものは、すでに忘れそうになっている。

 まだ、コロナ禍は完全に終息していないのに、それでも、あのときの恐怖感は覚えていなくて、それは人は早く忘れたいからだと思う。

 だから、その怖さがもっと社会全体に共有できている頃に、感染症対策に関して整備しないと、うまくいかないのだろうと思った。


2024年の東京都知事選

 4年前と、2024年では、立候補者の数が倍くらい違った。掲示板が足りなくなって、クリアファイルの中にポスターを入れて、それが掲示板の下にぶら下がっていたり、横にくっついていたりする光景は不思議だった。

 それは、昔は卒業アルバムなどの写真撮影の日に何かの都合で休んだりすると、全体写真の中に丸く切り取られた中に写っている欠席者の写真のことも思い出させた。

 すでに、選挙管理委員会が訴えられることになったが、確かにあのクリアファイルは、あんまりだったと思う。

 それは、候補者が予想をはるかに超える人数が立候補したから起こったことだし、同時に、特定の政党が大量に候補者を立てた上に、掲示板を寄付してくれた人に、その場所を提供する。といった、選挙の「常識」を踏み越えるような出来事まであったから、なんだか、ひどいことになってしまったというのが、2024年の都知事選の印象になった。 

 それでも、いろいろと考えた上で、当日には投票に行くのは決めていた。

投票するための検討材料

 ごく一般的に生活をしていると、政治家という人たちと接する機会が少なく、自分たちの生活に直接関係しているとはいえ、失礼ながら、できたら避けたい気持ちまであるのは、近所にマンションが建つときに、無理と分かりつつも反対運動に関わることがあり、そのときに区議会の議員と接する機会があったせいもある。

 その際は、できたらもう関わりたくないという思いになって、だから、余計に選挙に関しても、考えたくなくなるのだろう。

 それでも、また都知事選があって、この人にぜひ都知事になってもらいたい、という候補者はいないから、今回も消去法で選ぶしかない。

 家に届いた選挙公報。さらに主にNHKでの政見放送を見て、誰に投票するかを決める。さらに、今回はラジオを聴いていたら、候補者へアンケートを送って、それに対しての回答があることを知って、珍しくそれも参考にした。

 文章での回答で、政治家として経験があるほど、もしくは今回、都知事に本気でなろうとしているほど、おそらくはただの都民では分からないような各所への気遣いなどが必要になるだろうから、あちこちへ気を配ることになって、結果として、時として理解しづらい文章になっているようだった。

 それでも、妻と一緒にこの公開質問状も参考にしたのだけど、たとえば、一般の都民から立候補する人に、こうした質問をしても、答えてくれないのだろうから、今回、立候補者同士の討論の機会がないとしたら、こうして文章でのアンケートによって、読む人間の想像の中で、ある程度の「討論」のようなこともできるのだから、他のメディアでももっとやってほしいとも思った。

 回答をしない、ということも含めて、その立候補者の姿勢もわかるし、こうした回答を、立候補者が一人で全部を書いているとも思わないし、いわゆる選挙のためのライターが書いているかもしれないけれど、それでも、最終的に、そこにOKを出すのは立候補者本人であるのだから、文章そのものは分かりにくいとしても、こうした文章で、その人の何かはわかると思う。

 選挙期間中、候補者の一人からテープで電話がかかってきたのはすぐに切った。別の候補者は、留守番電話にメッセージを入れていた。もちろん本人ではないのだけど、性別の違うスタッフがその候補者の名前を言いながら、お願いします、というのを聞いていると、ちょっと不思議な気持ちになった。

 ただ、東京のハズレに住んでいるせいか、いわゆる選挙演説や、選挙カーで、名前を連呼するような光景をほとんど見た記憶がないままだった。

2024年7月7日投票当日

 朝起きて、妻と話をしたら、ご近所の人の話題になった。

 午前6時50分に投票所に行き、7時に開くまで待って、投票してきた、ということだった。

 そんなに早く投票する人がいることを実際に知ると、何か圧倒されるような気持ちになるが、私は、妻と相談をして、それでもいつもは午後に行くのを今回は午前中に行くことにした。

 午前10時30分頃に洗濯機に洗濯物を入れてから、家を出る。

 すごく暑い。

 太陽がとても強く、容赦ない感じがする。

 それだけで、ちょっと気持ちが負けそうになるけれど、日傘をさす妻と一緒に歩いて、投票所に向かう。そこは、妻が通っていた小学校で、校舎はすっかり新しくなったけれど、毎日のように昔は通っていたそうだし、今も、妻が生まれ育った家に一緒に住んでいるわけだから、選挙に行くたびに、小学生時代の妻と同じ通学路を歩いているのだと思う。

 少し道を間違えて、微妙に修正をし、途中で選挙ポスターの貼られた掲示板をいくつも見かける。このあたりの掲示板は、人の目が少ないせいか、今回話題になった、寄付によって誰もが自分が貼りたいものを貼っていい、という場所はなかった。

 投票所に着く。

 自宅から歩いて7〜8分。

 考えたら、自宅から近い学校で、ただ、今日は午前中のせいか、少し人が並んでいる。これだけ人が並び、投票までに多少の時間がかかるのは、4年前の都知事選など、コロナ禍の時の投票で、あのときは、ソーシャルディスタンスもあったから、より時間もかかったけれど、今日は、そんなことがなかったかのように、人が密に並んでいる。

 入り口にアルコール除菌ポンプがあって、妻と私と、妻の前に並んでいる人は使った。マスク着用率は低い。

 ハガキを見せて、確認をしてもらい、違う机に行って投票用紙をもらい、名前を記入する台に向かう。そこには撮影禁止、という言葉とともにカメラスマホがイラスト化して×がつけられている。

 こういう場所でも撮影した人がいたのだろうか。

 そして、銀色の箱に投票用紙を折って、入れる。この紙は箱の中で自動的に開く特殊な紙、というような情報はどこかで知ると、普段は覚えていないのに、ここに来るたびに思い出す。

 お疲れ様でした。と投票所にいる色々な人に言われる。

 そこには選挙の監視の役割のために知っているご近所の方の顔も見かけるし、町会の役員をしている人も、当たり前のようにいつもいる。

 小学校の外へ出る。

 入り口に並び始めてから、外へ出るまでに10分足らず。

 いつも、とてもあっけない。

 でも、この個人の行為を自分に投票してもらうために、候補者は心身を削るような努力をしているのかと思う。

 それは、マンションの反対運動で関わることになった区議会の議員が、色々なことを話したときは、あまり本当の響きを感じられなかったけれど、自身の選挙のときは、顔の形が変わるくらい緊張する、というふと漏らしたような言葉にはとてもリアリティがあってから、政治家のことを考える時の生きた素材にさせてもらっている。

 投票が終わって、そのそばのスーパーのイートインで妻がバナナミルクセーキのようなものを飲みたいと言っていたので、それとマンゴーラッシーを買って、座って、飲んだ。

 帰ってきて、食事をして、普段はあまり行動しない午前中に投票に行き、暑さにやられたせいか、微妙に体調が悪く、珍しく昼寝をした。

 自分でも珍しいことだった。

当選確実

 夜、歌を正確にメロディー通りに歌う番組を見ていた。

 そのときに、速報が流れる。

 何かと思ったら、「小池都知事3期目、当選確実」という文字が流れる。

 考えたら、都知事選の投票がある日だから、速報があったら、そのことに決まっているのに、自分も投票に行ったのに、なぜか、忘れていた。

 妻に、そのことを伝える。表情は重い。

「----なんだかがっかり。

 みんなが入れるんだね。現状維持でいいんだな、とがっかり。もっとみんな文句あるから、変わってほしい、と思っているはずなのに」。

 私も同じようなことを思っていた。

 都道府県の首長選は、現役が圧倒的に強い、という事実があるらしいから、小池都知事が有利とは思っていたのだけど、やっぱりがっかりした。それは、小池都政が続く限り、また、こうした「上映禁止」↓のようなことが起こるのではないか、と思っていたせいもある。

 ただ、人間の基本的な気持ちとして、厳しいときほど変化を拒むというようなことがあるらしいから、自然な結果かもしれない、などとも思ってしまった。

 夜になって、ラジオの番組のYouTubeを少し見ていた。

 この番組の延長の部分で、今回、躍進し、得票2位になった立候補者が少しだけインタビューに答えていた。とても攻撃的で、ただの視聴者でも怖さを感じた。ただ、その話の進め方が、ロジカルと言われて支持されていたことも知って、さらに少し怖さが増した。

開票結果

 翌日になって、開票結果が全部、出揃っていた。

平成以降の計11回の都知事選の中では、衆院選と同日だった12年(62・60%)に次いで2番目の高さとなった。

(「毎日新聞」より)

 前回の、コロナ禍の厳しい時の投票率を上回るだけでなく、平成以降で二番目の高さ、ということは投票率が上がることを望む声が多かったのだから、その点では喜ぶべきことのはずだけど、何の根拠もないが、その上がった投票率が、2位の候補者に集まったかもしれないと思うと、勝手な話だけどなんだか気持ちが重くなる。

過去最多の56人が立候補したが、上位3人を除いては、得票が有効投票総数の10分の1に達せず、供託金300万円は没収となる。

(「朝日新聞」より)

 得票29位以下の候補者は1000票を切っていた。それは、かなり低い数字だというのはわかるのだけど、こうした候補者の方々にとって、今回の都知事選は、どのような意味があったのかは、よくわからないままだ。

 
 ただ、投票に行って、改めて思ったのだけど、得票3位に「沈んだ」蓮舫立候補者は、自分の名前に関して「ひらがなでもいいです」とか、もしくは勝手な感想だけど、「レンホウ」という候補者名として立候補して「令和はレンホウ」などと連呼すれば、もう少し違う結果かもしれないと思ってしまった。

 それは、もしかしたら蓮舫氏には失礼かもしれないけれど、今回の都知事選の過程を見て、そんなちょっと絶望に近い感想も持ってしまった。







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